研究室ブログ

Koya Lab訪問

去る2018年6月4~6日の3日間にわたり,英国東サセックス州ブライトン市に位置するサセックス大学心理学部神経科学分野(Section of Neuroscience, University of Sussex School of Psychology)のDr. Eisuke Koyaを訪問しました。この訪問は,新学術領域「適応回路シフト」国際支援活動の支援を受けて実現したものです。

ブライトン市の街並み

Koya “Ensemble” Labは神経細胞アンサンブル研究(脳が,学習・記憶・意思決定・情動反応・運動制御といった心的機能を果たすとき,すべての神経細胞が活動するわけではない。どの領域のどの細胞が活動して心の機能が実現されるのか,ということを研究する分野)を精力的にすすめている研究室です。今回わたしは,最先端の研究成果と技術を身につけるための実験室見学と研究メンバーへのインタビューの機会をいただきました。

Koya博士と一緒に

Dr. Koyaからは,研究室のこれまでの成果,今後の研究プラン,そしてアンサンブルを可視化しその機能を検討するためのツール(c-fos-GFPマウスや,in vivo二光子顕微鏡,ex vivoパッチクランプ)について,全般的なご説明をいただきました。University of Sussex School of Psychologyは,Stuart Sutherland, Nicholas Mackintosh, Robert Boakesといった動物の学習行動研究における伝説的な教師が,Antony Dickinson, Richard Morris, John Pearce, Fred Westbrookといった現代の行動神経科学を牽引する(してきた)研究者を大学院生として迎え育てた場所でもあります。彼らの博士論文も閲覧することができました。

 

今は著名な研究者の博士論文

また,Gabriella Margetts-Smith (技師),Dr. Joseph Ziminski (ポストドクトラル・フェロー),Meike Sieburg (大学院学生),Leonie Brebner (大学院学生)らのKoya Labメンバーから,研究手法や最新の研究成果について1対1で直接ご教示いただきました。

 

Koya Labの技術の多くは,生体機能研究部門には未導入のものですが,今後の共同研究を通じてこれら技術を導入し,我々の研究室の強みであるげっ歯類のオペラント条件づけの研究に外挿することで,我々の研究をさらに進展させることができると思いました。受け入れていただいたDr. KoyaをはじめとするLabの皆さん,Department of Psychologyの皆さん,また渡航の支援をいただいた新学術領域「適応回路シフト」国際支援活動にお礼申し上げます。

 

記 井口善生