研究室ブログ

第46回日本神経科学大会のご報告

 2023年8月1日(火)から4日(金)にかけて仙台国際センターにおいて開催されました第46回日本神経科学大会は、お蔭をもちまして、盛会のうちに幕を下ろすことができました。4年ぶりの完全な対面での開催となった本大会では、2,700名を超える多数のご参加をいただき、国際的かつ多様なプログラムの元に活発な学術交流をおこなうことができました。ご参加いただいた皆様にお礼申し上げます。

大会執行委員の皆様と会場受付にて

大会執行委員の皆様と会場受付にて

 

 折しも本学会は、学問・書道の上達、家内安全・健康長寿、豊作・豊漁などを願う、仙台七夕祭の直前の開催となりました。ご存知の通り、七夕は中国の故事に由来し、旧暦7月7日の夜に、琴座のベガ(おりひめ星)と鷲座のアルタイル(ひこ星)を祀って学芸の上達を願うことから始まり、その後、日本古来の民族信仰と融合して現在の形に至っています。七夕の歴史と深い意味に想いをはせると、学問・学芸の上達を願うこと、豊作・豊漁を願うことは、「新しい研究に挑戦し、多くの輝かしい成果に向かう」という意味で、本大会の趣旨および成果に合致する点が多かったと思います。

大会長主催ディナーにて招待者と

大会長主催ディナーにて招待者と

仙台市アーケード商店街「サンモール一番町にて懇親会

仙台市アーケード商店街「サンモール一番町」にて懇親会

 

 私たちの研究室からは、加藤成樹准教授が藤山文乃先生(北海道大学医学研究院 組織細胞学教室)とシンポジウム「大脳基底核ネットワークにおける構造・機能の新しい知見と今後の展開」(協賛:学術変革領域研究(A)“適応回路センサス”)を共同オーガナイズし、この中で「皮質線条体入力における習慣化行動形成」との題目で話題提供しました。また、井口善生助教がLouis-Eric Trudeau先生(モントリオール大学神経科学・薬理学教室)とシンポジウム「生体の機能発現と病態形成におけるドパミンの役割の諸相の統合的理解と共通原理の探索」(協賛:学術変革領域研究(A)「適応回路センサス」)を共同オーガナイズし、この中で「目標指向行動の強化過程における腹側被蓋野に起始するドパミン系の多次元的な役割」との題目で話題提供しました。

 

 また、ポスターセッションでは、深堀良二助教が「げっ歯類におけるレバー押し動作記憶の両手間転移」、西澤佳代助教が「Combi-CRISPR技術により作製したカテコールアミン細胞特異的にCre recombinaseを発現するノックインラットの解析」、小林とも子研究員が「マウスCD25特異的組換え体イムノトキシンを利用したコモンマーモセット脳内神経細胞種の選択的ターゲティング」、赤間沙彩大学院生が「ウス胚における頸部運動神経細胞群の早期細胞死」と題して、それぞれ発表しました。その他にも、国内外の共同研究者が、口頭およびポスターセッションにおいて多くの成果を発表されました。

台日神経科学交流会(JNS台湾ナイト)

台日神経科学交流会(JNS台湾ナイト)

 

 会期後の8月5日(土)には「東日本大震災からの復興と将来への展望:神経科学による心理的ストレスの理解とメンタルヘルス・ケア」と題した市民公開講座を開催いたしました。喜田聡先生(東京大学)、富田博秋先生(東北大学)米倉一磨先生(相馬広域こころのケアセンターなごみ)、前田正治先生(福島県立医科大学)にご登壇いただき、東日本大震災に起因する心理的ストレスの現状および科学的なメンタルヘルス・ケアについて、平明にご講演いただくとともに、来るべく次の災害に備えて今からできることはなにか、といったテーマについて、参加した市民を交えた闊達なパネルディスカッションをおこないました。

 ご参加いただいた皆様に、重ね重ねお礼申し上げます。

(大会の様子は、第46回日本神経科学大会 Photo Galleryからご覧いただけます

https://neuroscience2023.jnss.org/photo0731.html)

 

小林和人

第46回日本神経科学大会 大会長