FUKUSHIMAいのちの最前線
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第4章患者救済に奔走した活動記録〈論文・研究発表〉FUKUSHIMA いのちの最前線309福島県の医科系大学のトップとして図4 本学附属病院の現場―患者の受け入れる県民健康調査を含む今後の健康管理調査の遂行に対しての協力をお願いした。 3.本学の医療支援(表3) 1)急性期の対応 早急に平時の診療体制に戻るべく努力しつつ,この間にも本学は求められる役割を果たしてきた。具体的には,主として生命科学の教員にお願いしての死体検案,避難所への高度医療巡回,自衛隊の支援のもとでの20~30㎞圏内の調査・医療支援,そして避難区域周辺基幹病院への医師派遣などである。 2)復興プロジェクトの策定と実施 「福島の悲劇を福島の奇跡へ」をスローガンに復興計画を策定した。このプロジェクトの理念は,破壊,追悼,反省から創造,希望,邁進である。具体的には,原子力災害のもたらした現状からの復興である(図7)。直ちに実施したのは,小児に対する30年から一生にわたる甲状腺癌を始めとするコホート調査による健康管理である。もう1つは,一般住民に対する放射能汚染地域居住の影響調査である。これらの事業遂行のために新組織の創設を計画している。と同時に,災害に強い大学モデルを策定した。大震災時には,本学は断水が発生してその対応に苦慮した。そのため,強固なライフラインの整備と搬送中枢,一時入院・経過観察,入院加療の機能をその中心に据えた。病院玄関に臨時ベッドを設置(3月13日撮影)一時受け入れの患者を搬送するため救急車が待機中(3月21日撮影)図5 原発事故に対応した県と医大の連携構築“大学だけでは対応不可能”中央省庁市町村病院医師会DMATREMAT自衛隊(医大から派遣)災害医療調整医官+医療班(県内情報収集と調整)窓口一本化福島県災害対策本部福島医大災害対策本部(医大情報集約、意思決定)全学ミーティング(情報共有)附属病院医学部看護学部表3 今と未来の福島に本学が貢献できること1.原発災害収束作業者被曝医療対応2.避難命令に伴う医療危機対応1)避難所に高度医療巡回2)20~30㎞圏内の調査・医療支援3)避難区域周辺基幹病院医師派遣3.福島復興を視野に1)地域医療復興◦ALL Fukushima体制の構築(一元化と協力体制)2)母と子が安心して住める福島復興◦低線量長期被曝の影響に関する長期的取り組み

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