FUKUSHIMAいのちの最前線
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第5章次世代へ伝えるFUKUSHIMA いのちの最前線567表1 平成23年度甲状腺検査の実施状況(2012年3月末日現在)対象市町村対象者数(人)A受診者数(人)B受診率(%)B/A年齢別内訳Bのうち県外居住者数(人)C県外居住者受診率(%)C/B0~5歳6~10歳11~15歳16~18歳田村市7,0806,18087.385.9%98.0%93.8%66.5%270.4南相馬市12,5299,63676.975.1%78.8%81.3%70.4%2,60127.0 伊達市11,35710,27490.587.1%96.8%96.4%76.8%1491.5川俣町2,4032,18891.191.5%96.4%95.3%76.8%321.5広野町1,07769164.265.5%66.8%70.1%50.4%11416.5楢葉町1,42993965.763.3%74.3%68.4%54.7%14115.0 富岡町2,9401,69657.756.4%62.0%59.9%50.3%40523.9川内村35723064.463.3%76.8%66.3%48.1%4117.8大熊町2,3861,54264.661.4%68.0%72.1%52.5%26217.0 双葉町1,20471659.559.1%61.1%61.8%53.9%35749.9浪江町3,6452,92280.280.5%83.5%79.7%75.9%98433.7葛尾村23314763.171.4%69.4%61.2%47.9%128.2飯舘村1,09091784.187.0%86.0%84.2%77.4%566.1その他※3636100.0─100.0%100.0%100.%25.6合計47,76638,11479.877.5%84.9%84.5%68.7%5,18313.6※その他は、国が指定した警戒区域等避難区域市町村以外の対象者で,学校等において甲状腺検査を受けた人数■2011年度は警戒区域等避難区域市町村対象者の検査を実施■2011年10月から2012年3月までの実施期間に対象者の79.8%(38,114人)が受診。れた福島県内居住者(県外避難者含む)約36万人。一次検査では、甲状腺超音波検査による結節病変のスクリーニングを行う。 要精査とするのは「5.1㎜以上の充実性結節」と「20.1㎜以上の嚢胞性病変」。5㎜以下の結節や20㎜以下の嚢胞は、2年半後の次回検査時まで経過観察とする。びまん性甲状腺腫の評価に関しては甲状腺ホルモンの採血がないため、超音波検査時に両葉の体積を求められるように縦、横、厚さを各葉ごとに計測する。結果通知は、再判定後郵送する。 所見を認めなかった場合を「A1」、5㎜以下の結節や20㎜以下の嚢胞を認めた場合を「A2」、数カ月の間に二次検査を受けていただく場合を「B」、要精査の中で直ちに再検査が必要な場合を「C」判定とした。 二次検査では、再度精密な超音波診断を行う。「甲状腺超音波ガイドブック改訂第2版」の診断の進め方2)および日本超音波医学会編、「甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準」3)に基づき、穿刺吸引細胞診を行うかを決める。また全員に血中FT4、FT3、TSH、TgAb、TPOAb、Tg、尿中ヨード測定を実施する。それぞれの結果から、次回検査まで経過観察、二次検査施設での再検査ないし経過観察、さらには手術等の治療などに分かれる。 今回、嚢胞内に充実性病変を認めるものは結節に含め、充実性部分の大きさではなく嚢胞全体のサイズで判定している。したがって二次検査に廻っても、細胞診検査の適応にはならない症例がかなり多いことが想定される。つまり、今回の嚢胞というのは充実部分を一切含んでいない単純嚢胞やコロイド嚢胞多発などがほとんどであり、良性を意味する。 20㎜という二次検査の基準は、「甲状腺超音波ガイドブック改訂第2版」2)にある通り、「20.1㎜を超えるものは圧迫症状などが出現しやすく、吸引で症状の軽減を目的に穿刺を勧める」という意味で設定されている。20㎜以下では症状もないことから経過観察で十分となる。実施状況 2011年10月9日より11月13日までの土日祝日の11日間、飯舘村、川俣町山木屋地区、浪江町の住民を対象に福島県立医科大学附属病院にて甲状腺検査を実施した。11月14日以降は平日に、川俣、南相馬市の施設で出張検診を行った。12月16日までに対象者の73.2%に当たる1万4442名に実施した。年齢層による偏りもなく、乳幼児にも全例に検査が完遂できた。 今年3月23日までに国指定等避難区域等市町村(伊達市、田村市、広野町、楢葉町、富岡町、双葉町、葛尾村)の住民を対象に県内各地で実施し、合計で3万8114名、79.8%の実施率となっている(表1)。結果判定 2012年3月末までの3万8114名の結果を表2に示す。二次検査になったものはB判定の0.5%で極めて少ない。C判定は1例も認めず、ほとんどはA1、

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