FUKUSHIMAいのちの最前線
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186第20回日本集中治療医学会 東北地方会 プログラム・抄録集公立大学法人 福島県立医科大学麻酔科学講座飯田 裕司、根本 千秋、大橋 智、最上 翠、大石 理恵子、五十洲 剛、村川 雅洋原子力災害時の対処─人工呼吸を継続するために─はじめに 2011年3月11日14時46分に東日本大震災が発生した。 福島県においては震災と津波による被害に加え,福島第一原子力発電所による原子力災害にも直面することとなった。 当院は福島第一原子力発電所より57㎞の地点にあり,高線量率放射線への瞬間被曝より大気中に放出された放射性ヨウ素やセシウムを体内に取り込むことによる内部被曝が問題になると考えられる。そこで当院では,空間線量率が100μSv/hに達するか,原子力発電所にて爆発的事象が発生した場合には窓を閉め,空調,エアコンを停止し,外部から院内へ放射性物質が入り込むのを極力少なくすることにした。しかし,院内では人工呼吸器を使用しており,稼働のためには酸素供給と空気供給が必要である。空気配管は外気を院内に取り込んで供給しているため,院内に外気を取り込んでいることになり,対処が必要となった。対処するためには院内の環境を調べる必要があり,各部署にて空間線量率を測定してみたのでその結果と,今後,原子力災害時に人工呼吸を継続のための提案を行いたい。方 法 3月17日にICU(人工呼吸器未使用の状態),NICU(人工呼吸器7台使用中)とNICUで使用中の人工呼吸器吸気側,救命救急センターの挿管人工呼吸中,NPPV使用中,人工呼吸未使用中の各個室にて空間線量率を測定し,院外バックグラウンド値と比較した。結 果 バックグラウンド値が4.8μSv/hに対し,ICU,救命救急センター各個室では0.11から0.17μSv/hであった。しかし,NICUでは使用中の人工呼吸器吸気側では0.15μSv/hであったが,室内は0.3μSv/hと高かった。対処方法 放射性ヨウ素やセシウムは活性炭フィルタにて大部分が除去されるとされており,それらを外気取り入れ口で使用するとともに活性炭吸気フィルタや活性炭人工鼻などの開発が望まれる。

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