FUKUSHIMAいのちの最前線
175/608

第3章放射能との闘いFUKUSHIMA いのちの最前線169福島県放射線健康リスク管理アドバイザー山下俊一先生が答える放射線Q&A(公立大学法人福島県立医科大学)掲載放射線Q&A福島県放射線健康リスク管理アドバイザー 山下 俊一Q1 地域の環境放射線は一時間あたり数マイクロシーベルトとなっていますが、数週間、数ヵ月この環境に住み続けることで、蓄積した結果、数ミリシーベルトを超えることもあるかと思われます。子供への影響やおなかの赤ちゃん、または将来妊娠した場合のリスクはどのくらいなのでしょうか?A1 報道されている値はあくまでも屋外での空間線量です。それが屋内では一般的には2~10分の1くらいに減りますので、実際の被ばく線量は少なくなります。もちろん、蓄積されてどうなるか、を心配されるのはごもっともですが、現在の減少傾向が継続すれば、健康リスクが出ると言われる年間100ミリシーベルトまで累積される可能性はありません。そして、同じ100という線量でも、1回で100受けるのと、1を100に分けて受けるのとでは影響がまったく違います。少しずつならリスクははるかに少ないのです。 妊娠しているお母さんが特に心配されるのも当然です。長崎では妊娠初期に被ばくした場合、小頭症の例が増えたのは事実ですが、しかし原爆とは被ばく線量が桁違いですので、現在の福島の被ばく量でしたら、なんら心配はいりません。また、チェルノブイリでは、事故当時0~5歳の子供を中心に甲状腺ガンの発生率は増加しましたが、その時お腹にいた子供の中での増加の報告はありません。将来の妊娠に対しても全く心配はいりません。 お子さんに対しても、現在の減少していく線量の環境で影響が出ることはありません。Q2 現在妊娠しています。飲み水も味噌汁にまでもミネラルウォーターを使っています。 野菜を洗うのも怖いのですが、どう対応すべきでしょうか?A2 基準値以上の放射性ヨウ素が検出された水は飲まない、飲ませない、というのは賢明な選択でしょう。ただし、それでも、数回飲んでしまったからといって心配する必要は、今の放射線レベルならまったくありません。また、ミネラルウォーターがないから、水を飲ませない、ミルクをあげられないというのは、逆に乳幼児の健康によくありません。また、野菜を洗ったり、顔を洗ったり、お風呂に入ったり、と生活用水に使うのは規制内なら心配いりません。Q3 小学生の子供がいます。外で遊ばせても大丈夫なのでしょうか? 4月から学校が始まるのですが、普通に通学させるのも心配です。洗濯物も外で干していいのでしょうか? 家には24時間換気システムがついているのですが、切った方がいいのでしょうか?A3 1時間当たりの環境線量が10マイクロシーベルト(その後3.8マイクロシーベルト)以下であれば、もう外で遊ばせて大丈夫です。 もちろん普段通りの通学も問題ありません。ただし、指についた土をよく洗わせたり、着ていた上着のホコリを払わせたりしたほうがよいかもしれません。 洗濯物についても、取り込む時に少し丁寧に福島県災害対策本部主催講演会での代表的なQ&A このリーフレットは、チェルノブイリ原発事故の被ばく研究において世界的第一人者の研究者である、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー・山下俊一先生の講演会および報道取材にて行われた質疑応答を元に構成したQ&A集です。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です