更新日 2024年3月12日

福島県立医科大学・総合科学教育研究センター(数物・情報・統計科学領域)では,2011年3月11日の東日本大震災前から継続して講座(4号館4階)での放射線測定を行っています。放射線量が震災直後に急増し,その後減少していく様子がご覧いただけます。
2種類の装置を使って測定していますので、それぞれを以下に示します。
数か月毎に更新しています。
(文責:小澤亮、ozawaryo@fmu.ac.jp)


上図は、2010年10月から2020年4月まで、福島県立医科大学・総合科学教育研究センター(数物・情報・統計科学領域)、つまり、福島市光が丘にある鉄筋コンクリート建物の4階室内中央部での測定結果です。
放射線量が震災直後に急増し,その後減少していく様子が見て取れます。減少の仕方を解析すると、短い半減期注1)(4.36日)と長い半減期(683日)に分けることが出来ます。下の表「原発事故由来の放射性物質注2)」の物理学的半減期と比較すると、前者はヨウ素131、後者はセシウム134に起因する放射線であると推測されます。
2020年4月の時点で事故前の1.05倍まで放射線量が減ったことがわかります。
なお、機器の故障により2020年4月でこの測定器での継続測定は終了しました。


上図は、2012年7月以降、福島市光が丘にある鉄筋コンクリート建物の4階の部屋において、窓際で測定器を屋外に向けガラス越しに測定した結果です。
原発事故由来の放射性物質の中でも短い半減期のものがほぼなくなった頃からの測定です。
2014年10月に行った建物屋上の除染の効果が見られます。

放射性物質は指数関数的に減少していくことが知られており、方対数グラフにプロットしたとき直線になればそうである証拠です。2015年11月以降の減少の仕方から解析した半減期は2613日程度(約7.2年)です。原発事故以前から自然界に存在する放射線や風雨による除染効果があるため単純に比較は出来ませんが、セシウム134、セシウム137が持つ(物理学的)半減期と近いことがわかります。これは、セシウム134、セシウム137などの放射性物質が屋外にあることを示唆します。ただし、現在の放射線量は非常に少なくなっています。

注1)半減期:放射性物質の数が半分に減るのに要する時間

注2)環境省、放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成29年度版)より引用