FUKUSHIMAいのちの最前線
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558 原子力災害に伴い、愛する福島に放射性物質が降った。確定的な影響を来すような放射線量ではない。今後注意すべき放射線リスクは、将来の発癌リスクと置き換えて考えてもよいだろう。癌にならないよう日常生活の中で注意すべき事柄が一つ増えたわけだ。子供の将来を案じ、未来の病気を心配し、何となく生きにくさを感じる方もいるだろう。震災から1年を契機に、自身が実際に受けた放射線影響と、これからの生き方について福島に住む皆様と共に考えたい。1.被曝線量を正しく評価する 初めに科学ありき。適切な線量評価なしには安全とも危険ともいえない。以下のステップに従って実際に震災後1年間で新たに受けた放射線量を概算する。①被曝による人体影響=外部被曝+内部被曝。単位はシーベルト(Sv)。この数値の大小で発癌リスクの大小を判断する。②外部被曝線量のうち、震災直後の4か月分は個人差が大きいため県民健康調査の基本調査を利用する。調査票を提出すると、線量が解析され個人に通知される。③外部被曝線量のうち、震災後5か月目から1年まらら・カフェ掲載福島県立医科大学医学部 救急医療学講座 被ばく医療班 長谷川 有史福島で幸福に生きる図1.発癌リスクの物差しと放射線量(Sv)放射線の発癌リスク全癌におけるリスク(JPHC Studyがんセンターホームページ 改変)2000mSv(1.8)1000mSv(1.4)1-⑤の値 mSv( )内は相対リスク500mSv(1.19)200mSv(1.08)100mSv喫煙者(1.6)大量飲酒450g以上(1.6)臓器固有のリスクC型肝炎ウイルス 肝癌(36)ピロリ菌陽性 胃癌(10)大量飲酒(300g以上/週)食道癌4.6喫煙 肺癌(42一45)甲状腺1000mSv(4.0)高食塩食 胃癌(2.5ー3.5)甲状腺150-290mSv(2.1)運動不足 結腸癌(1.7、 男性)肥満BMI≧30 大腸癌(1.5、 閉経後)甲状腺100-150mSv(1.4)受動喫煙 肺癌(1.3)大量飲酒(300-500g/週)(1.4)やせ(BMI≦19)(1.29)肥満(BMI≧30)(1.22)運動不足(1.15ー1.19)高食塩食(1.11ー1.15)野菜不足(1.06)受動喫煙(1.02-1.03)発癌リスクが明らかでないくらい低い領域

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