元木教授が学長に就任し、その後任として1998年から現在の後藤満一教授が4代目を引き継ぎ現在に至っている。
※現在の教室の動向と雰囲気を教室員の目から紹介する(外科治療83(1):76,2000.『教室の今日』)
後藤教授は大阪出身で、1976年大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部第2外科に入局された。1984年から2年間米国ハーバード大学に留学し、Monaco教授のもとで移植免疫に関する研究をされた。帰国後は大阪大学医学部第2外科に在籍され、1990年大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター臓器制御部門の助教授に、1998年に福島県立医科大学医学部第一外科教授に就任された。
後藤教授の専門分野は肝・胆・膵外科と、肝臓、膵臓、膵島細胞移植とそれに関わる移植免疫学である。
後藤教授は学生時代にラグビー部に所属しておられたこともあり、現在はラグビー部の顧問になっておられる。また米国留学中に始めたテニスは、テニス部出身の教室員も歯が立たない腕前になられている。後藤教授が就任されてから教室員の言葉には東北弁と関西弁のキメリズムがみられるようになってきている。
現在の教室の構成は、教授以下教官15名、医員4名、関連病院への出向者24名、研修生4名の47名である。診療は消化管(食道・胃・大腸)、呼吸器、小児、肝胆膵・移植グル−プにわかれ、心臓血管外科、内分泌外科以外の外科領域を主としている。各グループとも高度に洗練された外科的手技と術前術後管理のもとに外科治療成績の向上を目指しているが、臨床研究ではそれを妨げる因子を具体的にくみ上げ、解決する方向で研究がすすんでいる。今、各々のグループが取り組んでいる研究テーマは、消化管グループでは低侵襲手術としての鏡視下手術の導入とQOLの向上を目指した再建法の工夫、呼吸器グループは低侵襲手術としての鏡視下手術の導入、また、肺癌の免疫療法に関する臨床研究に加え、分子生物学手法を用いて様々な基礎的研究を行っている。小児グループでは難治性の新生児重症呼吸不全例に対する膜型肺を用いた体外循環装置(ECMO)での治療、肝胆膵・移植グル−プでは積極的な拡大手術による治療成績の向上に取り組み、分子生物学因子から腫瘍の悪性度を研究している。腎移植は1978年から、生体肝移植は1995年から施行し、1999年には脳死膵移植の実施施設に認定された。また膵島移植では異種移植に取り組んでおり、臨床応用を目指している。
手術日は月、水、金の3日間、手術件数は年間600件を超える。長時間の手術も多く、医局の電気は消えることがない。真夜中でも臨時手術時にはどこからともなく医者が集まってくるのは、院内職員はもちろんのこと我々医局員ですら頼もしく感じられる。外科を志す医学生が減る傾向にあるとされるが、我々の診療に対する情熱とその満足感を医学生と共有できるとき、彼らは再び、外科の門をたたくことを最近実感できている。
教室の年間行事としては、3月には同門が一同に会する同窓会、6月の新入医局員歓迎を兼ねた医局旅行、7月には、院内スタッフとともにビアパーティを開催。12月には忘年会がある。診療のみならず、できるだけ人としての交流の時間ももてるように、リラックスできる飲み会も随時行っている。
現在、院内・外の教室・施設との共同研究も積極的に行い、質の高い外科医を輩出するための環境整備を検討しているところである。「臨床に役立つ研究」をこころがけ、常日頃の臨床の疑問や要望を実験的に立証することに努めている。
後藤教授が就任して9年を経て、新世代の外科として癌の根治性をさらに追及するとともに、「再生外科」をテーマにかかげ、また教室員は自分の目標をもち、教室と個人の目標を達成すべく努力している。