13回三次元CTMRI研究会

 

抄録集

1.頭部CT angiographyにおける量子ノイズ除去フィルタ(QDF)の有用性 ―脳動脈瘤ファントムにおける検討―

掛田伸吾1)、大成宣弘1)、森谷淳二1)、興梠征典1)、小川正人2)、大坪和義3)、
森下康之3)
産業医科大学 放射線科1)、産業医科大学病院 放射線部2)
東芝メディカルシステムズ株式会社3)


【目的】 量子ノイズ除去フィルタ(QDF)は、原画像から構造をエッジとして抽出し、先鋭度と平滑化の混合比を可変させることにより、分解能を損なうことなくノイズを除去する画像フィルタである。本研究の目的は、ファントム実験により、3次元QDFを用いることでCT angiography (CTA)の画質が向上できるか検討することである。
【方法】 脳動脈を模擬した管腔ファントムを作製し、これに13個の疑似動脈瘤(6個に2mm径のブレブを配置)を配置した。管腔ファントム内に濃度が15mgI/mlの造影剤を注入し、64列MSCT (東芝社製Aquilion64)を用いてCTAを撮像した。撮像条件は、管球回転速度:0.75ms、撮影スライス厚:64×0.5mm、ヘリカルピッチ:41、再構成は0.5mm厚、0.3mm間隔とし、線量(CTDIw)が15mGから92mGとなるように管電流(150~300mA)と管電圧(100kV、120kV、135kV)を変化させた。画像データは、3種類の3次元QDF(Q04;平滑化画像を高率に使用、Q06;平滑化画像と鮮鋭化画像を同等に使用、Q08;鮮鋭化画像を高率に使用) を用いて処理した。オリジナル画像を含めた4つの条件で撮像されたCTAのVR像について、脳動脈瘤の描出能を5段階で評価した。
【結果】 QDF(Q08)を使用したCTAは、オリジナル画像に比べ脳動脈瘤の描出が優れる傾向であった。CTDIwが60mGy(250mA, 120kV)の条件で撮像しQDF(Q08)を用いて処理したCTAは、CTDIwが72mGy(300mA, 120kV)の条件で撮像されたオリジナル画像に比べ、脳動脈瘤の描出が有意に優れていた(3.54 vs 3.23, p<0.05)。
【結論】 QDFを用いることでCTAの画質が向上し、被曝量を低減できる可能性が示唆された。

2.三次元MRIによる脳表ボリュームレンダリング画像:不透明度の最適化

三木 均、桐山 郁子、平塚 義康、菊池 恵一、望月 輝一
愛媛大学医学部 放射線科


【目的】 MRIによる脳ボリュームレンダリング(VR)画像に影響する因子として不透明度が挙げられる。しかし不透明度の設定に一定の指標はなく、その設定は作製者間で異なる。我々は高分解能三次元MRIの脳表VR画像において、脳表構造の観察に適した不透明度を検討した。また、脳腫瘍例で脳溝・脳回と腫瘍の位置関係の観察に適した不透明度も検討した。
【方法】 正常ボランティア5名とglioma3例を以下の条件で撮像した。MRI: Signa Excite 1.5T (GE), Coil: 8 ch頭部コイル, SPGR: TR/TE; 25/2.5ms, Flip角 20°,FOV 220 mm, Slab (0.8x256)mm, Slices 256(ZIP2), Slice厚 0.8mm(ZIP2), Matrix 256x192(512 ZIP), 感度補正あり。VR画像の作製はワークステーション(Advantage Workstation 4.1,GE)で行った。VR画像には白黒シェーディングを使用した。不透明度グラフの閾値は下限値を0、上限値を白質信号値の最大値の2倍に設定した。白質信号値は画像上でROIを放線冠に設定し測定した。上限値の不透明度を0から1.0の間で0.1毎に変化させてVR画像を作製した。正常例のVR画像で脳溝の描出能について、脳腫瘍例のVR画像で脳溝および腫瘍の描出能について、2名の放射線科医で評価した。
【結果】 今回の閾値設定においては、正常例では不透明度0.3のVR画像が脳表の観察に最も適していた。腫瘍例では、不透明度0.2-0.4のVR画像が腫瘍の位置・範囲の同定に適していた。
【結論】 VR画像で不透明度を低く設定することにより、脳表構造の観察に適した画像が作成できた。また、腫瘍例においては、脳溝と腫瘍の位置関係、腫瘍の進展範囲の同定に有用であった。

3.当院における開頭手術支援1-造影3D-SPGRを用いたStereomovie処理を主体に-

福永健哉、水口紀代美、目代俊彦、前田知則、山本功次、山中こず恵、福岡正晃、
三宅博久、森木章人、内田泰史
医療法人治久会もみのき病院 放射線部


【目的】 脳動脈瘤手術時の静脈の温存は、術後の静脈性梗塞の発生を防ぐ意味で重要である。当院では、静脈性梗塞の合併を回避するために、できるだけ静脈の切断を行わず、剥離温存している。一方で、静脈の走行には個人差があり、動脈には個人差が少ないことと、対称的である。従来のDSAでは、静脈を静脈相に描出することができるが、動脈が動脈相で描出されるタイミングとはズレがあり、両者を同時かつ三次元的に把握することはできなかった。よって、静脈の詳細は、執刀医が手術をしながらその場で、確認せざるを得ないことが多かった。今回我々は、造影 3D-SPGR を撮像し、(1)動脈と静脈の状態、(2)Sylvian veinの周囲の状態をstereomovie処理にて描出し、術前検査として有用性があるか否かを検討した。
【方法・対象】 未破裂脳動脈瘤クリッピング術を施行予定の患者データに、stereomovie処理を施し検討した。
【結果】 (1)において、動脈と静脈を同時に描出することにより、それらの位置関係を把握することができた。(2)においてSylvian veinや脳溝との位置関係を把握できた。
【考察】 従来のDSAや単純MRAでは、動脈と静脈を同時に描出することは困難である。しかし本法では、動脈と静脈を同時に描出することができ、全体的な血管解剖を把握することができた。また、当院のように静脈を温存したい場合、あからじめ静脈の走行が把握できるため、手術計画を立てる際に有用と思われる。
【結論】 術前検査として造影3D-MRAを撮像し画像処理を行うことで、執刀医に、より詳細な静脈等の周辺血管の情報を提供することが可能である。











4.当院における開頭手術支援2-造影3D-SPGRを用いたNavigation処理を主体に-

水口紀代美、福永健哉、目代俊彦、前田知則、山本功次、山中こず恵、内田泰史
医療法人治久会もみのき病院 放射線部


【目的】 脳動脈瘤手術時の静脈の温存は、術後の静脈性梗塞の発生を防ぐ意味で重要である。当院では、静脈性梗塞の合併を回避するために、できるだけ静脈の切断を行わず、剥離温存している。一方で、静脈の走行には個人差があり、動脈には個人差が少ないことと、対称的である。従来のDSAでは、静脈を静脈相に描出することができるが、動脈が動脈相で描出されるタイミングとはズレがあり、両者を同時かつ三次元的に把握することはできなかった。よって、静脈の詳細は、執刀医が手術をしながらその場で、確認せざるを得ないことが多かった。
 今回我々は、造影 3D-SPGR を撮像し、(1)Sylvius経由で脳動脈瘤に到達するまでの静脈の状態、(2)脳動脈瘤の周囲血管(動脈および静脈)の状態を種々の画像処理を行い、術前検査としての有用性があるか否かを検討した。
【方法・対象】 MR装置:GE Healthcare Signa HD1.5T 、画像処理装置:Advantage Workstationver.4.2。未破裂脳動脈瘤クリッピング術を施行予定の患者データを1.MPR処理(Multi Planar Reformat)、2.Navigation処理において、比較検討した。
【結果】 通常のMPRで血管の状態を描出するよりも、Navigation処理の方が実際の術野に近い情報を提供することが可能であった。
【結論】 術前検査として造影3D-MRAを撮像し画像処理を行うことで、執刀医に、より詳細な静脈等の周辺血管の情報を提供することが可能である。


5.3D-CT SAS Fusionを用いた電極埋め込み術後の評価

藤岡知加子、石風呂実、山岡秀寿、木口雅夫、有江隆一、田中順平、西山光、
舛本俊典
広島大学病院 診療支援部 放射線部門


【目的】 脳表病変の3次元評価法として、CTを用いた3D-CT;Surface Anatomy Scan(SAS)にて脳表病変の描出を試みたが、電極など金属のある場合は、脳溝、脳回はアーチファクトの影響を受け、明瞭に描出することは困難であった。今回、術前、術後の3D-CT SASをFusionさせ、金属アーチファクトの影響のない画像を得ることが出来たので報告する。
【方法と使用機器】 頭部ファントムを用いファントム位置、およびFOVを変化させFusionが正しく行われるか評価を行った。
電極埋め込み術を行った症例において、術後データのみで3D-CT SASを作成したものと、術前の画像とFusionさせ作成したものと比較した。
CT装置:Light Speed Ultra 16(GE),ワークステーション:Virtual Place Advance(AZE)
【結果】
1.ファントムを用いたFusionは、FOVなどの影響はなく位置補整が可能であった。
2.電極埋め込み術後のCT-SASでは脳溝、脳回は明瞭に描出することが難しかった。
3.Fusionにより作成した3D-CT SASは脳溝、脳回が明瞭に描出され、電極の位置の同定が容易であった。


6.脳腫瘍における64列MDCTを用いたCT perfusionとCTAからの脳表画像の 100ml造影剤での連続撮影

小柳正道1)、吉田隆1)、高橋正勝1)、浜田健司1)、高木正人1)、小林邦典1)、
立石秀勝2)、土屋一洋2)
杏林大学医学部付属病院放射線部1)
杏林大学医学部放射線医学教室2)


【目的】 表在性の脳腫瘍患者に対しperfusion CTならびにCTAからの脳表画像を、造影剤の量を増やすことなく連続して撮像する試みを行ったので報告する。
【方法】 単純CT、perfusionCT、CTAの順で検査施行する。造影剤は370mgI/ml製剤100mlを使用した。perfusion CTは注入速度を3.0ml/秒に設定し、造影剤25ml注入後に生理食塩水40mlで 後押しした。撮像開始は造影剤注入開始から5秒後とした。その後、脳表画像作成用のCTAを撮像した。注入速度は3.0ml/秒で造影剤75ml注入後に生理食塩水40mlの後押しを追加した。画像処理の際には、病変の位置決めとして使用した、単純CTのデータを用いサブトラクションした。
【結果】 perfusionCTの良好な各種マップが作成できた。またCTAに関してもサブトラクション処理を行うことにより、脳表静脈・動脈の細部が良好に描出された。方向や観察面の深さを任意に変えることで、脳回・脳溝と腫瘍ならびに動静脈分枝のすべてが描出された画像が得られた。
【結論】 MDCTにて高濃度造影剤と生理食塩水フラッシュの組み合わせを用いることにより、100ml製剤により、一回の検査で術前情報として重要なCTAからの脳表画像を得ることができる。またperfusionCTによる質的評価を加えることが可能である。今後どこまで検査全体の線量を落とせるかが、検討課題と思われる。
7.CT PerfusionとCT angiographyを用いた髄膜腫の術前診断

高木 亮、町田 幹、城 正樹、岡崎恵美、吉原尚志、林 宏光、汲田伸一郎、
寺本 明1)
日本医科大学医学部 放射線科、脳神経外科1)


【目的】 CT perfusion(CTP)の解析ソフトに造影剤が血管から間質へ拡散する様子を特徴付けるPermeability surface (PS)mapが追加され、脳腫瘍性病変への臨床応用に期待がかけられている。今回我々は髄膜腫の術前診断にCTPとCTAを施行し、その有用性につき検討した。
【方法】 対象はCT、MRIで髄膜腫と診断され術前に三次元CTが依頼された13例。単純CTを施行後、腫瘍が含まれる断面を設定しCTPを撮像、CTPに引き続いてCTAを撮像した。CTPはCBF、CBV、MTT、PSのfunctional mapを作成し、腫瘍部分に関心領域を設定しそれぞれの数値を計測した。さらに、CTP画像と造影CTやMRI画像を腫瘍の造影効果について比較し、さらに術中所見と比較した。
【結果】 CTPで計測された髄膜腫の腫瘍灌流の数値は、Tumor BF:11.59~777.03(平均142.22 )ml/min/100g、Tumor BV:1.44~42.79(平均7.90)ml/100g、MTT:2.59~12.31(平均4.67)秒、PS:5.39~29.76(平均16.37)ml/100gであった。造影CTやMRIで均一な造影効果を示した腫瘍も、CTP画像では腫瘍の内容成分に新たな造影分布が示された。13例中3例に術前塞栓術が施行され、術中所見では、塞栓術後2例を含めた5例で腫瘍は出血しやすく、出血の少ない8例の腫瘍と比べCBF、CBV、PS値は高くMTTは延長していた。また、充実性の堅い腫瘍が4例で認められ、容易に摘出できた9例と比べCBF、CBV、PS値は低くMTTは短縮していた。
【結語】 CTPで示される腫瘍灌流の数値は絶対的なものではないが、CTAと合わせたCTPは髄膜腫の術前診断に有用な画像情報を提供する。 8.脳腫瘍のdynamic 3D-CTAの有用性

古賀 誠、戸村 則昭、安田 格、佐久間 郁郎、高橋 聡、渡会 二郎、
笹嶋 寿郎1)、溝井 和夫1)
秋田大学医学部附属病院 放射線科、脳神経外科1)


【目的】 脳腫瘍のdynamic 3D-CTAを行い,腫瘍の造影増強効果や栄養血管の同定,静脈の早期描出について,血管造影と比較検討を行い,その有用性について報告する.
【対象と方法】 対象は,原発性脳腫瘍と診断された18例で,glioblastoma,anaplastic oligodendroglioma,pineal astrocytoma,medulloblastoma,hemangioblastoma,meningioma,anaplastic meningioma,lymphomaなどである.GE Light speed VCTを用い,造影剤 は370 mgI/mlとした.Scanは同一部位を1.0 secで連続撮影した.カテーテルによる血管造影を施行したのは18症例中10例で,血管造影とdynamic 3D-CTAについて,腫瘍の腫瘍血管・濃染や栄養動脈の同 定,灌流静脈の早期描出について比較検討を行った.
【結果】 4cm厚の3D-CTAを経時的に作成し得,また任意の断層面での経時的観察も可能であった.血管造影が行われた10例での血管撮影所見は,腫瘍血管・濃染は10例,栄養動脈は8例,静脈早期描出は5例で認められていたが,dynamic 3D-CTでも,腫瘍血管・濃染は6例(血管撮影の60%),栄養動脈は6症例 (75%),静脈早期描出4例(80%)で描出された.血管造影が行われなかった8例では,腫瘍血管・濃染は4例,栄養動脈は4例,静脈早期描出3例で描出された.dynamic 3D-CTでは,撮像範囲が4cmと限られること,被曝 が大きいことが課題として考えられた.
【結論】 dynamic 3D-CTは撮像範囲が限られているが,経時的に脳腫瘍への血流情報が得られ,栄養動脈,灌流静脈なども経時的に描出され,術前情報として有用な情報を与えると思われた.


9.脳動脈瘤のクリッピング術後評価における,アプリケーションを用いたクリップ除去CTAの有用性

戸村則昭1)、大谷隆浩1)、佐久間郁郎1)、古賀 誠1)、高橋 聡1)、渡会二郎1)、柳沢俊晴2)、溝井和夫2)
秋田大学医学部統合医学講座放射線医学分野1)、
神経運動器学講座脳神経外科学分野2)


【目的】 脳動脈瘤の術後評価のための3D-CT-angiography(3D-CTA)において,骨除去機能を有するアプリケーション(AutoBone)を用いて,クリップ除去を行った3D-CTAの有用性について,従来の方法と比較した。
【方法】 39例の43動脈瘤を対象とした。動脈瘤の部位は,内頸動脈,前交通動脈,中大脳動脈などで,17の破裂動脈瘤と26の未破裂動脈瘤である。クリップは全例でチタン製であった。29動脈瘤では一つのクリップで,11動脈瘤では2つのクリップで,2動脈瘤では3つ,1動脈瘤では4つのクリップが用いられていた。全例で,術後にカテーテルによるDSAが施行されていた。CTAは,64列または32列のCTを用いた。ワークステーションに転送後,AutoBoneによりクリップと近傍の骨を除去したCTAをvolume rendering(VR)像で作成した。同時に,自動骨除去アプリケーションを用いない従来の方法(non-AutoBone)によるVR像も作成した。この2つの方法によるVR像について, ROC解析により,術後のneck残存の有無を次ぎの5段階で評価した。2名の放射線科医が評価し決定した。AutoBoneによる方法とnon-AutoBone法とを,Az値で比較し検定した(Student's t)。
【結果】 ROC解析によるAz値は,AutoBone法が0.949,non-AutoBone法が0.751とAutoBone法がneck残存の評価に有意に優れていた(p<0.05)。3または4つのクリップがかけられていた動脈瘤では,両者の方法ともにアーチファクトが多く,評価はできなかった。【結論】 脳動脈瘤のクリップ術後において,自動骨除去アプリケーションを用いたクリップ除去した3D-CTAは,そのneck残存の有無評価に有用と考えられた。


10.自動血管解析ソフトによる椎骨脳底動脈狭窄の評価

大谷 隆浩、戸村 則昭、佐久間 郁郎、高橋 聡、安田 格、渡会 二郎、柳澤 俊晴1)、溝井 和夫1)、今川 康太郎2)、瀬川 晃司2)
秋田大学医学部統合医学講座放射線医学分野
神経運動器学講座脳神経外科学分野1)、GEヘルスケア2)


【目的】 血管自動解析ソフトを用いて椎骨脳底動脈の狭窄を評価し、その描出能と有用性を検討した。
【方法】 2006年6月から2007年10月まで当院で施行された頭頸部3D-CTAのうち、MRIやCTで椎骨脳底動脈領域に明らかな梗塞や虚血性変化の認められた27名[男性21名、女性6名、年齢52~79(平均69.1歳)]、33検査を対象とした。CT装置には32列ないしは64列MD-CTを用い、原則として造影剤50ccを3ml/secで注入し造影タイミングはトリガー法を用いた。WorkstationにはAdvanced Vessel Analysis (AVA)をインストールして使用した。処理により得られる、椎骨脳底動脈における血管描出の状態と正確性を判定し、自動的に算出される両側椎骨動脈での狭窄率を集計した。うち9名では血管撮影が行われており、3D-CTA画像との描出能の違いを比較検討した。
【成績】 簡便な操作で両側椎骨脳底動脈のcurved MPRや内腔変化の画像が得られた。右椎骨動脈の描出は、起始部閉塞の2例を除くと13名16検査で起始部近傍までしか自動解析されなかった。左椎骨動脈の描出は、Direct VAの4名、起始部閉塞の1名を除くと7名で部分的な自動解析にとどまった。いずれも起始部の高度狭窄もしくは造影剤のartifactが原因と考えられた。右椎骨動脈では平均43.2±24.1%、左椎骨動脈では48.3±21.1%の狭窄率と算出された。血管造影との対比及び同一患者間の比較では比較的良好な再現性が得られたが、造影剤の増強効果の程度やartifactの影響などで大きく変動する症例もみられた。
【結論】 AVAにより簡便な操作で椎骨脳底動脈の内腔及び狭窄率の詳細な評価が可能であった。ただ正確性や全長描出の安定性にはより検討が必要と思われた。


11.奥行き情報を有する Weighted MIP の有用性に関する検討

福永健哉、水口紀代美、前田知則、山本功次、山中こず恵、福岡正晃、三宅博久、
森木章人、目代俊彦、内田泰史
医療法人治久会もみのき病院 放射線部


【目的】 MIPは有用性が高く、かつ容易に作成可能であるためMRやCTの画像処理に、一般的に用いられている。しかしMIPには、奥行き方向の情報が失われ物体の前後関係が不明瞭になるという欠点がある。今回我々は、奥行き情報を有するWeighted MIPの有用性を、MRおよびCTにおいて検討した。
【方法】 ①頭部造影3D-SPGRデータと②胸部単純CTデータを用い、MIP(or VR)画像とWeighted MIP画像を比較検討した。またWeighted MIPに関してはstereomovieとして観察した。
【結果】 ①において、通常のMIPは表面と深部の血管系が同時に描出され、Weighted MIPでは深部の血管系は描出されずに、表面近くの血管系および耳介が描出された。②において、VRでは血管系を描出することは可能であったが、閾値によってはそれらが不明瞭となった。Weighted MIPでは、血管系が不明瞭となることなく、かつ立体的に描出された。また、Weighted MIPをstereomovieとして観察することにより、対象物の前後関係がより明瞭となった。
【考察】 通常用いられているMIPは、深さ方向の情報が失われるため、物体の前後関係を把握することが困難である。VRは、立体的に描出されるため前後関係を把握することが可能であるが、閾値の設定により描出能が異なる場合があり、作成者によって描出能にバラツキが生じる可能性がある。Weighted MIPは、それらの欠点を補っており、客観性に優れ、かつ作成方法も容易である。目的部位・症例に応じて、適切な処理方法を選択することにより、画像診断を向上させることが可能である。
【結論】 奥行き情報を有するWeighted MIPは、物体の前後関係の把握に有用であり、MRやCTなどさまざまなmodalityへの応用が可能である。











12.Advanced Clusterを用いたネットワーク型3次元画像解析装置の開発とその有用性の検討

伊達信忠、畦元将吾1)
株式会社AZE
東邦大学医学部医学科客員講師1)


【目的】 これまで、3D画像解析ワークステーションは、単独で使用するスタンドアロンタイプのものが多く、CTやMRIなどのモダリティ装置の近くに配置されることが多かった。近年、コンピュータ技術の進歩により、クライアントから3D処理が可能なサーバ型などのワークステーションが登場し、普及し始めている。今回、この二つのシステムの長所を統合したクラスタ方式を用いた数十台のクライアントから同時アクセスすることが可能なネットワーク型3D画像解析システムを開発した。今回開発したシステムの運用の有用性について検討を行ったので報告する。
【方法】 今回は、AZE社製AZE VirtualPlaceTM Terminal Service(ネットワーク型3Dワークステーション)を使用した。
【結果・考察】 今回開発したシステムでは、複数のネットワーク型3Dワークステーションをクラスタリング処理により連携させることで、同時接続可能な台数を大幅に増加させることができた。ネットワークプロトコルには、MicrosoftR のプロトコルを応用し、接続台数が増加しても安定した転送速度を保つことができた。ハードウェアにも特殊なレンダリングボード等を必要とせず、クライアントに使用するPCも標準的なPCで臨床に耐える十分な速度で動作可能であった。WindowsR だけでなく、Mac OSを使用したコンピュータ、汎用のノートPCでも十分な速度で動作した。このシステムは、特別な置き場所を必要としないため、容易にシステムを追加することが可能であり、3D作成だけでなく、様々な解析アプリケーションも動作可能なため、院内全ての端末から画像解析を行える環境も構築可能と考えられる。


13.64列MDCTにおける頚部CTAの撮影条件の検討

古川研治、板谷篤司、片山真人、向賢二、前田拓哉、山本崇史、高木博明、山本綱記
医療法人孝仁会 星が浦病院 放射線部


【目的】 当院でのルーチン頚部CTAでは大動脈弓部から後頭蓋までの範囲で撮影しているが、内頚静脈や鎖骨下静脈が造影され、解析に苦慮することがある。そこで動脈のみを安定して描出するため、撮影の開始方法や撮影方向について検討した。
【使用機器】CT装置 Light Speed VCT 64列(GE)。解析装置 Advantage Workstation 4.2P(GE)。Injecter DUAL SHOT Type D(根本杏林堂)
【方法】
1.頚部CTAを試行した20例におけるTest Injectionでの内頚動脈、内頚静脈のTDCを作成し、動静脈の平均的な造影剤到達時間を求めた。
2.Bolus Tracking法とTest Injection法、撮影方向が頭尾方向と尾頭方向で撮影した症例を比較し、内頚動脈、内頚静脈、大動脈弓部、鎖骨下静脈でROIを計測し、動静脈の描出の違いを検討した。
【結果】
1.動静脈の平均的な造影開始時間の差は7.6秒であった。
2.Bolus Tracking法は撮影者によりばらつきが生じ、撮影開始も遅くなる傾向となった。
3.Test Injection法はBolus Tracking法に比べ内頚静脈の描出が少なかった。
4.Test Injection法での撮影方向は、尾頭方向に比べ頭尾方向で内頚、鎖骨下静脈の描出を抑え動脈のみを描出できた。
【考察】 造影剤到達予測をTest Injection法で行い、静脈の流出の特性や時間を考慮し、撮影方向を頭尾方向、撮影時間を7秒以下で行う事により、静脈の影響を低減し動脈のみの画像を得ることができた。今後、造影剤到達時間や撮影時間を考慮したうえでの造影剤量についても検討を行いたい。


14.256列マルチスライスCTによる嚥下時耳管運動の描出の試み

吉岡哲志、内藤健晴、藤井直子1)、加藤良一1)、片田和広1)
藤田保健衛生大学医学部 耳鼻咽喉科学教室、放射線医学教室1)


【はじめに】 次世代CTである256列マルチスライスCTにより顔面~頚部を撮影する機会を得た。特に嚥下時の耳管運動の画像化を試み、良好な結果を得たので報告する。本機は従来のCT同様の完全な等方性に加え、等時相性が得られ、スキャン上端と下端での時相差がない。そのため同一部位での連続回転によりxyz軸に時間軸を加えた、4次元CTが撮影可能である。
【方法】 予め方法と目的、被爆につき認識し同意書で同意を得たボランティア3名を対象とした。使用機器は東芝Aquilion256(#3)、撮影条件は120kV,200mA,0.5mm×256,0.5sec/回転×6回転。耳管~頚部食道までを撮像範囲に含め、撮影中に希釈造影剤を嚥下させた。0.1sec毎に画像再構成した。
【結果】 嚥下運動と共に、耳管軟骨部が開放する様子を、MPR画像や4DCTで動画描出できた。嚥下運動のどのタイミングで耳管が開放するか容易に把握可能であり、嚥下第二相において約0.5秒間、軟骨部が開放する様子が描出された。
【考察】 今回初めて、耳管の開放する様子を動的に描出することに成功した。側頭骨領域において、従来の形態の検討のみならず、機能の検討への応用の可能性が示唆され、各種中耳疾患の病態究明への応用が期待された。本手法の問題点として、多い被曝が挙げられる。低被爆化技術は日進月歩であるが、いかに低い線量で機能に結びつく臨床画像が得られるかが問題であろう。現時点では充分に被爆を正当化し臨床応用できる画像ではなく、他にも圧倒的なデータ量と計算量などの解決すべき問題は多い。それでも、嚥下障害の正確な障害部位の検討、耳管機能障害に起因する疾患の機能診断などへの応用の可能性は無限であり、従来に全く類を見ない革新的な画像描出が初めて具現化された意義は大きいと考える。


15.末梢肺病変に対する仮想気管支鏡(Virtual Bronchoscopy)ナビゲーション下の経気管支生検

岩野信吾1)、岡田徹1)、長縄慎二1)、今泉和良2)、長谷川好規2)
名古屋大学医学部附属病院 放射線科1)、呼吸器内科2)


【目的】 マルチスライスCTで得られたthin-sectionデータから末梢肺病変に到達する経路の仮想気管支鏡画像を作成し、経気管支生検のナビゲーションとして利用できるかどうかを検討した。
【方法と対象】 撮影機種は16列/64列マルチスライスCT Aquilionで、1mm/0.5mm厚の縦隔条件を元画像とした。使用したワークステーションはZIOSTATIONで、放射線科医が気管分岐部から病変に到達する気管支経路を同定し、その仮想気管支鏡を作成し、呼吸器内科医はこれをナビゲーションとして気管支鏡を挿入し生検を行った。対象症例は2006年9月~2007年10月に当施設において仮想気管支鏡ナビゲーション下に経気管支生検を行った肺腫瘤性病変のうち、4次気管支より末梢に存在した49病変である。患者は女性22名、男性27名、年齢は38~81歳(平均年齢66.1歳)で、腫瘤の最大径は15mm~55mm(平均29.5mm)であった。最終診断は全て組織診断に基づき、経気管支鏡生検で診断が確定しなかった病変はCTガイド下生検もしくはVATS肺生検で診断を確定した。
【結果】 悪性43病変中(腺癌:32、扁平上皮癌:7、小細胞癌:1、非小細胞癌:2、転移:1)、経気管支生検で確定診断がついたのは29病変(56%)、疑陽性が9病変(21%)であった。一方、良性6病変中5病変は経気管支鏡生検で確定診断がついたが膿瘍の1例は疑陽性となった。
【結論】 仮想気管支鏡は肺末梢病変の経気管支生検のナビゲーションとして有用であると考えられた。


16.肺限局性スリガラス影のコンピューター支援三次元体積測定

尾田済太郎、粟井和夫、劉舵、中浦猛、彌永由美、村尾晃平、小澤亮夫、山下康行
熊本大学大学院医学薬学研究部画像診断解析学


【目的】 CT肺癌検診で発見される肺限局性スリガラス影(ground glass opacity: GGO)の18-63%は悪性と報告されている。GGOを示す肺癌は一般的にdoubling timeが長いため、GGOの経過観察の際にサイズの増減について正確に判断することは困難である。今回は、コンピューター支援肺結節体積測定ソフトウェア(CAV)を用いてGGOの三次元的体積測定を行い、その精度および観察者内、観察者間の一致度について検討を行った。
【方法と対象】 まず模擬GGOを含む胸部ファントムによりCAVソフトウェアの精度を検討した。模擬GGOの直径は3、5、8、10、12 mm、CT 値は -800、 -600、-450 HUである。3人の放射線科医が、CVAソフトを使用しそれぞれの結節の容積を測定し、volume measurement error (VME)[(測定容積―容積の真値)/(容積の真値)×100]を計算した。次に臨床においてthin section helical scanが実施されているGGO 47病変に対して、3人の放射線科医が容積を測定し、観察者内、観察者間誤差について、Bland-Altman法により検討した。
【結果】 ファントム実験では、いずれのCT値のGGOについても径5mm以上でVMEは10%以内であった。臨床例における検討では、250mm3以上の結節(真球とすれば径8mm)において、観察者内および観察者間の一致度が高かった。
【結論】 CAVソフトを用いた体積測定において、径8mm以上の限局性GGOにおいて、測定の精度、観察者内および観察者間の一致度が高かった。


17.64列MDCTのデータを用いたCT三次元再構 成画像での肝区域理解の試み

冨山 毅、金子 貴久、喜友名 一、町田 幹1)、高木 亮1)、林 宏光1)、
汲田 伸一郎1)
日本医科大学 医学部 4年、日本医科大学付属病院 放射線科1)


【目的】 肝区域は、門脈と静脈の走行に基づくCouinaud分類が用 いられる。教科書的に、模式図として直線的に区別され、肝区域の診断 は容易な印象を受ける。しかし、CTやMRI等の画像診断で は、門脈や静脈の血管の走行を把握しながら診断され、区域の診断が難 しい場合も少なくない。今回、マルチスライスCTで撮像された肝 臓の容積データを用い、肝内脈管の走行に注目し、肝区域の解剖学的な 診断能ついて検討した。
【方法】 CTは64列MDCT(LightSpeed VCT, GE)、Work StationはAdvantage Windows Ver.4.3(GE)を使用した。上腹部の 多時相dynamic CTを施行し、病変なしと診断された症例の画像 データを用いた。造影方法は3ml/secの速度で総量100mlを 静注し、動脈相・門脈相・平衡相を撮影した。0.625mm厚の再構 成画像にて門脈と肝静脈の分枝を中枢側から1画像ずつ同定した。 gray scale表示では末梢血管の同定が困難であり、NIH color表 示画像を参考にした。続いて区域毎の三次元画像を作成、fusion し、Couinaud分類やCantlie線を想定した上で、画像と解 剖構造について検討した。
【結果】 多方向からの三次元画像の観察で、門脈と肝静脈の走行の把握 は容易であった。門脈は1次分枝までは容易に同定できるが、区域枝は 分枝様式が多彩で区域枝本幹が同定できない区域もあり、区域診断の際 に、肝静脈や鎌状間膜など他の構造を頼りにする必要が生じた。 Cantlie線をはじめ、肝区域を区別する境界は教科書的な直線ではな く、曲面で分けられた。特に左前外側区は肝静脈に沿うように前下方に 張り出していた。
【結語】 CTの血管支配で示される肝区域は教科書で示される模式 図の肝区域とは異なっていた。三次元画像は肝臓の詳細な解剖学的構造 の把握に有用であった。

18.非造影MRIを用いた肝切除術前シミュレーションの検討

池田正光、清野真也、樵勝幸、高済英彰、八木準、村上克彦、佐藤孝則、遊佐烈、
鈴木憲二
福島県立医科大学附属病院 放射線部


【目的】 生体肝移植や肝切除術の術前情報として、肝体積の解析や脈管および臓器の位置関係の把握は非常に重要である。一般的にこれらは、造影CTのデータを用いて行われている。しかし、造影剤のアレルギーや腎機能の状態により造影剤を使用できない場合があり、非造影で解析できないかとの医師からの要望もある。今回われわれは、非造影のMRI画像を用いて肝体積の測定および脈管の描出を試み検討したので報告する。
【使用装置】 東芝社製EXCELART Vantage 1.5T、使用コイル:QD TORSO SPEEDER
【方法】
1.体積を求めるための最適な撮影シーケンスを検討し、擬似ファントムを使いCTとの体積の比較。
2.造影CTとMRIを両方施行した臨床データによる肝体積を比較。
3.非造影により描出した脈管や臓器をフュージョンさせた3次元シミュレーション画像を作成。
【結果及び考察】 体積測定においてはパーシャルボリュームによる多少の誤差は生じるものの許容できる範囲であった。造影剤を使えない患者様に対して、非造影MRIによる肝切除シミュレーションは有用であり、脈管をフュージョンさせた画像を用いることにより、より正確に切除範囲を決定することが可能であることが示唆された。今後、パーシャルボリュームの影響が少なくかつ肝実質が高コントラストに描出される撮像シーケンスをさらに検討することにより、より高精度のシミュレーションが可能となることが期待される。


19.消化管3DCTが有用であった胃癌術後腸閉塞の1例

町田 幹、高木 亮、林 宏光、汲田伸 一郎、隈崎達夫
日本医科大学付属病院 放射線科・ハイテクリサーチセンター


 陰性造影剤である空気を注入した消化管の三次元CTは、主に胃 や大腸の評価に臨床応用されているが、小腸の評価や腸閉塞の診断の報 告は比較的少ない。今回我々は、腸閉塞で発症した胃癌(Roux-en Y吻合)術後再発症例に対して消化管三次元CTを施行し、その有 用性について報告する。
 症例は46才、男性。1年5ヶ月前に胃癌の診断で、胃全摘・ Roux-en Y吻合術が施行された。腹痛を主訴として他院受診し、通常の CTにて十二指腸盲端の拡張が見られたため、経皮経肝的に十二指腸内に 先端を置くドレナージチューブが留置された後、当院消化器外科へ転送 となった。ガストログラフィンを用いた上部消化管造影検査では狭窄部 位の同定が困難であり、 消化管に空気を注入した3DCTが 計画された。
 使用装置はGE社製LightSpeed VCT。ブスコパン1 Aを筋注した後、留置した胃管から約500cc、経皮経肝的ドレナー ジチューブから200ccの空気を注入した後、CTのスキャノ グラムでガス像を確認、造影剤を3ml/sを100 mlで静注 し、動脈相・肝静脈相の2相を撮像した。0.625mm厚の画像 を再構成し、Advantage Windows (ver. 4.3)へ転送、多 時相のfusion 3DCTを作成した。動脈・門脈系の脈管・上部消化 管・骨を三次元的に重ね合わせ、VR法を用いて三次元画像を作成 した。
 三次元CTの元画像では、空気で拡張させた消化管の連続性を評 価することで、狭窄部位の診断が可能となった。今回、十二指腸盲端側 とRoux-en Yで吻合された小腸に対して、それぞれの空気の吸収 値を色分けをした画像を作成し、これを三次元画像として表現すること で、閉塞部位と周囲腸管の空間的位置関係の把握が容易となった。
 消化管に空気を注入する消化管3DCTは、術後の腸閉塞診断に際 し有用な検査法と思われた。

20.低線量3D-MDCT urographyの検討

彌永由美、粟井和夫、中浦猛、尾田済太郎、伊牟田真功、浪本智弘、山下康行
熊本大学 放射線科


【目的】 低管電圧撮像及びノイズ低減量子フィルターを併用したMDCT urographyの有用性について検討した。
【対象と方法】 対象は2005年2月から8月までに、40列MDCTを用いてCT urographyが施行された31例である。造影剤100mlを3ml/secで注入し、300秒後に120kVp, 80kVpで撮影し、80kVpの画像にはノイズ低減量子フィルター処理を行った。大動脈、腎盂、腎皮質、腸腰筋、椎体、後腹膜脂肪のCT値、腸腰筋のノイズをそれぞれ測定した。さらに120kV, フィルター処理した80kVの画像からMPR冠状断像を作成し、尿路の均一性、輪郭の鮮鋭度、ストリークアーチファクト、全体の画質について2名の放射線科医によって視覚評価をおこなった。また、それぞれのCTDIも測定した。
【結果】 大動脈、腎盂、腎皮質、腸腰筋、椎体のCT値は80kVpで有意に高かった。ノイズについては120kVと80kVで有意差はなかった。視覚評価では尿路の均一性、輪郭の鮮鋭度で有意差はなかったが、骨盤内尿路においてストリークアーチファクトと画質が80kVpで有意に低かった。CTDIは120kVpで17.6mGy, 80kVpで5.4mGyだった。
【結論】 ノイズ低減量子フィルター併用の低電圧MDCT urographyでは、通常撮像と比較して線量を約1/3に減少でき、腎および上部尿路において遜色ない画像を得ることが可能であった。今後は、骨盤内尿路における画質向上が必要と考えられた。


21.3D-CTを利用した寛骨臼による大腿骨頭被覆率の測定

須田 学、大西 誠一、寒竹 誠治
玉造厚生年金病院 放射線室


 大腿骨頭に対して寛骨臼の形成不全から骨性の被覆不足をきたしている臼蓋形成不全に対して、寛骨臼回転骨切り術(以下RAO)が行われている。RAOは、寛骨を前外方に回転させ、大腿骨頭被覆の正常化を図り、関節荷重面の拡大と構築学的ならびに力学的に安定した関節の形成を目的とした術式である。当院では、RAOの術前・術後に股関節のCTを撮影し、大腿骨頭の被覆の改善を視覚的に評価している。さらに3D画像を利用し、術前・術後の大腿骨頭被覆率(以下AHAI)を計測し、寛骨の被覆率改善について定量的評価を行っているので報告する。
【使用機器】 CT装置:東芝社製 Asteion Super4、ワークステーション:AZE Virtual Place
【方法】 AHAI測定の方法として、
① 大腿骨頭のみ抽出した3D画像を作成する。
② 寛骨臼のみ抽出した3D画像を作成。寛骨臼上縁にそって約1cm中枢レベルでカッティングする。
③ ワークステーションのレイヤー機能を利用し、①の画像と透明度を上げた②の画像を重ね合わせて1枚の画像を作成し頭側より観察する。 [ Fig. 1 ]
④ 寛骨に被覆されている部分( a )と大腿骨頭全体( a + b )の面積を測定。その率をAHAIとして計測する。 [ Fig. 2 ]
大腿骨頭被覆率(AHAI:Acetabulum-head area index )=a/a+b×100 (%)
a:寛骨に被覆されている大腿骨頭の面積、a + b:大腿骨頭全体の面積
【まとめ】 寛骨臼による大腿骨の十分な被覆は、良好な術後成績に不可欠であり、術後における被覆改善について正確な評価を行わなければならない。寛骨臼と大腿骨頭との立体的な位置関係を容易に把握することができる3D-CTによる視覚的評価に加え、今回報告したAHAIの測定を行うことで定量的な評価が可能となり、総合的な被覆評価を行う上で大変有用であると考える。
Fig.1 Fig.2









22.下肢静脈瘤に対する下肢ダイレクト3D-CT Venographyの有用性

山岡秀寿、石風呂実、木口雅夫、藤岡知加子、有江隆一、田中順平、西山光、舛本俊典
広島大学病院 診療支援部 放射線部門


【目的】 下肢静脈瘤の画像情報としてはDSA、MRIを用いた下肢Venographyが主流であるが、重なり合う静脈を把握するには明確とは言い難いことから、MDCTを用い3D化することで正常、異常の血管走行を容易に確認できる利点より、下肢末端の静脈から造影剤を投与し、下肢3D-CTVを試みたので報告する。
【方法と使用機器】下肢静脈瘤に対して伏在静脈の結紮術が施行される30例に造影剤濃度300mgI/mlを生理食塩水で10倍希釈した造影150mlを3.5ml/sec の条件で注入し、注入部位である抹消側の足側から頭側へ向けてDelay time は注入終了5秒後に撮影を行った。また、静脈のCT値400~500HUを確保するために今回は10倍希釈を一定で描出能について評価した。造影剤投与量においては下肢全域に均等に造影効果を得るだけのボリュームが必要と考え、150ml固定で行った。CT装置:Light Speed Ultra 16(GE)、注入器:A-250(根本杏林堂)造影剤:300mgI/ml(オイパロミン)
【結果】 下肢静脈瘤領域および深部静脈のCT値は400HU前後の造影効果を確保できた。巨大化した静脈瘤は血液循環または血栓化されている症例も存在し、一部の静脈内の造影効果が CT値を確保することができなかった症例もあったが3D表示にはおいては構築可能で明確に表示することができた。
【結語】 下肢静脈瘤症例において、3D-CTVは非常に有用であり、今後の課題としては、造影タイミング、造影剤量についてのより絞った検討が望まれる。

23.非造影下肢MRA画像における画質向上

板垣 博幸1)、西原 崇1)、平井 甲亮1)、熊井 秀樹1)、伊藤 多恵子2)、
畠 正真3)、桜井 智生3)、清水 勧一朗3)、原田 潤太3)
日立メディコ MRIシステム本部1)、アプリケーション部2)
東京慈恵会医科大学附属柏病院 放射線部3)


【目的】 マルチステーション型全身MRIを用いた下肢非造影MRA画像に関して、合成画像の動静脈分離能の向上を目的とし、撮像条件の最適化・合成画像の画質評価を実施した。
【方法と対象】 撮像には、日立メディコ製1.5T MRI装置Echelon Vega?を使用した。撮像シーケンスはプリサチュレーション/脂肪抑制併用の2D BASG、主な撮像条件はTR/TE 4.8ms/2.4ms、FA 90°、2回積算、Ax面、ステーション数4~5、FOV 400mm、マトリックス数224×276(512再構成)、スライス厚5mm、スライス数50枚である。撮像したAx像を用いてステーション毎にCOR面のMIP像を作成し、合成対象の画像とした。合成アルゴリズムにはオプティカルフローを用いた。
 動静脈の分離能向上には、動脈と静脈の血流方向や速度、動静脈血の緩和時間の差異を考慮し、k空間走査、データ取得期間、脈波同期/非同期、プリサチュレーションの条件を検討した。また、合成画像の画質は、体軸方向の視野端における画像歪みに強く依存するので、体軸方向ステーションサイズFOVz・オーバーラップ量OLを変更して取得したMIP像を用いて、合成画像における血管の連続性を評価した。
【結果】 動静脈分離に関して、k空間走査とデータ取得期間の変更による分離能向上は、脂肪抑圧率の低下とトレードオフの関係にあった。今回、セントリック走査/データ取得期間約200msを基本条件とした。脈波同期/非同期に関しては、同期撮像の方がMIP画像上の血管連続性が良好であり、画質安定に優れていた。合成画像の画質に関しては、前記合成アルゴリズム適用により、画像歪み等に起因する血管走行・信号強度の不連続が改善した。合成画像の画質、及び検査時間短縮の観点から、FOVz 300~340mm、OL 30~70mmが最適であった。


24.CT・MRI画像における非可逆圧縮(JPEG 2000)を用いた3D画像の検討

渡辺 一廣1)、山下 高史1)、笠原 賢治1)、岩田 美郎2)、上西 龍二郎3)
東海大学医学部付属大磯病院 放射線技術科1)、放射線科2)
テラリコン・インコーポレイテッド3)


【背景】 CT・MRIの3D画像処理においてはMDCTの多列化、MRIの3T等の高磁場化が進み、画像データが膨大な量となり可逆圧縮法を用いた画像圧縮では、すぐにデータ保存に限界を向かえると考えられる。そこで、今回我々は、非可逆圧縮法(JPEG 2000(以下J2K))を用いた画像について3D画像処理を行い、どの程度まで非可逆圧縮が使用可能であるか検討した。
【方法】 AquariusNAS Server(テラリコン社製)を用い、原画像の1/10~1/100の非可逆圧縮を行なった画像を用い3D画像処理を行い、オリジナルの3D画像との比較検討を行った。
【結果及び考察】 詳細な結果については、現在のところ検討中であるが、MRAのような高信号のみの抽出を行なう様な3D画像処理の場合には、原画像の1/20の圧縮でもオリジナルの3D画像と比較して同等の画像が得られた。

MRA オリジナル 3D画像 MRA 1/100非可逆圧縮 3D画像

















第13回三次元CT・MRI研究会