FUKUSHIMAいのちの最前線
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第4章患者救済に奔走した活動記録〈論文・研究発表〉FUKUSHIMA いのちの最前線449発災直後、手術室ではスタッフに対する指示系統は4つになったが、指示内容に重複あっても対立した指示内容ではなかったため、複数の指示系統による混乱は起きませんでした。スタッフそれぞれの立場で危機管理意識や冷静な判断があり、患者避難や被災患者対応に向けた手術室の整備は非常に円滑に行われたと感じます。手術室看護師全体的な問題として、広域災害にどう対応できるか大きな課題の一つです。NBC災害に弱いこと、情報がうまく伝わらない、訓練が行動に結びつかない、手術室看護師をどの部門へ応援に出すべきか、病棟サポート時の看護技術不足や電子カルテのシステムの違いによること、患者を移送する際、電子カルテがダウンした場合の患者情報をどうするかなどがあがりました。困ったこと、つらかったこととしていろいろありましたが、行方不明者、死亡者リストに幼い子供の名前、年齢があったこと、避難指示地域から受け入れた患者との話、津波に巻き込まれて手をつかもうと手を伸ばしたけど届かず流されていったしまったこととか、放射線被ばくで恐怖感、失望感、水がない、物がない、物流や交通が遮断したことなどがありました。認定看護師としてどうだったかですが、自分自身では認定ゆえの行動だったかしばらく懐疑的でした。しかし、自らとった行動は認定看護師教育の中で、手術室ゆえに調整力を養うカリキュラム、普段の管理的業務の経験、リーダーシップかメンバーシップをとるかの違いが出たことによると考えました。

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