研究成果が掲載されました
令和7年10月付で国際英文誌の「BMC Public Health」へ原著論文(筆頭著者:本学医学部放射線健康管理学講座 アミール偉先生)が掲載され、診療放射線科学科の大葉隆准教授は共著者として参画いたしました。
【論文タイトル】:Behavioural changes in high school students and their parents, following their participation in seminars on discrimination and prejudice regarding radiation exposure: a qualitative study on the ‘GU-GU-RU’ project. (放射線被ばくに関する差別と偏見に関するセミナー参加後の高校生とその保護者の行動変化:「ぐぐるプロジェクト」に関する質的研究)BMC Public Health 25, 3333, 2025.
【論文概要】: 福島第一原子力発電所事故から14年が経過しましたが、国民の約40%が未だに、「現在の放射線被ばくでの、次世代への健康影響(遺伝的影響)が福島県民に起こる可能性」に関して「高い」あるいは「非常に高い」と答えています。この状況を改善するために、環境省は、放射線の健康影響に関する差別や偏見をなくし、正確な情報を広く共有する「ぐぐるプロジェクト」を開始しました。本研究は、「ぐぐるプロジェクト」で実施されている事業の1つである「ラジエーションカレッジ」の有効性を評価することが目的です。
本研究では、「ラジエーションカレッジ」セミナーに参加した東京の高校生14名とその保護者4名を対象に、インタビューを実施しました。インタビューで得られたデータは、各個人の発言の内容と文脈の両方から評価しました。結果として、放射線の健康影響、特に遺伝的影響に関する科学的情報は、参加した生徒にとって、関連する差別や偏見を認識し、自らの意見を形成するのに役立ちました。また、このような問題について、多角的な視点から生徒の自己認識が観察されました。さらに、生徒がセミナーについて家庭で話すことで、保護者の意識やその後の行動に変化が生じました。本研究の結果は、原子力災害後の長期的なフォローアップの取り組み効果を示したと考えられます。
論文URL https://doi.org/10.1186/s12889-025-24602-2