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膵腎同時移植に関して

 

1)膵臓移植の概要

 すでに欧米では糖尿病性腎不全患者の治療法の一つとなっている膵臓移植の現況について紹介する。膵臓移植の第一例は1966年に、米国ミネソタ大学において、糖尿病末期腎不全患者に対して膵腎同時移植が行わた。その後世界で約150施設において膵臓移植が施行され、1998年12月までにIPTR(International Pancreas Transplant Registry)に登録されている膵臓移植症例数は11,000例となっている。免疫抑制剤のサイクロスポリンの使用が可能となった1980年代後半より移植件数は漸増し、さらに他の免疫抑制剤の導入、UW液などの新しい臓器保存液の開発、術式の改良、拒絶診断法の進歩にともなって移植症例数は飛躍的に増加し、1995年以降では年間約1,200例に達している。膵腎同時移植における膵グラフトの生着率は1年:88%、5年:78%、10年:67%、腎グラフトの生着率が1年:89%、5年:80%、10年:67%と報告されている。IDDM 患者の慢性腎不全に対する腎単独移植の10年グラフト生着率が約20%であることから、膵腎同時移植による腎グラフトの保護効果も認められてる。一生涯免疫抑制剤の投与は必要となるが、QOLを著しく低下させる透析療法から解放されるとともに、何回もの血糖測定、夜中の低血糖の恐怖をともなうインスリン治療からは直ちに解放される。糖尿病性神経症、網膜症、末梢循環障害などの糖尿病性合併症は数年の単位で緩徐な改善がえられている症例も報告されている。

 膵腎同時移植の手術手技は、全膵を十二指腸とともに摘出し、レシピエントの右腸骨窩に移植し、腎臓は左側に移植する方法が一般的となっている。膵の動脈吻合は、グラフトの脾動脈と上腸間膜動脈の各々の中枢側を、ドナーの内外腸骨動脈の末梢側と吻合し一口としたのち、レシピエントの総腸骨動脈に端側に吻合する。静脈吻合は、グラフトの上腸間膜静脈は結紮し、門脈をもちいて、レシピエントの総腸骨静脈と端側に吻合する。グラフトの十二指腸は空腸と側側に吻合する。

 本邦では、1984年に筑波大学において第一例の膵臓移植が行われて以来、1994年までに15例実施されている。脳死立法制定後は6例(大阪大学2例、東京女子医科大学1例、福島県立医科大学1例、九州大学2例)実施されており、我々の施設での症例を含め5例が生着中である。

 

2)レシピエント登録作業と選択基準

 膵臓移植の適応基準としては1)腎不全におちいった糖尿病患者であること、あるいは2)IDDM患者で、糖尿病学会認定医によるインスリンを用いたあらゆる治療手段によっても血糖値が不安定で、代謝コントロールが極めて困難な状態が長期にわたり持続しているもの、とされている。前者では膵腎同時移植、あるいは腎移植後の膵臓移植が考慮される。後者では膵臓単独移植も考慮される。年齢は原則として60歳以下が適当と考えられている。また、以下に示すように合併症や併存症による制限を加えている。1)糖尿病性網膜症で進行が予測される場合は眼科的対策を優先する、2)活動性の感染症、肝機能障害、消化性潰瘍、3)悪性腫瘍、ただし、これは治療終了後5年を経過し、根治と判断される場合は禁忌とはされない、4)その他、膵臓移植地域適応検討委員会が移植医療に不適当と判断したものも対象としない。

 これらの適応基準を満たし、禁忌事項のない症例で、移植を希望される患者さんがおられた場合、日本臓器移植ネットワークに登録するまでにどのような作業が必要になるかについて述べる。1)レシピエント候補患者が受診している医療施設(以下レシピエント医療施設)で移植適応が考慮された場合、主治医は患者に説明の上(1回目のインフォームドコンセント)、膵臓移植地域適応検討委員会(東北地区ブロック)に書面で患者を照会する。2)膵臓移植地域適応検討委員会は照会患者の適応の有無を判断し、主治医に報告する。3)適応と判断された場合、主治医は移植実施施設に患者を照会し、当該施設において移植の可否について検討を依頼する。4)移植実施施設により移植可能と判断された場合、移植実施施設担当医はレシピエントの主治医とともの患者に対し臓器移植につき充分に説明を実施する(2回目のインフォームドコンセント)。移植実施施設は必要な検査結果を添えて、レシピエントの主治医および患者本人との連名で、膵臓移植のための必要事項を記入し中央調整委員会へ登録する。5)中央調整委員会への登録が終了しだい、レシピエントの主治医は、移植実施施設担当医に移植を依頼するとともに、レシピエントの情報を日本臓器移植ネットワークに登録する。登録後のレシピエント情報の更新、登録からの抹消は、レシピエントが主治医及び移植実施施設担当医と相談の上、日本臓器移植ネットワークに連絡しておこなう。このように委員会での登録手順としては、透析施設の主治医の先生が、適応申請のための書類の入手、膵臓移植に関する説明、検査の実施(入院検査が必要)、申請のための承諾書の作成を必要としているが、非常に煩雑である。福島県立医科大学附属病院では窓口を一本化し、全ての申請作業を関連各科のご尽力により当施設で実施することしている。

 レシピエント選択基準は、1)ABO式血液型の一致又は適合、2)HLA型の適合による優先順位、DR座の適合とA座及びB座の適合数により、腎移植における順位と同一の順位とし、3)前記1、及び2による優先度が同一の待機者が複数存在する場合は、膵腎同時移植、腎移植後膵臓移植、膵単独移植の順に優先し、4)上記の条件が同一の場合は、待機期間の長い順としている。また、5)リンパ球直接交叉試験陰性が条件となる。その他附則として1-5で選ばれた登録者が膵腎同時移植の待機者であって、なおかつ臓器提供者から膵腎両臓器の提供があった場合には、DR座の1match以上のHLA 型の適合があれば、1腎は膵腎同時移植の登録者に優先的に配分することになっている。すなわち、かなりの高い確率で膵腎同時移植が実施されることになる。

 レシピエント選択基準は、1)ABO式血液型の一致又は適合、2)HLA型の適合による優先順位、DR座の適合とA座及びB座の適合数により、腎移植における順位と同一の順位とし、3)前記1、及び2による優先度が同一の待機者が複数存在する場合は、膵腎同時移植、腎移植後膵臓移植、膵単独移植の順に優先し、4)上記の条件が同一の場合は、待機期間の長い順としている。また、5)リンパ球直接交叉試験陰性が条件となる。その他附則として1-5で選ばれた登録者が膵腎同時移植の待機者であって、なおかつ臓器提供者から膵腎両臓器の提供があった場合には、DR座の1match以上のHLA 型の適合があれば、1腎は膵腎同時移植の登録者に優先的に配分することになっている。すなわち、かなりの高い確率で膵腎同時移植が実施されることになる。


3)福島県立医科大学での登録手順

 膵腎同時移植を希望される患者さんがおられれば、まずは、第1外科の医局の移植担当医まで電話をして頂く(電話:024-548-2111内線2331)。そして、ご説明した必要な資料をもって火曜日の第一外科外来におこし頂き、そこであらためて移植について詳しい説明をおこないます。移植を希望されれば、第3内科において適応評価に必要な検査を実施するための入院予約をとって頂く。約、2-3週間の検査のための入院が必要になります。地域適応評価委員会の適応判定はきびしく、インスリン分泌の枯渇、血糖の不安定さ、禁忌事項に関する客観的な検査結果が要求されていますのでいろんな検査が実施されます。検査結果がととのえば、地域適応評価委員会に申請書を提出し、適応ありと判定されると日本臓器移植ネットワークに登録され、臓器提供を待って頂くことになります。 

 

 

 

後藤 満一 mgotoh@fmu.ac.jp
斎藤 拓朗 takuro@fmu.ac.jp
土屋 貴男 takao-t@fmu.ac.jp

 



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