福島県立医科大学 医学部 脳神経外科
教授挨拶
  齋藤 清

(略歴)
1980年   名古屋大学医学部卒業
1984年   マサチューセッツ総合病院
(ハーバード大学)留学(~1987年)
1991年   名古屋大学医学部脳神経外科助手
2000年   名古屋大学医学部脳神経外科講師
2003年   名古屋大学医学部脳神経外科准教授
2009年   福島県立医科大学脳神経外科教授
2016年   福島県立医科大学附属病院長
2019年   福島県立医科大学副理事長
 

 2019年3月末に病院長を退任し、4月から谷川攻一先生の後任として、副理事長(復興・国際担当)を拝命しました。副理事長は理事長に次いで大学の代表権を持つ重責で、ふくしま国際医療科学センター長、ふたば救急総合医療支援センター長、国際連携戦略本部長を兼務しています。ふくしま国際医療科学センターでは、県民の健康を見守り、先端研究と産業復興を推進し、高度医療を提供するために、5つのセンター(放射線医学県民健康管理センター、先端臨床研究センター、医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター、健康増進センター、甲状腺・内分泌センター)と2つの部門(先端診療部門、教育・人材育成部門)が事業を推進しています。ふたば救急総合医療支援センターでは、支援センター所属および支援講座の先生方と協力して、福島県ふたば医療センター附属病院(谷川攻一院長)を医師派遣と多目的医療用ヘリ運航支援などにより支援して、双葉地域の復興を医療面から支えています。また、本学は震災以降、WHO、IAEA、ICRPなど多くの国際機関、EU、世界の大学や研究機関などとの多彩な国際連携を通して福島の復興事業を推進してきました。これらをとりまとめるため、2019年に山下俊一国際担当副学長のご指導により、本学の学生交流、研究・国際活動推進のために国際連携戦略本部および国際交流センターが立ち上がりました。2019年は、これらの新しい職務に慣れるだけでも大変な一年でした。

 脳神経外科学講座教授としては、着任して11年、私の任期も2020年度末までになりました。教授に着任した時の目標、脳神経外科医を増やすこと、教育重視と若手の育成、脳神経外科医療の発展、同門の連携強化、はどこまで達成できたかでしょうか。脳神経外科医を増やすことについては、2009年以降、福島に他大学から述べ19名の専門医に来ていただき7名が在職しています。また、2012〜2019年に17名が専攻医として福島県立医科大学プログラムを選択してくれました。しかし、これらの数は私の予測を下回り、目標達成は困難であったと言わざるを得ません。これからも同門の皆様と協力して脳神経外科医を増やす努力を継続するとともに、福島の地域医療を守り魅力ある姿に育てるために次の世代に向けてどうすべきかを含め、同門の連携を強化して残りの任期を全力で取り組みたいと考えています。

 脳神経外科医療については、児玉前教授が発展させられた脳血管障害の外科治療に加えて、脳血管内治療、脳腫瘍の外科、頭蓋底外科、神経内視鏡手術、機能的脳神経外科などの発展に取り組んできました。脳血管内治療については、指導医の小島隆生先生と県内の専門医がまとまって発展しています。脳腫瘍の外科は主に大学で、藤井正純先生がMRI手術や覚醒下手術を発展させ、専攻医の蛭田亮先生を指導しています。頭蓋底外科は山田昌幸先生が齋藤を引き継ぐとともに、神経内視鏡の時代になって、大学では佐藤拓先生および渡邉督先生から岸田悠吾先生、佐藤祐介先生、丹原正夫先生と受け継がれ、県内でも神経内視鏡技術認定医が増えています。機能的脳神経外科も市川優寛先生、黒見洋介先生を中心に症例が増えてきました。また、小児神経外科は、佐久間潤先生、太田西ノ内病院の松本由香先生、飯島綾子先生が、モニタリングについては岩楯兼尚先生、技師の佐々木寛人さんがさらに発展させています。

 さて、大学では、新しく菊田春彦先生が専攻医として脳神経外科プログラムを選択してくれました。黒沢瑞穂先生は出産・育休後に昨年10月から専攻医プログラムを開始し、金森翔太先生は太田西ノ内病院で救急麻酔科を勉強して4月から専攻医プログラムを開始します。山田昌幸先生は昨年9月から半年間、大阪市立大学で内視鏡を含めた頭蓋底外科を研修しています。伊藤裕平先生は昨年4月から今年6月まで、埼玉医科大学国際医療センターで血管障害の外科を研修しています。根本未緒先生は、昨年10月から半年間づつ、名古屋第二赤十字病院と愛知医科大学で神経内視鏡手術を含めた脳神経外科研修を行っています。嬉しいニュースでは、黒見洋介先生と山田昌幸先生が学位を取得し、佐藤 拓先生が「手術用レーザー光源と蛍光撮影システムの開発と臨床応用」で、南東北福島病院の佐藤光夫先生が「病院完結型脳卒中シームレス医療の推進」で福島医学会学術奨励賞を受賞しました。

 冒頭にも記載しましたが、私は副理事長になって、IAEAやWHOの会議に出席したり、福島第一原子力発電所を見学したり、毎月ふたば医療センターに出かけ、時には会合のために双葉に出張したりと、これまでとは全く異なる経験をして福島が抱える問題を見つめ直しています。課題は尽きませんが、今年も同門の皆様と協力して福島の医療を支え、若手を育成して次の世代に継承できるよう頑張ります。希望と笑顔が溢れる「ふくしま」のために、福島県および福島県立医科大学脳神経外科への変わらぬご支援とご鞭撻を、どうぞ宜しくお願いいたします。