01放射線治療とは?メリットや治療費についても解説
放射線治療とは、どんな仕組みでがんを消滅させる治療法なのでしょうか?気になる放射線治療のメリットや治療費の目安、治療にかかわる体制についてもご紹介します。
放射線治療は、がん治療に
おける
最良の治療のひとつ!
放射線治療とは、その名の通り、放射線を利用した治療法です。じつはがん細胞のような細胞分裂の活発な細胞の方が、正常な細胞に比べて放射線に弱い性質を持っており、この特徴を利用しています。

がん病巣に放射線を照射することにより、がん細胞内のDNAにダメージを与え、がん細胞を縮小・死滅させます。正常な細胞は少量の放射線であればダメージを受けても自力で回復することができます。そこで放射線の量を小分けにして照射することで、正常細胞を回復させつつ、がん細胞をたたいていきます。

「がん治療では、手術、放射線治療、抗がん剤治療の3つを組み合わせて治療するのが一般的です。手術ができない患者さんには、抗がん剤治療と放射線治療を合わせてがんを治したり、進行を抑えたりする場合もあります。また、病巣が小さい場合など、病状によっては放射線治療単独でも根治を目指した治療を行うことが可能です」と田巻先生(以下同)。

放射線治療のメリットは?欧米ではじつはスタンダード
放射線治療は手術と違って人体を切らずに治療できるため、身体への負担が少なく、手術や麻酔に耐える体力がない高齢者や合併症を持つ人、がんが進行していて手術が困難な人でも治療できます。また、手術で切除するのが困難な部位でも放射線治療を用いて治療できます。外来通院でも治療が可能で、治療中に痛みや熱さを感じることはありません。

「手術で臓器や器官を取り除いてしまうと身体機能を損なう可能性がありますが、放射線治療の場合は臓器の機能や形態を維持して治療ができるのが良いところです。副作用も比較的少ないので、生活の質を保ちながら病気と戦える優れた治療法ですが、海外の先進国と比べると日本ではまだ普及率が低いのが現状です。欧米ではがん患者のおよそ6割が放射線治療を受けているというデータがありますが、日本では3割程度。いかに普及させていくかが今後の課題です」
放射線治療にかかる費用について。保険適用されるの?
治療費は、照射する部位(臓器)や照射方法によって異なりますが、原則的に健康保険で治療が受けられます。また、1ヶ月あたりの医療費の自己負担には高額療養費制度による上限が設けられていますから、上限を超えた分は払わなくて済みます。詳しくは担当医や医療機関などに相談してみると良いでしょう。
放射線治療にかかわるスタッフは? エキスパート揃いで安全・安心!
放射線治療では、専門的な知識を持ったスタッフが連携し、安全・安心かつ正確な治療の提供に努めます。どんなスタッフがかかわり、どんな役割を果たしているのでしょうか。
- 放射線腫瘍医/患者の診察所見や検査結果をもとに、放射線治療の方針や計画を決定します。治療期間中や終了後も定期的に患者を診察し、最適な処置を行います。
- 診療放射線技師/医師によって決定された放射線治療方針に従って、正確に放射線を照射します。(放射線診断では、レントゲンやCTも撮影する職種です。)
- 医学物理士/医師と協力して治療計画の立案を行います。また、放射線治療装置の精度管理を行い、放射線治療が正確に行われるように品質管理を担当します。
- 放射線治療看護師/治療期間を通して患者や家族の身体的・心理的ケアを行い、相談に乗ります。