FUKUSHIMAいのちの最前線
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146公立大学法人福島県立医科大学公式ホームページ掲載福島県立医科大学理事長 菊地 臣一理事長室からの花だより【編集註】お花の活け込み写真については現在休載しておりますが、番外編として今回、臨時メッセージを掲載いたします。* 3月11日 午後2時46分頃、未曾有の大惨禍が東北と関東の太平洋岸に起きました。しかも、ここ福島県では、現代科学が、今、原発事故という挑戦を受けています。東京電力、自衛隊、警察、消防、自治体、医療関係者の人々が、文字通り命を懸けて闘っています。地震や津波の被災者に対する援助はもとより、今、住民や医療従事者には放射線被曝に対する動揺が広まっており、これをどう安心させられるかに全国の多くの人々の知恵と援助を関係者に戴いております。 現在、本学は医療救援や体制整備の最前線になっており、残念ながら、飾る花はありません。可あたら惜身しんみょう命 不ふしゃく惜身しんみょう命 幸い、水が絶たれ、ガソリンがなくても不眠不休で働いてくれる多くのスタッフがおり、彼・彼女等と共に、今、危機に対応できることは天命です。天の配剤に感謝しています。vol.117【番外編】無 私2011年3月18日 本県における大震災に伴う原子力発電所の事故発生という、危急存亡の秋(とき)、その対策に本学と県が一体となって取り組んでいます。地道に積み上げてきた両者の相互信頼と敬意に基づく絆(きずな)が、ここという真に今、連携の威力を発揮しています。 本学の責任者である私はというと、有能な執行部に恵まれ、木で偶くの坊ぼうのように執務室の椅子に座っているだけです。燃料節約の為暖房は入っておらず、つい先日までは断水もあり、着膨れ達だる磨まのようにしていました。 私に、今、求められているのは、「流水に鑑かんがみるなくして、止し水すいに鑑みる」 ことだと思い定めています。大学や病院というのは、プロの集団で構成されています。それだけに、時として自分の仕事からの視点をより重視しがちです。ここに、危機の時、組織管理上のリスクがあるように感じています。 スタッフが決めかねている時、あるいは他の組織とのパイプを作って欲しい時に動く、「静あってこその動」と割り切っています。年寄りには、所詮、この位のことしかできません。 この間、国内外の多くの友人から激励や海外脱出と2〜3ヵ月の滞在の勧め!を戴きました。そんな中に、ニューヨークタイムズの記事に掲載されていた村上龍氏の寄稿文を送ってくれた友人がいました。その中の“Amid Shortages, a Surplus of Hope”(何もない、あるのは希望だけ)の見出し、心に残りました。 古今東西、失意の人々を慰める言葉は同じようです。朝の来ない夜はない(吉川英治)The night is long that never finds the day〔どんなに長くても夜は必ず明ける〕(シェークスピア)vol.118【番外編】危 急2011年3月25日

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