FUKUSHIMAいのちの最前線
213/608

第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線207確認などが重要になってくる。 現状では原発サイトからのサイト外への放射能の飛散はないが,また再び放射能の飛散が起こる可能性も高く,再飛散時の対応,ヨード剤使用の時期と服用の場所,飛散情報・屋内退避や避難指示の伝達方法をどのようにすべきなのかなど課題は多い。 一般住民被ばく汚染の問題を慢性・低線量・広範囲とすると,慢性外部被ばく低減対策として,サンプリング点の増加,線量マップの作成と住民への説明,除染方法の開発など,多くの問題点が挙げられる。また,慢性内部被ばく低減対策として,省庁の縦割りを超えた協調も重要である。たとえば,食肉の餌,肉牛出荷は農林水産省なのに,食肉サンプリングは厚生労働省といった縦割りが今回問題となっている。 このほか,住民への情報提供と指導(天然キノコ,地場もの野菜の流通コントロール),被ばく不安低減のためのリスクコミユニケーション,専門家の意識(社会混乱を招く統一なき議論にデメリットがあることの認識),被ばく線量評価とその説明,これまでの外部被ばくに関する評価(放射線医学総合研究所の行動調査,市町村が学童に配布したガラスバッチ線量評価の統一,whole body counterの利用法と,結果説明法の統一化),心のケアの問題などの,多くの課題が残されたままであり,早急に解決し,次に備えるべきと考えている。 附属病院での通常業務が再開され,ほぼ病院業務は通常に戻った現在でも,緊急被ばく医療班の業務はなくなっておらず,継続的な原子力災害への対応が求められており,体制の再検討が必要不可欠と思われる。文 献緊急被ばく医療体制の今後の課題1)福島県保健福祉部:福島県緊急被ばく医療活動マニュアル.平成15年5月制定2)被ばく医療施設運営委員会マニュアル作成部会:福島県立医科大学医学部附属病院被ばく医療活動対応マニュアル.平成14年5月8日制定3)日本医学放射線学会放射線防護委員会:原子力災害に伴う放射線被ばくに関する基本的考え方▲http://www.radiology.jp/modules/news/article.php?storyid=931

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です