FUKUSHIMAいのちの最前線
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第2章福島医大関係者行動記録〈手記とメッセージ〉FUKUSHIMA いのちの最前線77 福島第一原発の事故による放射線被ばくで、福島県民は意味のない差別を受けている状況です。その放射線量は他人に害を与えるものでない程度にも関わらず、県外避難の際にそれを断られる、物資を届けてもらえないなど、辛い思いをしています。なぜ、そんな無知で冷たいことをしてしまうのでしょう? 政府はそのような指示を出していないはずです。僕は避難区域の病院からヘリで搬送されてきた人を医大の中に運ぶのを手伝うなどして、少しですが県民を助けているつもりです。皆さんにもぜひ、風評による考えを捨て、福島県民を少しでも助けていただきたいです。 忙しい現場ではあったが医療スタッフたちは、私たち学生のこともチームに加えてくれた。立場や学年を越えて協力し合うことができた。そして、少しでも患者さんの力になれたことが何よりも嬉しかった。本気で医師になりたいと改めて心から思うことができた。今回は福島だったが、また今度このような惨事がどこかで起こってしまった時は、率先して参加したいと思う。 被災地の方にとって少しでも力になれるようにがんばっています。また避難先でも被災地のために努力をしている方もいます。そのような中で、放射線に対する恐怖が日本全体で拡がっていますが、福島市を含めて各地で観察されている放射線量は健康被害を生じるには極めて小さいもので、この放射線に対する誤った認識が被災地の復興を遅らせてしまうことが一番の問題であると感じています。被災地に対する正しい認識と冷静な判断で、日本の復興にみんなが一つになっていければと思います。 まずは、この度の災害で犠牲になった方々のご冥福をお祈り申し上げます。今回の地震では多くの人がその被害にあってしまったと思います。福島市は比較的被害が少なかったのですが、それでも、今まで日常だと思っていた風景が一瞬で崩れてしまう出来事でした。そんな中、できるだけ早く患者さんの状況を確認しようと走る先生方や看護師さん、自分にできることをやろうと集まる学生、他にもTVで見た多くのボランティアの方々を知って、人の強さを見た気がしました。自分のためでもいい、他の人のためでもいい、自分にできることでこの状況を打開しようとする人達がとても輝いて見えました。 今回の地震で亡くなった方は一万人を超えるというニュースを見ました。そのそれぞれに家族が居て、その人達の分だけ悲しみがあるのだと思います。できるならその悲しみがこれ以上増えないことを願っています。日本が早く復興しますように。 みなさんの考える医療ってなんでしょう? 病気の人を救うことでしょうか。困っている人のために働くことでしょうか。生き延びるための知識を伝えることでしょうか。この震災の学生ボランティアを通じて、僕は平常時よりも人の死と自分の生についていろんな意味で考えるようになりました。特に放射能の恐怖にさらされている福島県民の方々におかれましては、何を優先して何を後回しにするか…苦渋の選択をせまられた方も多いと思います。医大のスタッフの方々は、自分たちの可能な限りの手をつくして、患者さんの命を優先しています。少しでも多くの人を助けられる医療を目指して福島県立医大は頑張っています。僕はそのサポートとして、先生方の後ろ姿を見て勉強させてもらっています。 最後にいつの時代も有事の際は、人々が助け合って生きてきました。福島県出身者や、福島県の関連する物や、福島という土地そのものを助けられるの学生ボランティアからのメッセージ医学部4年安齋 文弥福島県出身(県立福島高校)医学部5年髙橋 忠久茨城県出身(日立第一高校)医学部4年尾形 誠弥福島県出身(県立福島高校)医学部5年髙木 玄教福島県出身(県立磐城高校)医学部4年遠藤浩太郎福島県出身(県立福島高校)

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