FUKUSHIMAいのちの最前線
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第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線187公立大学法人福島県立医科大学 理事長兼学長 菊地 臣一新たな副学長の就任について 改めまして、3月11日に発生しました東日本大震災により、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、さらには、東京電力福島第一原子力発電所の事故により避難生活を余儀なくされている皆様、生活に影響を受けている皆様にお見舞いを申し上げます。 本学は、東日本大震災の発災に伴い、放射線による健康への影響から県民の皆様の健康を長期にわたり守っていくという歴史的使命を負うこととなりました。すでに、県からの委託により、「県民健康管理調査」をスタートさせており、今後、全県民を対象とする取り組みへと拡げ、県民の皆様に対する健診機能を強化して、長期的健康管理を行うとともに、今後は、放射線による健康影響が発生する場合に備え、最先端の医療の導入を図ってまいりたいと考えております。 現在、福島が抱えている問題は、未だ人類の経験したことのない事態への対応であり、ALL JAPANの協力を得ることはもちろん、世界の叡智を集めることが必要です。その手始めとして、9月11日~12日に、放射線と健康リスクに関する国際専門家会議を本学で開催いたします。この会議を皮切りに、将来に向けて国際的な連携を進め、県民の皆様の健康をお守りするための体制を構築してまいりたいと考えております。 こうしたなか、本学は本日、長崎大学の山下俊一教授と広島大学の神谷研二教授を新たに副学長としてお迎えすることとなりました。お二人は、広島・長崎における原爆被災者の医療活動などを通じて、放射線が健康に与える影響に関する知見を積み重ねてまいりました。山下副学長は、原発事故後のチェルノブイリを100回以上訪問し、延べ20万人の診断治療を行うなど、放射線健康影響に関する第一人者で、日本甲状腺学会の理事長です。また、神谷副学長は、放射線生命科学の専門家であり、日本放射線影響学会の会長も務めておられる権威です。 お二人は今回の福島原発の事故に当たって、いち早く福島県に入り、県の放射線健康リスク管理アドバイザー、さらには本学の理事長付特命教授として、放射線に関する知識の普及や本学の被ばく医療体制の整備などに御尽力いただいてまいりました。放射線による健康影響を避けるためには、科学的な知見に基づいた対策を進めることが最も望まれることですが、お二人のこれまでの業績は長年の研究や現場での豊富な経験に裏打ちされたものであり、現在の福島の地に最も必要なものであると私は確信しております。 両副学長には、今後、放射線による健康影響の分野で本学の中核として御活躍いただくことを期待するとともに、豊富な人脈を生かし、国際的な連携協力体制を構築していただきたいと考えております。私自身もお二人とともに、県民の皆様の安全と安心を確保するための取り組みに全力を尽くす覚悟でありますので、皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。平成23年7月15日 福島県立医科大学公式ホームページ 2011年7月15日掲載

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