FUKUSHIMAいのちの最前線
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第5章次世代へ伝えるFUKUSHIMA いのちの最前線565災後の妊娠健康診査の受診状況について」,「妊娠経過中の健康状態について」,「出産状況について」,「妊産婦のこころの健康度について」など,質問に答えていただくアンケート形式の調査を行っている。助産師・保健師が育児相談をはじめとした心配ごと,その他の相談に電話やメールで応じる。回答内容により支援が必要と判断された方には,本学の助産師・看護師から電話をかけ相談に応じることにしている。さらに医師の対応が必要と判断された場合は,かかりつけの産婦人科の医師が対応し,必要に応じ本学の医師などが対応する。また,県外避難者に対しては本学の医師などが対応することにした。 以上が被ばく状況下で生活する福島県民に対する健康の見守り事業の概要である。難題山積であるが,福島県が進める他の保健医療サービス向上事業と連携し,県民の一人一人が自らの被ばく状況を把握できる体制づくりが重要となる。被ばく線量を知り,定期的な健康状態の確認を行うことが,復興と再生の一助となる。今後も健康相談と身近な受診ができる医療支援体制を構築・維持していく予定である。おわりに 事故から1年を経過したが,震災は継続している。今こそ,冷静沈着に放射線健康リスクヘの理解促進に努め,精神的・社会的悪影響の阻止・低減が何よりも求められる。「覆水盆に返らず」とは言うに易く,これをしっかりと受け止めて復興と再生のビジョンをいかに実現させるか,そこには大いなる困難と痛みを伴う。「福島,そして東北の復興なくして,日本の復興はあり得ない」とは,まさに日本全体でこの重荷を分かちあうことである。東日本大震災後の歩みと未来への取り組み

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