研究室ブログ

【R03】共通テストの生物第1問

もうそろそろ、この話題も旬が過ぎて、ここでこっそり書いても見向きもされないかな? 研究者が取り組んでいる研究の基礎知識って幅広いものが要求されるんです。福島県立医大は医大ですから人や人に関する基礎的な研究している人がほとんどで、基礎知識の生物という分野は大きなウェイトを占めています(でも受験生はだいたい物理・化学を選択するんだよね)。その点で、センター・共通テストの生物の問題はついつい見てしまいます。

そして令和3年の共通テストの1問目を見た時に、あぁ、長年ひっそり注目していた分野がみんなの注目を浴びてしまった、と思ったわけです。私がこのことを知ったのは2013年にNature誌にのった考古学(?)のこの記事です。牛乳革命というタイトルの記事にこの遺伝子変異がいかにすごかったが書いてあります、英語だけど。

実は私も牛乳は飲めない体質で、小学校の頃、特に高学年になってからは無理やり給食を完食させようとする(牛乳を飲まなければいけない)ルール・雰囲気を恨んでました! ラクトース不耐もそうだけど、アレルギーある人とか、どうしてたんだろう。

 


さて問題を見ていきましょう。問題自体はどこかで配布されているので、掲載許可を取ってここに載せるようなことはしません。

問1、ごちゃごちゃ前置きが書いてありますが、「濃度にかかわらず取り込む」と書いてあることからして「能動」ですね。腹部が膨張するのはガスが出ているのですが、細菌の活動の結果で出てくるガスですからね、選択肢から選ぶなら「二酸化炭素」ですよね。酸素でたら面白いな。ちなみに腸管で糖を輸送するタンパク質はいろいろあって、酵母から人までそれらの遺伝子はそこそこ保存されています。面白いですよね。

【ここが少しだけ神経科学!】血中から脳に糖を取り込むにも輸送するタンパク質が活躍しています。これが欠損したり機能しなくなったりすると、てんかんなどの症状が現れます(GLUT1欠損症)。この場合、エネルギーを糖ではなくケトン(脂肪系)によって補充すれば症状は改善します。

 

問2、ハーディ・ワインベルグの法則、教科書に出てきますよね(私が高校生の時は出てきたっけなぁ?)。P^2;2pp’:p’^2,とp+p’=1だっけかな? これで答えはすぐにわかりますね。

 

問3、真核生物の遺伝子発現、どストライクな分子生物学の問題ですね。真核にオペロン??、DNAポリがプロモーター??、1遺伝子1ポリペプチド??、タンパク質合成が核内??、(大学教員視点からは)正答以外は珍選択肢にしか見えません、出題者は優しいなぁ。

 

問4、ここが共通テストの売りの問題かな? 実験1~3から導き出される結論を探る問題。選択肢1、そんなデータ出てないし、他の実験でもそれに関する言及はなし。選択肢2、表1を見るべし。選択肢3、ちゃんと表1を見るべし。選択肢4、フムフムなるほど。選択肢5、表1を見るべし。しかし、実験2と3の影が薄いなぁ。


 

問題と比べると例のNature誌の記事、もっと面白いことが書いてあるので、ぜひ解読してみてください。科学って面白いんですよ。

最近、神経科学の記事を載せていない…、けど、ブログだし許してほしい。