FUKUSHIMAいのちの最前線
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266甲状腺検査における検査結果と今後の課題や方向性について当時概ね18歳以下の福島県住民全員に対し実施する。 平成26年4月からは、2巡目の検査が開始される。20歳までは2年ごと、それ以降は5年後ごとの甲状腺検査を生涯にわたり継続する予定である。 また、県外に移住および避難されている住民に対しては、現在拠点となる実施施設を認定契約する作業に入っており、順次実施が可能となる見込みである。 今回の実施にあたり、日本甲状腺学会、日本内分泌外科学会、日本甲状腺外科学会、日本超音波医学会、日本超音波検査学会、日本小児内分泌学会、日本乳腺甲状腺超音波会議(日本乳腺甲状腺超音波医学会に変更予定)の計7学会の支援を受けている。7学会から構成されている学外専門委員会により、診断基準の運用、実施者の条件、学外認定施設の選定などをおこなっている。 実施者の条件としては、一次では日本甲状腺学会専門医、日本内分泌・甲状腺外科学会専門医、日本超音波医学会専門医(体表ないし総合)、日本超音波検査士(体表)、日本内分泌学会専門医(小児科)を目安としている。また二次検診では、少なくとも日本甲状腺学会専門医ないし日本内分泌・甲状腺外科専門医と日本超音波学会専門医(体表ないし総合)が在籍している施設が望ましいとの諮問を受けている。 24年5月以降は県内都市部での実施予定となり、また長きにわたる本検査事業に対し県内医療従事者の参加は不可欠のものであり、上記要件を満たさない場合には、甲状腺超音波講習会等を多数実施し、試験まで行い参加出来る認定体制を整える予定である。 検査結果の説明や今後のフォローアップ体制の構築についても関係各位の協力が不可欠であり、引き続き先生方のご支援をお願いする次第である。 今回の放出された放射線量からは広島、長崎、チェルノブイリと同等の外部被ばく、内部被ばくはないと考えられ、甲状腺癌の発生増加はないと考えている。しかし、これだけ大規模で精度の高い検査を続けていくことで、以前より早く、小さなうちに原発事故と関係のない、ある一定の数の甲状腺癌が認められることが考えられる。チェルノブイリでは4-5年後、広島、長崎では10-15年後以降に当時20歳未満であった方々に甲状腺癌の発症増加を認めている。福島の状況はこの両者とは大きく異なる。従っ表2.平成23年度甲状腺検査の結果概要(平成24年3月末日現在)検査実施総数38,114人判定結果判定内容人数(人)割合(%)A判定(A1)結節や囊胞をみとめなかったもの24,468人64.2%99.5%(A2)5.0㎜以下の結節や20.0㎜以下の囊胞をみとめたもの13,460人35.3%B判定5.1㎜以上の結節や20.1㎜以上の囊胞を認めたもの186人0.5%C判定甲状腺の状態等から判断して,直ちに二次検査を要するもの0人0.0%〔判定結果の説明〕・A1,A2判定は次回(平成26年度以降)の検査までに経過観察・B,C判定は二次検査(二次検査対象者に対しては、二次検査日時、場所を改めて通知して実施)※A2判定であっても,甲状腺の状態等から二次検査を要すると判断した方については,B判定としています(参考)判定結果人数(人)割合(%)計結節を認めたもの5.1㎜以上184人0.48%386人(1.0%)5.0㎜以下202人0.52%嚢胞を認めたもの20.1㎜以上1人0.002%13,380人(35.1%)20.0㎜以下13,379人35.10%※結節,囊胞両方の所見に該当しているケースも存在おわりに

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