Chemogenetic activation of mammalian brain neurons expressing insect Ionotropic Receptors by systemic ligand precursor administration.
Iguchi, Y., Fukabori, R., Kato, S., Takahashi, K., Eifuku, S., Maejima, Y., Shimomura, K., Mizuma, H., Mawatari, A., Doi, H., Cui, Y., Onoe, H., Hikishima, K., Osanai, M., Nishijo, T., Momiyama, T., Benton, R., and Kobayashi, K.
Commun Biol 7: 547 (2024).
https://doi.org/10.1038/s42003-024-06223-4
我々のグループは以前に,ショウジョウバエの感覚神経細胞がにおい受容体と特定のにおい物質の結合を契機として活性化する仕組みを利用して,哺乳類脳内の神経細胞を活性化させる技術を世界に先駆けて発表していました(Fukabori, Iguchi et al., Journal of Neuroscience, 2020)。しかし,哺乳類動物の脳は血液脳関門によって保護されているため,におい物質の脳内への効率的な供給に課題が残されていました。そこで,におい物質に血液脳関門に取り込まれやすくなるような化学的修飾を施すことで効率的な脳内への移行を実現し,マウスやラットの脳内でハエのにおい受容体を発現する神経細胞が活性化することを確認しました。本研究の成果は,複雑な認知や行動を作り出す脳神経系の機序解明や,加齢や疾患によって機能低下した神経細胞の再活性化による治療法開発に繋がるものと期待されます。
Springer Nature Research Communities に本研究の背景を解説するブログ記事を公開しました。