研究成果が掲載されました

理学療法学科の阿部准教授らが執筆した研究論文が公開されました。

脳卒中後のバランス機能と病巣部位の関連を解明

【研究概要】

 本研究は、脳卒中後のバランス機能障害と脳損傷部位との関係を明らかにすることを目的として、57名の初発脳卒中患者を対象に実施されました。バランス機能の評価には、臨床現場で広く用いられているBerg Balance Scale(BBS)を用い、画像解析にはSupport Vector Regression-lesion Symptom Mapping(SVR-LSM)を用いました。

 解析の結果、退院時のBBSスコアは、上縦束(superior longitudinal fasciculus)、中心前回、皮質脊髄路などの運動関連領域の損傷と関連していることが示されました。さらに、下肢運動麻痺の影響を統計的に調整した上で再解析したところ、中心後回や体性感覚野に加えて、上頭頂小葉や下頭頂小葉などの頭頂連合野が関連領域として抽出され、感覚統合や姿勢制御に関与する神経基盤の関与が示唆されました。

 これらの結果は、バランス機能障害が単に運動麻痺に起因するものではなく、感覚処理や前頭−頭頂ネットワークの損傷とも関連していることを示しており、神経学的要因を考慮したリハビリテーション戦略の設計や予後予測に新たな視点を提供するものと考えられます。
橋本優香,佐藤亮,日塔啓太,矢吹祐太郎,高橋成,阿部浩明
「脳卒中患者のバランス機能と関連する脳領域 ―Support Vector Regression-lesion Symptom Mappingによる解析―」
掲載誌:理学療法学(2025年)
早期公開ページhttps://doi.org/10.15063/rigaku.12567(J-STAGEでの公開日:2025年8月2日)

U https://doi.org/10.15063/rigaku.12567

 

脳卒中後のバランス機能と病巣部位の関連

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