FUKUSHIMAいのちの最前線
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82 今まで経験したことがない地震、津波、そして原発問題が福島で起き、不安な毎日が続いています。ニュースから毎日多くの命が失われていることを聞き、「自分は同じ東北、福島に住んでいるのにこんなに違うなんて…」と罪悪感でいっぱいになり、胸が痛みました。「自分に何かできることはないか」と思っていた矢先、医大病院でスタッフのためのおにぎり作りのボランティア募集を受け、参加してきました。4年間通い慣れた大学内には患者さんがいっぱいになっており、病院ではスタッフが不眠不休で働いていました。私ができたおにぎり作りは小さなことでした。しかし、たとえ自分の行動がささやかなことではあったとしても、この自分の頑張りが東北、福島の復興に繋がると信じて、精一杯頑張りました。 今回の震災で、人の命を救い、生活を支える医療の大切さをより一層感じました。この経験を糧とし、明るい未来は必ずくることを信じてがんばろうと思います。学生ボランティアに参加して竹中 志温看護学部4年 この度の太平洋沖震災において、お亡くなりになられた方々のご冥福と、被災された方々にお見舞いを申し上げます。 私は、この度の震災(災害)医療では、病院の一般受付のトリアージを担当しました。当院は重症救急だけではなく、一般救急外来も行われ、正面玄関において2回のトリアージを行いました。まず、居住地で原発事象の避難、屋内待避圏内を尋ね、放射線のスクリーニングを行いました。また、診察必要者、入院患者の面会、退院患者の付き添い等の振り分けも行いました。地味ですが、この振り分けシステムが混乱のない災害医療の基本だと思われました。 放射線のスクリーニングでは異常なく、被災された方々も安心し、我々も安全に活動ができたと思っています。また、被災された方々は、お疲れのようでしたが毅然としたお姿に頭が下がりました。さらに、再来患者への院外処方の対応なども、説明にて快諾いただき、困難に立ち向かう共同精神という福島県民のスピリッツを感じました。 私は、日本赤十字社で災害救護班として長年訓練を受けてきたので、トリアージを抵抗なく担当することができました。また、六ヶ所村の原燃事故を想定した訓練も行ってきましたが、実際の救護活動は初めての体験でした。福島県立医科大学附属病院の活動が、今後の日本の大規模災害、放射線関係の災害活動の基盤になっていくと思われます。今日も他県のDMATの方々と共に被災された患者様の救護にあたり、災害医療の患者搬送において中継基地としてのトリアージの重要性を痛感しました。このような災害医療において、落ち着き、迅速に適正に活動するための知恵を当院から発信していけるのではないかと思っています。災害救護(一般救急トリアージ)を行ってみて三浦 浅子(青森県出身)看護学部・附属病院看護部 がん看護専門看護師看護学部からのメッセージ この度の震災や原発の事故については、専門家も予測していない事態となりました。福島県においても原発の事故の影響で、放射線被ばくの懸念が日々、報道されています。しかし、今現在出ている放射線量は、科学的にも健康被害を起こす程度のものではないと言うことが証明されています。今、福島県は震災や放射線被ばくへの差別と戦っているのです。 私は、福島県立医科大学看護学部の卒業生の一人として、科学的データを信じ、県内で唯一の大学病院での看護業務を遂行することで、福島県の復興のお手伝いが少しでも出来ると良いと考え、日々業務に当たっています。災害時における基幹病院での看護の役割渡邉 かおり看護学部学生ボランティア・研修医・看護学部からのメッセージ

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