「エコチル調査:子どもの健康と環境に関する全国調査」は、妊娠初期から、お子様が13歳になるまで、環境中の化学物質などが、子どもの成長や発達にどのような影響を与えるのかを調べるために環境省が2011年1月から実施している出生コホート研究です。最初はお子様が13歳になるまでの予定でしたが、参加している子ども達が40歳になるまで継続されることになりました。(詳しくはエコチル調査福島ユニットセンターのホームページをご覧ください。)
本調査において福島県立医科大学は全国15ユニットセンターの1つとして実施しています。全国で10万人の妊婦さんに参加登録をお願いし、福島県では全県59市町村で実施し、産婦人科、小児科の先生方のご協力のもと約13000組の母子に本調査へご参加いただきました。この人数は参加登録期間の福島県内の妊婦さんの、約50%、つまり「お二人に一人」にご協力をいただいていることを意味します。2025年3月現在、子ども達は11歳から14歳となりエコチル調査参加児として出生した子どもたちの92%(11810人)がエコチル調査に参加しています。エコチル調査には、全国15ユニットセンターすべてで行われる全体調査、詳細調査、そして各ユニットセンターが独自に実施する追加調査があります。当小児科学講座でも追加調査を計画、実施しています。
当講座でのエコチル追加調査
福島県内でエコチル調査にご参加いただいている方を対象に、「小児期感染症の病原体に対する母体と臍帯血の抗体価と周産期因子の関連性について(エコチル追加調査)」を行っています。
1. 追加調査の目的
新生児期および乳児期は、免疫学的に未熟であり、感染症にかかりやすい時期です。感染症の原因にはさまざまなウイルスや細菌があり、発症には、胎児期に獲得した母親からの移行抗体※が大きく影響・関与しています。
追加調査「小児期感染症の病原体に対する母体と臍帯血の抗体価と周産期因子の関連性について」では、母体血と臍帯血中の病原体に対する抗体価を測定し、病原体ごとの抗体移行状況を明らかにすることが目的です。得られた結果をもとに、将来、赤ちゃんの感染症の発症予防や重症化の予測などに役立つものと考えています。

2. 調査の内容
現在行っている追加調査は、エコチル調査にご協力いただいた妊婦さんとその赤ちゃんのうち、2013年6月から2014年11月までに出産・出生した方々を対象としています。
エコチル調査のために採取された血液の残血清検体や情報を使用しますので、今回の追加調査のために新たな血液採取などは行いません。
① 対象者の分娩時の血液および臍帯血の残血清検体を用いて、感染症の病原体に対する抗体価を測定します。
② 得られた抗体価を母児間で比較したり、母体の年齢や妊娠経過、児の週数などによる抗体価の変化など検討します。
なお、この調査は、環境省および福島県立医科大学の倫理委員会の承認を得ています。
3. 追加調査の参加協力について
対象数は母体およそ4000名、新生児およそ4000名を予定しています。エコチル調査参加者のうち、2013年6月から2014年11月までに出産した方々が対象です。
参加に同意されない方は、下記連絡先までお申し出下さい。申し出期間は2015年4月から10月末日までの半年間とさせて頂きました。申し出のご連絡がなかった対象者は、同意が得られたものとして、調査の参加者とさせていただきました。
4. 費用について
追加調査に関わる抗体価測定等は、福島県立医科大学小児科学講座 講座費によって行う予定であるため対象者のご負担は一切ありません。
5. プライバシーの保護について
ご協力いただいた検体や個人情報は、追加調査の目的以外には使用せず、厳重な管理のもとに保存させていただきます。また、調査が終了した検体は、調査期間終了後に加熱処理した後、個人が特定できない状態で廃棄処分する予定です。
6. 追加調査の結果開示について
対象者の方から情報開示のご請求があった場合には、原則として書面にて主任研究者が開示します。また、追加調査で得られた研究成果は、学会や論文で発表させていただきますが、個人が特定できないように十分考慮します。
これまでに以下を発表してきました。
・2019年:パレコウイルスA3型に対する母体血、臍帯血の中和抗体価と周産期因子との関連
・2022年:母児ペア血清検体を用いたRSウイルスに対する中和抗体と中和エピトープ特異抗体の測定
○研究内容に関する問合せの窓口
〒960-1295 福島県福島市光が丘1
公立大学法人福島県立医科大学医学部小児科学講座
担当 橋本浩一
電話:024-547-1295 FAX: 024-548-6578
E-mail:don@fmu.ac.jp