FUKUSHIMAいのちの最前線
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478そのように、放射線によるリスクをおそれるのであれば、逆の発想で、積極的に他の疾病リスクを下げればいいのではないかと考えました。食生活改善や運動推進、禁煙教育。それに加え、現在、全県民対象の健康管理調査や子供に対する甲状腺検査が開始されました。これにより、一人一人が自分の健康状態を意識しています。これら、日常生活習慣の改善や健康意識の向上は、いうまでもなく、循環器疾患の予防やコントロールに直結します。みんなで取り組めば、はるかに高い効果が得られるのではないでしょうか。院内での患者教育においても、私たち医療者が放射線に対する正しい知識を得て、情報提供した上で、見えない放射線に対する不安の訴えを認めつつ、それなら、塩分や体重など見えるところからがんばりましょうなどと声かけしていくなどの工夫も、今後必要と考えられます。最後になりましたが、現在福島は様々な難しい課題を抱えていて、将来にわたり幅広いサポートが必要とされています。しかし、一人一人ががんばって疾病リスクを下げる努力をした結果、将来、循環器疾患の発症が少なく、長生きできる県と言ってもらえることを夢や目標にして、患者教育の充実や健康維持行動の啓蒙など、看護師としてできることを前向きに行っていきたいと考えます。震災と原発事故を経験して

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