教室紹介
教授からのご挨拶

神経精神医学講座
教授 三浦 至
2024年(令和6年)1月1日付で福島県立医科大学医学部神経精神医学講座主任教授を拝命しました,三浦至と申します.当講座は初代丸井琢次郎教授,第2代熊代永教授,第3代丹羽眞一教授,第4代矢部博興教授と引き継がれ,私で5代目となります.1945年(昭和20年)の開講以来78年の歴史と伝統ある教室で,この教室で学んだ多くの精神科医が多方面で活躍しており,積み重ねてきた経験や知識が教室を支え現在に引き継がれています.
当講座の臨床は大学附属病院心身医療科において精神科診療を幅広く行っています.統合失調症や気分障害などの専門的診療に加えて,小児科や多職種との連携による子どものこころ診療部門や,認知症疾患医療センター(基幹型)の役割も担い幅広い年齢層をカバーしています.精神科リエゾン,緩和ケアなどを通して他科領域との活発な連携を図るほか,摂食障害など身体合併症を有する精神疾患診療にも注力しています.診療の基盤として,生物学的・心理学的・社会的モデルに則り多面的な視点での診療を心がけ,最新のエビデンスを反映した最適な治療が行えるよう努力しております.
研究面でも上記の臨床に基づき生物学的研究のほか心理学や社会精神医学など幅広い研究を行っています.精神疾患の多くは不均一であり,その病態は未だ十分に分かっていないことが多くありますが,当講座では精神薬理学・分子生物学・神経生理学などさまざまな生物学的研究が行われてきた実績があり,これらを駆使して精神疾患の生物学的指標や病態の解明に少しでも近づくことをめざしていきたいと考えています.合わせて,薬物療法など診療現場に還元できる実用的な臨床研究を継続して行っていきます.また,東日本大震災後のメンタルヘルス研究や社会精神医学研究を含む心理・社会的研究も精力的に行ってきており,今後もさらに研究を進めていく所存です.
精神医学の重要性や必要性は年々高まっており,例を挙げると児童精神科,地域・学校・職場など社会におけるメンタルヘルス,災害精神医学,司法精神医学,認知症,緩和ケア,臨床倫理,など幅広い分野での役割が期待されています.これらの役割に応えるために,当講座ではさまざまな分野のエキスパートが在籍し,次世代を担う若手の指導・教育にも注力しています.専門医としてやっていくためには生物学的手法やエビデンスを原則としながらも,目の前の患者さんの言葉にじっくりと耳を傾け,患者さんの苦痛や人生を謙虚かつ真摯に受け止めていく姿勢が重要と考えています.当教室には得意分野を持った先輩医師に加え多くの若手が在籍しており,活気ある良い雰囲気の中,精神科の奥深さやさまざまな魅力に日々触れることが出来ます.是非一度ご見学や遊びにいらしてください.