
疫学講座主任教授からのご挨拶
疫学講座は2013年8月1日に開設された新しい講座です。私は、本学卒業後、地域の医療機関において内科学、心療内科学(心身医学)の研修を受けました。その後、筑波大学大学院環境生態系(地域医療学教室 嶋本喬教授)に入学し、それ以降、大阪府立健康科学センター、ミネソタ大学疫学・社会健康学部門(Folsom教授)、大阪大学公衆衛生学教室(磯博康教授)を経て現在に至るまで、循環器疾患をはじめとする生活習慣病と身体・心理・社会的因子(環境要因を含む)との関連をテーマとして、地域・職域の人々を対象とする実践的な疫学研究を続けてきました。
私が疫学研究を行っていく中で最も大切に考えていることは、得られた研究成果を地域・職域に還元し、実際にどのように役立てるかということです。そのため、本講座において疫学研究を実施する上では、単に調査結果を分析するのではなく、地域や関連機関との連携のもとに、調査結果を十分に地域に還元し、地域住民の健康管理に役立てることを第一の目標としたいと思います。
具体的に疫学講座の主な業務としては、本学で実施しております「県民健康調査」の実施・解析の支援が挙げられます。県民健康調査、健診、がん登録、その他の疾患の発症調査、死亡票等のデータを統合した上でデータ管理を行い、そのデータをもとに疫学調査を実施すること。また、疫学調査を実施する上で、環境因子の影響の把握、および循環器疾患をはじめとする生活習慣病の発症調査について、精度が高く効率的な調査方法を開発し実施することが必要と考えます。私は秋田、茨城、大阪等で約50年続いている前向きコホート研究(Circulatory
Risk in Communities Study:
CIRCS)に携わっており、こうした経験を生かして「県民健康調査」の支援を行っていきたいと思います。
また、「県民健康調査」およびそれを基にした県民の健康管理は、今後数十年に渡って実施していかなければならないものです。したがって、疫学調査、健康管理に関わる臨床、地域における医師、保健師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、栄養士等の医療スタッフおよび医学部生等の大学生、大学院生へ継続して疫学に関する教育を行うこと、および教育プログラムを確立していくことが重要と考えます。
本学の理念の一つである「ひとのいのちを尊び倫理性豊かな医療人を教育・育成する」精神を常に念頭に入れて、教育・研究に積極的に取り組みたいと思います。疫学、予防医学、健康科学に興味がある方はいつでもご連絡下さい。
福島県立医科大学医学部疫学講座 主任教授
大平哲也
連絡先 E-mail : teoohira@fmu.ac.jp
略歴
福島県いわき市生まれ
- 平成 2年 3月
- 福島県立医科大学医学部医学科卒業
- 平成 2年 6月
- (財)総合会津中央病院池見記念心身医学センター医員
- 平成 4年11月
- 浜松医科大学付属病院第2内科医員
- 平成 5年 4月
- 共立菊川総合病院内科医員
- 平成11年 3月
- 筑波大学大学院博士課程医学研究科環境生態系修了
- 平成12年 7月
- 大阪府立成人病センター集団検診第Ⅰ部診療主任
- 平成13年 4月
- 大阪府立健康科学センター健康開発部医長
- 平成17年 1月
- 米国ミネソタ大学(University of Minnesota) 疫学・社会健康医学部門
研究員(上原記念生命科学財団 リサーチフェロー)
- 平成18年10月
- 大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学 医学部講師
- 平成20年 6月
- 同上 准教授
- 平成25年 2月
- 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター疫学部門 教授
- 平成25年 8月
- 福島県立医科大学 医学部疫学講座 主任教授 現在に至る
同 放射線医学県民健康管理センター健康調査支援部門 部門長(兼任)
同 健康増進センター 副センター長(兼任)