FUKUSHIMAいのちの最前線
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第5章次世代へ伝えるFUKUSHIMA いのちの最前線533ばく医療班で行いましたが、当院心身医療科心のケアチームに介入いただくなどの結果、現在では放射線健康相談に特化した支援を行っています。 ホールボディーカウンター検査、甲状腺シンチレーションカウンターと、個人線量計値などを計測評価し、面談による説明と健康相談に応じています。アンケート結果はおおむね好評です。 公務危機管理者の放射線健康相談は当院の他には業務を担当する施設が存在しません。そのため、被災消防の他、警察、公務で高度の内部外部被ばくの可能性を有する団体からの健康相談を受けています。 原発作業員、公務危機介入者と比較して、一般住民の被ばくは低線量で慢性的であることが特徴です。総被ばく線量が急性一回被ばくで100mSv以下の場合、生体が受けるデメリットの有無は科学的に証明されていませんが、明らかでないレベルであることも事実です。フクシマに暮らすことのメリットと、放射線でうけるデメリットを、住民自身が判断できるような判断材料を提供したいと思っております。 「地震」「津波」「原子力」に加え「情報」災害により「安全」ばかりか「安心」までが揺らぎつつある現在、原発事故の行方が今後の日本を左右することは間違いありません。余震の中、日本のために疲弊しつつも危険作業に従事する2,000人の健康管理への協力、および彼らに「安全」だけでなく「安心」をも提供できる施設として貢献すべきです。オールジャパンの体制が必須です。 東日本大震災で、福島は地震・津波・原発事故という人類史上初めての複合災害を受けました。 福島の復興は、単なる復旧ではなく、人類が与えられた試練にいかに立ち向かうかという人類史的意味を持っています。 「Fukushimaの復興」は、21世紀の日本と世界を占う試金石ともいえます。その復興は原発制御という変動要因を抱えながらの復興という大きな試練も抱えています。本学は、「突然の変動性に対応できる医療」を構築しつつ、まさに「災害に強い持続的社会の拠点としての大学」、「地域復興の拠点としての大学」としての真価を問われるという、開学以来最大の正念場を迎えております。「福島の悲劇を福島の奇跡へ」とすることを天命として、総力戦を展開し、継続しなければなりません。略 歴一般住民への支援まとめ昭和26年3月 鹿児島市生まれ昭和41年3月 鹿児島大学教育学部附属中学校 卒昭和44年3月 鹿児島県立鶴丸高等学校 卒昭和50年3月 群馬大学医学部 卒昭和50年4月 群馬大学医学部第一外科へ平成4年3月 群馬大学医学部第一外科助教授平成11年2月 福島県立医科大学外科学第二講座教授平成20年4月 公立大学法人福島県立医科大学附属病院長平成22年4月公立大学法人福島県立医科大学副理事長兼器官制御外科学講座主任教授現在に至る福島県立医大の歴史的使命

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