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回折角の測定方法

実際に欲しいデータは0次から$m$$(m=1,2,3)$の角度 $\phi_m(m=1,2,3)$で あるが、今回のような測定ではこの角度が $\phi_1\simeq1.7^\prime$程度で非常 に小さく、ちょっとした誤差でも解析結果を大きく左右することがある。従って 、あらかじめ考えられる誤差はなるべく小さくしておくことが必要である。ここ での測定では、上記でも触れたように「$m$$(m=1,2,3)$の回折光は0次の回折光 を挟んで左右対称に現れる」という性質を使い、左の$m$次から右の$m$次までの 角度$2\phi_m$を測定する。この測定によって実際に生じる誤差を、回折角を 0次からの角度として測定するときに現れる誤差の半分に抑えることができる。

まず0次の回折光を確認する(この時の角度は測定しなくて良い)。Naのスペクト ル管では橙色の最も強い光が、また Hg のスペクトル管では青白い光が0次の 回折光である。

次に、左の1次を望遠鏡内の$\times$字に合わせる。この時のAの目盛り $\psi_A^左$とBの目盛$\psi_B^左$を読む。目盛りの読み方は別紙「目盛りの読み 方」を参照すること。 次に、望遠鏡を右に移動して右の1次を望遠鏡内の$\times$字に合わせ、この時の Aの目盛り$\psi_{A1}^右$とBの目盛$\psi_{B1}^右$を読む。

以上の測定で望遠鏡を左から右に移動したことにともなって目盛りA,Bも移動する 。それぞれの目盛りの移動角度 $\psi_{A1:左\rightarrow 右},\psi_{B1:左\rightarrow 右}$を求め、更にこれらを 平均してこれを$2\phi_1$とする。即ち、求めるべき回折角$\phi_1$

\begin{displaymath}
\phi_1={1\over4}\left(\psi_{A1:左\rightarrow 右}+\psi_{B1:左...
...si_{A1}^右\vert
+\vert\psi_{B1}^左-\psi_{B1}^右\vert
\right),
\end{displaymath} (2)

である。

以下同様にして2次・3次の回折角を求める。

注意1
$m$次の回折角$\phi_m$はだいたい $\phi_m\approx m\phi_1$なる関係がある。従って 回折角を求めた際、この関係より大きくずれているときは測定が誤っている可能性が高いので、 もう一度測定してみること。
注意2
だいたい $\vert\psi_{Am}^左-\psi_{Am}^右\vert
\approx\vert\psi_{Bm}^左-\psi_{Bm}^右\vert$であるので、 $\vert\psi_{Am}^左-\psi_{Am}^右\vert$ $\vert\psi_{Bm}^左-\psi_{Bm}^右\vert$の差が$30^\prime$以上であるときは 測定が誤っている可能性が高いので、もう一度測定してみること。


yoshidah 平成15年2月5日