FUKUSHIMAいのちの最前線
70/608

64 避難住民医療支援として、高度医療の広域展開を行った。エコノミー症候群、小児・感染制御・耳鼻咽喉科・眼科、心のケア、避難所保健指導など、各チームに分かれて小型バスやバンを借り切り、県内の避難所を巡回した。他県からの支援医師が常駐しないところでは診療に行くと喜ばれた。全国からJMAT(Japan Medical Association Team)が来ている避難所では一緒に診療したり話を聞いたりした。5月になってヨルダンやタイから海外医療支援団を受け入れた。地域・家庭医療部と長崎大学を中心としたチームが30㎞圏内の在宅患者の訪問診療を行った。耳鼻咽喉科のニーズとしては、咽喉頭炎、アレルギー性鼻炎、鼻出血、耳垢などで、乾燥している施設では加湿器も喜ばれた。 3週間たってガソリンを入れることができ、通常の生活に戻った。外来は3月28日(月)から通常外来を開始し、定期手術も徐々にこなすようになり、4週間たってほとんど元通りの診療ができるようになった。ただ、放射線被ばく対応として、原発やその周辺で働く人や住民の万が一の被ばくに備えて除染や救急医療のシミュレーションを行っている。本学では、今回の未曾有の災害を医学・医療の面から科学的に検証し、災害に強い大学を作り上げ、安心して住める福島を取り戻すために、全学をあげて取り組んでいる。 福島市は原発から60㎞の位置にあり、現在は通常の生活をしている。これまでの物心両面にわたるご支援に感謝するとともに、東北に来ていただくことが最大の支援であり、引き続きご支援を賜りたいと熱望している。2週間~4週間「地震・津波・原発事故における災害医療:前線基地としての大学病院」福島県立医科大学附属病院副病院長 大森孝一(2011年6月9日 日本頭頸部癌学会「東日本大震災報告会」)よりchronic phase避難民対応慢性期

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です