FUKUSHIMAいのちの最前線
585/608

第5章次世代へ伝えるFUKUSHIMA いのちの最前線579●日本脊椎脊髄病学会員の皆様へ この度の東北関東大震災に対しては、多くの会員が被災されたことと思います。心から御見舞い申し上げます。一方、各方面から被災地へ支援や激励も届いていると思います。御支援に対して被災県にある大学の責任者として、そして本学会の理事長として心から感謝の意を表します。 未曾有の地震、それに伴う我が国が経験したことのない津波、さらには福島県では原発事故が発生し、現代科学がその挑戦を受けて県民は立ち竦んでいます。被災地は広範に及んでおり、放射能の被害がこれから広大な範囲に、様々な被害を、長期にわたって及ぼすのは必至です。 私が所属している大学がある福島県には、壊滅的な被害を受けた原子力発電所があります。今、本学は避難を含めた医療支援体制の整備の指揮を執り、最前線に立っています。放射線の被曝は、目に見えないだけに恐怖です。しかし、大学スタッフは一糸乱れず、不眠不休で対応しています。このような試練の時、素晴らしいスタッフに恵まれ、組織のトップとして天の配剤に感謝しています。 「勇気とは決して恐怖の不在ではなく、恐怖を感じつつも威厳をもって前進する能力」であることを、日々実感しています。 会員の皆様には、各自の持っている人の繋がりを通じて、必要な事、モノは何かを把握して、被災地へ各会員のできる御支援をお願い致します。番外編:日本脊椎脊髄病学会HP2011年3月22日掲載 「一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会」は、脊椎脊髄疾患に関する研究を促し,研究者の交流をはかるとともに研究成果と知識の公表および普及を通して人類の健康の保持・増進に資することを目的として活動しています。本学会は1974年脊椎外科研究会として発足し、その後1985年には日本脊椎外科研究会、1990年には日本脊椎外科学会、そして2001年から日本脊椎脊髄病学会に移行、2010年には一般社団法人となりました。菊地理事長兼学長は2010年より、法人化の初代理事長をつとめています。(この寄稿文は、3月11日発生の東北地方太平洋沖地震に際して、日本脊椎脊髄病学会ホームページのトピックス欄にて「理事長より会員の皆様へ~東北関東大震災を受けて~」と題し3月22日、緊急掲載されたものです。)●東日本大震災を考える 東日本大震災では、私の勤務地である福島県は地震と津波に加えて原発事故に見舞われ、それは今もなお、収束の目途が立っていません。風評被害が大人のみならず、子供にまで及んでいます。人心の当て所(あてど)なさに哀しみを覚えます。 本学は、県立であるが故の利点を生かし、県対策本部と本学が一体となってこの難局に対応しています。本県は、放射線被曝の問題への対応が、他の県のそれと決定的に違う点です。この問題対応には前例がありません。本学は、県や国と一体となって手探りで対応しているというのが実態です。 大学のトップとして、行政との対応について思いつくままに提示します。 第1に、「情報の共有化」と「窓口の一本化」の重要性に対する再認識です。誰もが経験したことのない原発事故への対応、事態が深刻な程、これらの重要性はいくら強調してもし過ぎるということはありません。 第2に、トップの「リーダーシップの発揮」と「拙番外編:日整会広報室ニュース 第86号2011年7月15日発行 「日本整形外科学会」は、1926年(大正15年)、整形外科学に関する研究発表、連絡、提携および研究の促進を図り、整形外科学の進歩普及に貢献し、もって学術文化の発展に寄与することを目的に設立されました。平成23年4月1日より、社団法人から公益社団法人に移行し、ますますの発展を続けています。菊地理事長兼学長は当学会の平成23・24年度代議員に任命されています。 現在は大学附属病院や総合病院の医師、開業医など、2万余名の会員を擁し、研究 発表や講演会などの開催、機関紙(和文・英文)・図書等の発行、内外の関係学術団体との連絡および提携、整形外科学に関する研究調査などさまざまな活動を行っています。 今回は、会員専用機関紙「日整会広報室ニュース」(季刊)の、東日本大震災特集のトップに掲載された寄稿文を転載します。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です