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2020年8月20日第67回米国核医学・分子イメージング学会(SNMMI2020)でポスター賞金賞受賞

 2020年7月11日~14日に開催された第67回米国核医学・分子イメージング学会(バーチャルエディショ

ン会議)において、趙松吉教授らの研究グループが腫瘍基礎部門でポスター賞金賞を受賞しました。

 この学会は、毎年6月にアメリカで開催する核医学・分子イメージング領域で最も大きい国際学会です。今

年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19 )のため、初めてバーチャルエディション会議として2020年7

月11日~14日に開催され、7000名が登録参加しました。

 この学会でのポスター賞は、腫瘍基礎部門をはじめ8部門において、各部門から金賞、銀賞と銅賞を設けて

います。今年は8部門において、976以上のポスター演題が採択され、各部門からトップ10演題が受賞候補者

に選ばれ、最終的な評価でトップ3の演題が受賞されることになります。

 本研究は、褐色細胞腫担癌マウスにおける211At-MABGの腫瘍増殖抑制効果と安全性について、初めて

131I-MIBGと直接比較検討を行ったことと211At-MABGの転移性褐色細胞腫や傍神経節腫への早期臨床応用が

期待されていることが高く評価されたものと考えています。本研究成果が核医学領域における世界権威の国

際学会で金賞を受賞できたことは、現在本学で進めている211At-MABGの非臨床試験から臨床応用への研究開

発に大きな励みになることを期待しています。

 なお、本研究は量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所との共同研究です。

【標題】

 Effects and safety of alpha-emitting meta-211At-astato-benzylguanidine (211At-MABG)

 compared with 131I-meta-iodobenzylguanidine (131I-MIBG) on tumor growth suppression

 in a pheochromocytoma mouse model

【研究者】

 趙 松吉、粟生木 美穂、西嶋 剣一、下山 彩希、右近 直之、

 高 峰英、鷲山 幸信、髙橋 和弘、伊藤 浩(先端臨床研究センター)

 吉永 恵一郎、鷲野 弘明、伊東 奈津江、

 吉岡 菜穂、田村 菜穂美、東 達也(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)

【概要】

 副腎に発生する褐色細胞腫と副腎外の傍神経節に発生する傍神経節腫はいずれもカテコールアミン産生を

特徴とする神経内分泌腫瘍であることから褐色細胞腫・傍神経節腫(PPGL:Pheochromocytoma and

paraganglioma)と総称されています。全生涯に渡り転移を来す可能性があることから2017年に世界保健

機構 (WHO)は褐色細胞腫・傍神経節種を悪性腫瘍に位置づけました。手術非適応の転移性PPGL患者の全身

治療として現状では化学療法(CVD)あるいはベータ線を放出するヨウ素-131(131I)を用いたmeta-131I-

iodobenzylguanidine(131I-MIBG)内照射療法以外に全身病変の進行抑制に繋がる治療選択肢がありませ

ん。131I-MIBGによる治療は標準治療のひとつとなっているものの、その生存ベネフィットが限定的です。ま

た副作用として高用量の投与或いは繰り返し投与による合計投与量の増加に伴い、骨髄抑制が重篤となる

ことがあります。そこでベータ線よりも、飛程が短く、細胞殺傷効果が高く副作用が少ないアルファ線を放

出するmeta-211At-astato-benzylguanidine(211At-MABG)は、転移性PPGLの治療に大いに期待されてい

ます。本研究では、ラット褐色細胞腫細胞(PC-12)移植マウスにおける211At-MABGの腫瘍増殖抑制効果と

安全性について、世界で初めて131I-MIBGと比較検討を行いました。

 この研究ではPC-12移植ヌードマウスに211At-MABG(1.11MBq)、131I-MIBG(31MBq)又は対照群と

して溶媒を尾静脈内投与し、2週間腫瘍体積・体重等の測定、またマウスの皮膚乾燥状態と下痢有無の安全

性について経過観察を行いました。薬剤投与14日後、211At-MABGは対照群に比較し有意な腫瘍体積縮小効

果を示し、131I-MIBGと同様の効果を示しました。しかし、211At-MABG治療前後のマウス体重の有意な変

化や副作用が認められませんでした。以上の研究成果より、211At-MABGは治療効果が高く副作用が少ない

新しい治療法として転移性褐色細胞腫や傍神経節腫の治療選択肢になる可能性が示唆されました。

 

 こちらから写真および賞状がご覧いただけます。

2020年6月22日研究成果が雑誌に掲載されました
2019年9月17日第9回核医学画像解析研究会のご案内
2019年3月29日先端臨床研究センターホームページ英語版を作成しました
2019年1月4日第8回核医学画像解析研究会で菅野賞受賞
2018年11月9日第8回核医学画像解析研究会のプログラムが決定しました。
2018年8月15日第8回核医学画像解析研究会開催のご案内
2018年5月16日日本放射線技術学会総会学術大会でCyPos賞受賞
2017年9月20日第7回核医学画像解析研究会開催のご案内
2017年4月21日日本放射線技術学会総会学術大会でCyPos賞銅賞受賞