法医学講座
教室紹介
社会の構造や現象が劇的に変化しつつある近年、法医学の社会への関わりは重要性を増しています。
法医学は法律上の問題解決に資する応用科学の一分野であり、社会との関わりに重点を置いています。そのためあらゆる科学、基礎医学および臨床医学のみならず、法律の観点からの研究も重要な守備範囲と言えます。
現在、当法医学講座は、教授、准教授、助教、医療技師、秘書、博士研究員、大学院生(MD-PhD)で協力し、研究、教育そして法医学実務に従事しています。当法医学講座は福島県内唯一の司法・行政解剖に携わる機関であり、平成27年7月に実働を開始した本学「医学部附属死因究明センター」の運営を中心に、毎年多数の死体検案や剖検を実施しています。
さらに、病院へ搬送された急性中毒患者の中毒物質同定や解決困難な警察の捜査活動への積極的協力など多岐にわたる社会的要請に対し全員の協力で対応しています。
研究活動
当講座の研究は多岐にわたっています。現在の主な研究テーマには次のようなものがあります。
- 頭部外傷の神経病理学的解析(法医神経病理)
- 乳幼児揺さぶられ症候群および中村Ⅰ型(乳幼児急性硬膜下血腫)の病態生理解明
- 年齢別の硬膜構造が頭部外傷の病態生理に与える影響の検討
- MRI装置を用いた乳幼児ホルマリン固定後脳の微小白質損傷の検出
- 甲状腺ラテント癌の病理・疫学的研究
- アシクロビル脳症の発症機序の解明
- 生体試料中グアンファシンとその代謝物の同時分析方法の開発
- 植物毒の体内動態に関する研究
- 臨床現場即時検査(POCT)の死体試料への応用可能性に関する検討
- 法医実務における死後画像診断の有用性に関する研究
- 迅速STR型鑑定装置を用いた遺体試料からの個人識別法に関する研究
教育活動
学部教育
- 医学部での教育は、法医学の専門教育のほか、学部内の複数の学年で実施されるチュートリアルに対して各教員が全面的に協力しています。
- 法医学は、公衆衛生学の一部として医師国家試験にもその関連事項が複数出題されることから、医師として知っていなければならない法医学の基本事項をわかりやすく解説しています。
- 基礎上級(研究室配属)では、配属学生が興味を抱くようなテーマを設けてリサーチや事例検討を行ってもらい、その過程で文献検索やプレゼンテーションの基本を身に付けられるように、各教員が丁寧に指導しています。
大学院教育
- 現在、法医学講座に所属する大学院生はいませんが、上記研究活動を中心に沢山の未解決テーマを用意して大学院生や研究生を迎える体制を整えています。
学外教育
- 警察や検察など、法医学との関わりの深い機関への出張講義を定期的に行っています。
詳細情報
研究に関する私たちの基本ポリシー
当講座で行われる全ての研究は、我が国で定める「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」 (平成26年12月22日公布)に従い福島県立医科大学倫理委員会の承認を経て行われています。
※当講座では、一般の方からの鑑定は引き受けてはおりません。