FUKUSHIMAいのちの最前線
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366地震、津波、原発 そして今〜複合災害からの教訓〜この時期の問題点は、多数の避難所が開設されましたが、各避難所の避難者数は常に流動的だったので必ずしも効率的な支援ができなかったことです。また多くの救援隊が参加していましたが、救援情報が共有されておらず救援隊がバッティングすることもありました。このような状況ではビジョンバンなど機動性のある救援医療が必要であると思われます。また救援情報をどのようにして共有化するかなどが問題であると思われます。慢性期を過ぎた現在の状況についてお話しします。昨年12月にはすべての2次避難所が閉鎖されましたが、福島県では県内に9万人、県外に6万人と宮城、岩手に比べダントツに多い15万人が避難生活を続けています。最近になりこのような患者さんをときどき見かけるようになりました。糖尿病の患者さんです。双葉厚生病院で糖尿病網膜症の治療を受けていたのですが、被災後、会津若松市に避難し、その後福島市の仮設住宅に越しています。内科の治療は受けていたというのですが、眼科の受診は昨年7月が最後で、最近になり硝子体出血を起こして受診されました。このように避難所を転々とする内に、治療が途絶えてしまう方が増えているようです。今後、避難状態が続くと、慢性疾患を持つ患者さんの中に病状が悪化する方が増える心配があります。災害が長期化している今、慢性疾患の方の治療が中断される懸念があり今後、対応が必要ではないかと思います。長期化する災害には、糖尿病手帳や緑内障手帳などを利用し、継続的な治療ができる体制づくりも必要と思われます。

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