≡福島お達者くらぶだより≡
2023年 10月
1日発行 通算 第109号
最近、新型コロナウイルスの感染が拡大しています。8月初めの夏祭りが従来規模で行われて人が集まり(東京ビッグサイトでのコミックマーケットには十数万人が密集しました)、それがお盆の旅行で各地に拡がったのが今の状況です。東京ではマスクをしている人たちがほとんどいないという話ですし。そこにインフルエンザの流行も伝えられています。皆様は人の集まるところではマスクをするなど、少しでも自衛してください。
今回は食べること、太ることについての生物学的、医学的なことを書いてみました。
人はなぜ食べすぎる?
ふつうの動物の食行動は、脳の底部にある視床下部によって、空腹を感じたら食べ、いっぱいになったらやめるというように調節されています。しかしヒト(生物としての人はカタカナで書くことになっています)では、精神的な作用も強く含まれる大脳の影響が非常に大きくなってしまって、生物学的な調節に頼ることができなくなってしまっているのです。
また、社会的な束縛も強く、たとえば昼休みには食事をとっておかないと午後の仕事が始まれば食べられなくなるなど、空腹でなくても時間が来れば食べるというように、習慣でもって食べるようになったことも大きいです。
さらに、人間は調理・味付けという文化を持つことになって食べ物がおいしくなり、さらに現代では砂糖をふんだんに使うことが可能になったため、食べることが快楽になりました。それゆえ、食べるには困らない状況では、人は放っておくとつい食べ過ぎてしまいます。
特に、ストレスが強い現代社会では、そのストレスの解消に食べることの快楽が無意識のうちに利用されがちです。あるいは、「やけ食い」などと称して、意識的にも利用されます。食後のデザートは「別腹」なんて言い訳も考えます。
食べすぎると、、、
そして、食べすぎると「死の四重奏」とも言われる肥満・高血圧・動脈硬化・糖尿病など生活習慣病を引き起こして寿命が短くなったり、死なないまでも生活の質(Quality
of Life)が低下するため、私達にはどのようにどの程度に食べればよいという学習が必要です。生活習慣病は若い人たちはあまり問題にならないでしょうが、その人たちも中高年になったときに、若いときからの食習慣の影響が出てきます。
生活習慣病の危険が迫る肥満の場合は、ダイエットで体重を落とす必要があります。その場合、何とかダイエットと名付けられているような方法はほとんど失敗に終わります。空腹で血糖値が下がって摂食が強く刺激され、それに負けて食べてしまうことが多いからです。そこで食べると、リバウンドで体重が元に戻ったとしても、体重が減少していくときには脂肪と筋肉が減少していくのに、戻る体重の95
%は脂肪で、脂肪は酸素や栄養の消費が少ないから、よけいに太りやすくなります。
運動はどうでしょうか。運動で消費するカロリーは、体重60
kgの人が時速10 kmで走った時に消費するのは1分間に10 kcal、30分走って300 kcalで、せいぜいケーキ1個分です。よほど強い運動を時間をかけてしないと、カロリー消費の目的は達せられません。
しかし、運動で筋肉が増えると、筋肉は常にエネルギーを消費しているので、基礎的なカロリー消費量が上がる効果があります。筋肉については、座ってしている仕事を1日2時間くらい立って行うことにすると、長期的には肥満抑制効果があるという報告もあります。
推奨されるダイエット法
それではどのようにダイエットしていくのがよいでしょうか。推奨されるのは夕食後(風呂に入るとき)と朝起きてトイレに行った後に体重を量る方法です。夕食で増えた体重は、寝ている間に尿と呼気から水を失っていって朝に最も低くなります。それを図に示すようにグラフにプロットしていくと(これはある女性の3週間の記録です)、少しだけ食事量を減らした効果が目で見えるようになって、ダイエットに励みがつきます。(ただし、この目的には50
g単位くらいの少し精巧な体重計が必要です。)
このように、体重は一日のうちに0.5〜1 kgくらい変動するのが当たり前で、それは自動的にコントロールされている体内の水の量の変動なのです。体型を作る脂肪や筋肉の量は簡単には変動しません。100
g増えたなどと騒がないでくださいね。