FUKUSHIMAいのちの最前線
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280──福島に住む者として何が出来るかを改めて考えなければなりませんね。菊地 その気持ちが県民全員に必要なのです。国は全ての施策や予算を福島県にだけ投じるわけにはいきません。なんでも国が、という連鎖が続けば、日本は立ちゆかなくなりますよ。──具体的には、県民は何をすればいいのでしょうか。菊地 我々はまず、賢くなる事です。「自分で自分の身を守る」ということも大事です。アメリカを例に挙げれば、歴史的なこともありますが、彼らには自分の身は自分で守るという思想が確固としてあります。日本人は何事にも無防備すぎると思います。医療ひとつを考えても、いつでもどこでも誰でも医者にかかれるのは日本だけ、そんな国は日本しかありません。──自らの力でできるものはやるということですね。菊地 そうです。それに人材育成も急がなければなりません。福島の若者を教育し、原子力の技術者を育てるべきです。福島の人間が県外へ去っている状況の中で、優秀な人材がどんどん県外から福島に来ることは期待できません。壊れていない原子力発電所を廃炉にする技術はあっても、水素爆発で壊れた原子炉を廃炉にできる技術はまだありません。県内に住む若者を育て、廃炉技術を学ばせる。県内にある教育機関を改編し、原子力の専門家を育てる。このような発想が必要だと思います。──福島医大が整備する復興拠点新センターの機能の中にも人材育成部門が入っていましたね。菊地 そうです。このセンターには五つの機能を持たせることにしています。その中の一つ

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