前回の留学記からずいぶん時間が空いてしまいました。気付けば渡米から11ヶ月。帰国は来年のちょうど今頃になるかなといったところです。2年間の限られた留学生活が半分を過ぎたところで、これまでを振り返ってみます。
前回1月の時点では、ボストンの冬の寒さをお伝えしましたが、その後2月に入って猛烈なSnowstormが続きました。市内の学校だけでなく研究所も閉鎖され、さらには除雪のために大きな道路は警察が閉鎖して、路駐している車は移動を命じられました。行政が大々的に除雪するのは、こちらで冬タイヤを履く慣習がないからです。あちこちでスリップしながら走っています。大きな道路は除雪されるものの、道路脇は高く積まれた雪で道は狭くなるし何よりも視界が大きく遮られます。気温が低いので雪は春先まで溶けません。真っ白な世界に閉じ込められたような気になります。
いつまでも消えない雪を見ながら遅い春を待ち焦がれていましたが、4月に入ると気温は上がり、日本のような季節を迎えます。しかし大きく違うのは、4月が新入生を迎える季節ではないということ。初々しいフレッシュマンの姿は春の訪れを知らせるものですが、それはなく5月〜6月にかけての卒業シーズンを前にした追い込みの時期で、学内・研究所内の雰囲気はいつもとやや違います。
桜は所々にありますが、今か今かと開花を待つような人はいません。この時期日本ではニュースで開花予想日などが報じられるとlab memberに話すと、他の花の開花もいちいちニュースで報じるのか?と聞かれて笑ってしまいました。
夏にはアメリカ在住の知り合いを訪ねて、長距離ドライブをしてきました。日本では見ることができないような大自然に触れて、感じて貴重な体験をしました。また、車でカナダ入国!カナダ入国はスムーズですが、アメリカに入るときはより入念に持ち物をチェックされます。
遊んでばかりの報告になってしまいましたが、研究の方は思い通りに展開できずやや苦しんでいます。labが電気生理の部屋なので実験手技が大きく違うこともあり、他の研究室を間借りしてウイルスベクター作製とそれに関わる一連の実験を行っています。その他色々と思い通りにならないことなどもありますが、くじけずに前向きにやっていこうと思います。
ボスのAnnが状況はどう?と頻繁に声をかけてくれて、結果が出るたびにdiscussionしています。言うまでもなく彼女は大脳基底核の超大御所でその知識量にはいつも驚かされます。顕微鏡で一緒に組織観察しても彼女にアトラスは必要ありません。僕に説明するためにアトラスを持って来るように言い、陽性細胞の分布領域を教えてくれます。言葉が不自由な僕にもとても親切に説明してくれます。