福島お達者くらぶだより

2016 10 1日発行 通算 81

 

<重要なお知らせ>

来年 1月のミーティングについて

来年1月の第2土曜日(1月14日)は大学入試センター試験のため、県立医大の全体が閉鎖され、ミーティングにいつもの部屋が使えません。それでこの日だけは次のように大学外で行います。時間はいつもどおりです。

家族ミーティング会場: レストラン風の谷 電話024-548-0786

本人ミーティング会場: 蓬莱学習センター(集合は風の谷)

 

 これまで医大が使えない時には家族・本人合同ミーティングとして風の谷で行ってきました。しかし、本人の参加者から合同ミーティング、まして(たとえ聞こえないとしても)一般の人たちもいるところでのミーティングでは十分に話せない、との声が強くなってきました。それで、本人ミーティングは蓬莱学習センターで行うことにします。この位置の説明がなかなかに難しいので、本人の人たちも2時までに風の谷に来てください。そろったところでスタッフの車で移動します。本人でも遅れて風の谷に来られた人は、そのまま家族とのミーティングに参加していただくことになるかと思います。

 

 風の谷の場所は国道4号線の伏拝交差点(旧4号との交差点・郡山方面から来る場合は医大を通り越して最初の信号)を旧4号の蓬莱団地の方に進み、すぐの信号の直後の右側への道を入ったところ、医大行きバスなら北谷地(桜台経由ならあさひ台)停留所のすぐ近くです。(コーヒーがおいしい、なかなかしゃれたレストランです。)

 2時までに医大(いつもの部屋のある看護学部棟の玄関)に来てもらえれば、車で案内します。

 このミーティングでは、少し離れた場所にはお達者くらぶではない方たちもお茶をしているかと思いますが、今までにも2回、入試のためにここで行ったときには、最初は少し周りが騒がしかったですが、話を聞かれてしまう可能性については、全く気にする必要はありませんでした。飲み物代は自分持ちですが、200円の参加費は無料とします。

 

 

ミーティングに1〜2回で来なくなる人たちの割合

 私(香山)は9月最初の週末に東京で行われた日本摂食障害学会の学術集会に参加して、いろいろな演題発表と聞き、たくさんの人と話して情報交換を行ってきました。そこで印象に残った自助活動についての演題のことを紹介します。(この学会がどのような学会か、そこで自助活動はどのように捉えられているかについては、また別に報告します。)

 全国で摂食障害の自助グループが大都市だけでなく地方都市にもできるようになっていますが、どの自助グループでも参加が1〜2回にとどまって繰り返しては来ない人たちが多いようです。そのことを金沢に中心を置く自助グループ「あかりプロジェクト」の代表者である村田いづ実さんが全国のグループに協力を求めてメンバーの参加状況を調べたアンケート調査を行い、「自助グループへの継続的参加を阻む要因」という演題にまとめて、日本摂食障害学会の学術集会で発表されました。そこで発表されたことを紹介します。

 そのアンケート調査は参加が本人に限られた46グループに対してメールで依頼を送って行われたのですが、8グループにはメールが届かず、届いただろうと思われる38グループで回答があったのはちょうどその半数の19グループ、その中の有効な回答でなかった1グループを除いた18グループ(自助グループ:16、サポートグループ=援助職者が運営するグループ:2)からの回答についてまとめたのがこの演題でした(お達者くらぶも香山が最近5年くらいの状況を調べてこの調査に協力しました)。質問は「継続的に参加しない人は何回くらいで来なくなるケースが多いか?」「3回以下で来なくなる人は参加者全体のどのくらいの割合か?」といった点を中心に、自由記述欄も添えられたものでした。

 その結果では、1回だけの参加で来なくなる人が多いとの答が13グループ、2回だけの参加でとの答が4グループで、参加が途絶える人は少ないというのは1グループだけでした。そのような少数回の参加で来なくなる人の割合は参加者の半数以上であるのが10グループと多く、少数回で来なくなる人は3050%くらいというのが5グループ、多くの参加者が繰り返して参加しているグループは18グループの中で3グループだけと少数でした。

 

 この調査で村田さんは1〜2回しか参加しなかった人たちの参加しなくなった理由を知るために、あかりプロジェクトのメンバーでメールアドレスのわかっている人たち192人にそれを尋ねました。しかし、78人についてはメールが届かず、届いたであろう114人のうち回答があったのは13人、有効な回答は11人だけだったとのことです。それゆえ、その回答がどれだけ一般性を持つかは疑問ではあるのですが、次のような回答でした。

  複数の人が指摘した理由

   行き来が負担だから(3人)

   時間が合わないから(2人)

   どういう場所か見てみることが目的だったから(2人)

  それ以外は全て一人ずつ

   自分のことを話すのが難しいから

   他のメンバーと年代が違ったから

   行きたいような行きたくないような

   家族の言葉に傷ついたから

 その有効な回答を寄せてくれた人のうち、「たぶんもう参加することはない」という人は3人だけで、あとの8人は「いつかまた参加したい」とのことでした。「今より苦しくなったら」あるいは「今より楽になったら参加する」という人や、「もう二度と参加したくない」という人はいませんでした。問い合わせのメールを受け取ったと思われる人の90%以上が返信していないのですから、どのくらい意味のあることかは何とも言えないし、そこから繰り返して参加してもらうための方策を考えることも難しいのですが。

 継続的に参加してもらえるための工夫については、各グループへの調査でも自由記述してもらっていた、その回答が村田さんの発表では示されていたのですが、その中には私たちもいろいろ試みてきたけれどあまり効果のなかったことが多いようで、例えば私たちが今の状態で参考にして決め手になりそうなことは特にないと感じました。どのグループもみんな努力しているのでしょうが、参加するかどうかは全く個人の自由であるのが自助グループの特徴だから、それで仕方ないのでしょう。

 

 私たちのお達者くらぶは援助職スタッフが運営していますから純粋な自助グループではありませんが、24年前に発足する時には立ち上げに関わったスタッフがNABA(東京を本拠地とする自助グループ)に見学に行かせてもらって、最初の数年間は毎回そのNABAのメンバーの方に来て司会をしてもらっていましたから、自助グループの精神を継いでやってきています。スタッフはただ受付だけをして、あとは安心してミーティングを行ってもらえる雰囲気を作ることに徹しているのです。

 そのお達者くらぶでのミーティング参加回数の状況を、すぐ手元に記録のあった大震災の次の年の2012年から2015年までの4年間に初めて参加した本人(29人)について調べました。1回参加しただけの人が18人(62%)、2回だけの人が4人(14%)、3回の人が4人(14%)、5回以上の(少なくとも一時は常連となった)人は3人(10%)でした。

 このように、(村田さんが発表された数値はグループ数のデータなので比較は少し難しいけれど)繰り返しての参加者が全国のグループでの調査よりも少ないのかもしれません。特に、常連となる人が10人に1人くらいというのは少し寂しいですが、これは福島のような地方都市の事情も作用していて、仕方ないところもあります。福島県は広く、少し離れた町になると、最初は何とか必死にミーティングにたどり着いても、繰り返しての参加が難しくなるのです。家族はたいてい車がありますが、本人はその点も自由にならない人が多いですし、毎日の生活だけで必死の人だと、よほどミーティングに必要を感じている人でないと、出かけるのも億劫になるでしょう。

 実際、ミーティングに行きたいと思っても、吐いているなどその日の体調や、気分が落ち込んでいたりして行けないことも多く、そうすると行かなかったことが自責の念となって(行ったり行かなかったりする勝手さを自分でも許せないし、他の人も気分を害するだろうと考えるのでしょうか?)、行けそうな時でも行くことがはばかられ、よけいに行けなくなってしまうこともあるようです。そんなことはない、久しぶりに顔を見られたらとてもうれしい、私たちはいつでも、何年経っても待っていますから、来れそうだったらいつでも来てください。

 繰り返して参加している(謂わばベテランの)人たちは少数だといっても、歴代の人がたいてい一人二人は参加してくれていて、繰り返しては来れない人たちも、そのような仲間がいるとわかるだけでも大きな意味があるので、来てみてもらえればと思います。

 

 ついでに、お達者くらぶの家族ミーティングの方も調べましたので報告しておきます。家族ミーティングについては、これを本人ミーティングと並行して行うのはお達者くらぶが全国で最初に始めたものですが、本人のほうと同じように自助的に行うのかどうか、初期にはスタッフ間で議論がありました。しかし、参加している家族の方たちが求めていると感じられるものと担当スタッフの性格が一致した感じで、司会はスタッフがして参加者に自由に発言してもらい、スタッフが少しコメントする今の形に落ち着きました。

 上に書いた本人の場合と同じ期間に新しく参加した家族は55人でした。そのうち、1回だけの参加だった人が31人(56%)と、やはり半数を超えています。2回だけの人が7人、3回の人が6人でした(あわせて24%)。4回目に出席した人はそれで終わっている人はいなくて全員もっと繰り返して出席するようになっていて(これは本人の場合と同じです)、その常連となった(お互いにも顔なじみとなる)人たちが11人(20%)です。

 このように、家族のほうが繰り返して参加する人の割合が多いのは、本人と違ってその日の体調が問題になることは少ないだけでなく、自分の苦しさと子どものためにという二重の動機があるからでしょうか。上に書いたように、車を自由に使える人が多いこともあると思うのですが。

 ミーティングに繰り返し参加することの意味については、以前に家族ミーティングのスタッフを務めていた広川めぐみさんが10回以上参加した12人のお母さんたちのインタビュー調査で明らかにしました(広川さんは臨床心理士となって福島を離れたためにスタッフを引退しました)。ミーティングに参加して自分の体験を話し、他の参加者やスタッフの話を聴くことによって、子どもの病気の理解が進むとともに、誰にも言えなかった自分の気持ちを吐き出すことができるしそれが受容されていることを知って心が楽になります。そうして子どもとの関係も良くなっていく、そのような変化は数回くらいの参加でも進んでいきますが、さらに参加を重ねていくと、自分の問題に気づいて自分の新しい生き方が見えてくるなど、人間的に成長していきます。この最後の変化は繰り返して参加することによってはじめて可能になってくるのです。

 本人ミーティングも、参加によりその場を生き延びる力が得られますが、繰り返し参加するとそれに留まらず、思春期で止まってしまっていた成長が再開し進んでいきます。皆様も、ぜひとも(だまされたと思ってでも)繰り返し参加してみてください。