FUKUSHIMAいのちの最前線
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152者の末席を汚している医師の一人としては、各国の機器、初めての組み合わせ、短期間でのシステム作り、これらの難題を克服してほぼ予定通り円滑に作動させた人々に“凄さ”を感じます。 今週の花材は、執務室の凜とした涼やかさを、秘書室は素朴な可憐さの演出です。 今週の花■姫ガマ ガマ科/多年草/日本全土の川辺や沼、池などの湿地に自生。草丈は1.5〜2mになり、菖蒲の葉を大型にしたような線形。地下茎が泥の中を縦横にはしり、芽を出して繁殖する他、種子のついた綿毛が飛散する。花粉を乾燥させたものが生薬で「蒲ほ黄おう」。■グリーントリュフ ナデシコ科/多年草/原産:ヨーロッパ東南部/ナデシコの一種で、マリモや芝を連想させる花。モコモコした部分は、花弁・雄しべ・雌しべが変化したもの。■アンスリュウム(マキシマグラシオーサ)サトイモ科/常緑多年草/原産:中南米/花弁のように見える部分は仏炎苞で棒状の部分が花。南国の原産の花なので暑さにも強く、苞を観賞しているため長期間楽しめる。「マキシマグラシオーサ」は爽やかなグリーン系の品種。■ピンポン菊(ジェニーオレンジ)キク科/多年草/原産:オランダ/ピンポン玉のようにまん丸に咲く菊。花持ちのよい菊の中でも特に長く楽しめる品種。 自然は時時刻刻と変化しています。今朝は久し振りの時ホトトギス鳥の鳴き声で目覚めました。この時季、朝、帰宅時、梔クチナシ子の香りが送り出しと迎え入れをしてくれます。雨上がりは、一層、際立ちます。梔子との出会いは学生時代に遡ります。この時季、梔子へ言及してしまいます。(vol.35 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=55)(vol.85 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=111)(vol.86 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=112)(vol.132 http://www.fmu.ac.jp/univ/cgi/hana_disp.php?seq=165) 学生時代、鉢植えの小さな八重の梔子を買ったのが最初でした。しかし、それ以来の関わりは、今や、断片的にしか浮かんできません。口なしの花さくかたや 日にうとき(蕪村) 衣更えをする度に、父や母から引き継いだ着物の縫い目がほつれているのが見つかります。洗い張りを繰り返していると、縫い目から限界がきます。丈が短いのも気にせず、着続けた着物も、幾つかは着納めです。この時だけは「時」の重さを噛みしめています。 タヒチの国花が梔子の一種です。梔子は、名画「旅情」でも象徴的な場面で使われており、主題曲とともに思い出すことができます。原発事故対応で共に闘っている関係者達と、一夜、絆を確かめ合いました。玄関には大和桔梗と蒲ガマをベトナムの素焼きの大壺に、部屋にはナナカマドと百合をジャワ島で作られたという大籠に投げ入れました。柱の一輪挿しには半ハン夏ゲ生ショウを活けてお迎えしました。 大学に課せられた新たな歴史的使命の礎だけは何としても造って、次の世代に引き継がなければということを決意しての日々、心身がもつか、何時まで持つか、時間との闘いです。こんな時、「人間は誰かを友人と思わずには生きていけない」(ジェイムズ・ジラード「遅番記者」)を実感します。 7月29日はゴッホが自殺したとされている日です。彼の絵や死をめぐっては、小林英樹氏や小林利延氏の著作により、不可解な点が指摘されています。英語版が刊行されれば大反響を巻き起こすでしょうに…。 ゴッホの後半生の傑作から受ける強烈な印象、同じような衝撃を別の作家から受けたことがあります。それはルーチョ・フォンタナの空間概念シリーズの1枚です。どこの美術館/美術展で目にしたかは定かでなくなってしまいました。赤いキャンパスをナイフで、一本、斜めに切り裂いただけの作品です。その後、一連の作品をみましたが、この単純明快な作品が最高傑作と信じています。最初にこれを「芸術」にした独創性に脱帽です。 今週の花材は、執務室は落ち着いた情熱、秘書室は透明感のある明るさを感じさせてくれます。vol.134 残 響2011年7月29日理事長室からの花だより

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