〈〈〈〈〈福島お達者くらぶだより〉〉〉〉〉
第27号 2003年 4月 1日 発行
お達者くらぶだより第27号をお届けします。
今年の3月から、事務局のある福島県立医科大学の電話番号が変わりました。ダイ
ヤルインになって、交換台を通さずに外から直接かけられるようになったのです。新
しい電話番号は、この号の最後のページの事務局連絡先のところに書いてありますの
で、連絡の時は新しい電話番号でお願いします。
2月の中頃に、会津若松で摂食障害についての講演会があり、講演者として私(こ
れを編集している香山)が招かれました。(この講演会については下に報告します。)
そのあと、それを聴きに来ていた本人の方から手紙をいただきました。その手紙をぜ
ひ皆様にも読んでいただきたく、このお達者くらぶだよりに掲載させていただけない
かとお願いの手紙を出しました。それに対して、「私の文章で良ければどうぞ使ってく
ださい。プライベートなことでも載せていただいて大丈夫です。私は全然はずかしく
なんてありません。お達者くらぶだよりを読むのは摂食障害を持っている本人の方や
その関係者の方々(家族とか)だと思います。そんな方々に私みたいな症状(状態?)
の人間もいるんだということを知ってもらえるのは、私にとって苦痛でも何でもあり
ません。万一、私の手紙の内容で“悩んでいるのは自分だけではないんだ”と思って
くれる人がいたら、そしてその人が“摂食障害でも生きていていいんだ”と思ってく
れたら、私はとてもうれしいです。」と返事をいただきました。また、「お達者くらぶ
だよりをいつも読んで思うのは、本人達の声が少ないことです。どんな悩みを持った
人達がいるのか、もっと知りたいです。」とも書かれていて、そのためにもいただいた
手紙を載せさせていただきます。(私をほめていただいているところがあるので、私と
してはかなり心恥ずかしいのですが。)
そのお手紙にありますように、私も、もっとたくさんの本人の方が書かれたことを
ここに載せたいのですが、書かなければいけないとプレッシャーに感じさせてしまう
ことがあってはいけないと、あまり積極的に「書いてください」と言わないのです。
ですから、自分も書いてみようかなとちょっとでも思われたら、ぜひとも書いて送っ
てください。きっとたくさんの方の心に通じるのではないかと思いますし、私もうれ
しいです(いつも、この紙面を埋めるのにけっこう苦労していますから)。
前号のお達者くらぶだよりに私が書きましたことに対して思ったことを、あるお母
さんが手紙に書いて私のところに送ってくれました。(これもまた私のことをほめて
いただいていたりするので、非常に心恥ずかしいのですが、)あふれる思いが書かれて
いるように感じ、許可をいただいてここに載せさせていただきます。ちょっと、所々
文章が混乱しているところもなくはないのですが、心からあふれ出る言葉を一気に書
きつづられた力強さが感じられ、ここにワープロで清書して載せるとそのペンの字の
ひたむきな雰囲気が伝わらないのが本当に残念です。
そんなわけで、この号は香山の手前みそみたいなものになって申し訳ありません。
本当はそんなものでない、私達の欠点を指摘してもらえるような手紙も載せていきた
いのです。それがお達者くらぶの発展につながっていきます。お達者くらぶが今の姿
になるまでだって、いろいろな衝突の歴史がありました。それを乗り越えてこそ、本
当にみんなの力になる会になれると思います。よろしくお願いいたします。
会津での講演会の報告 香山雪彦
昔の保健所と社会福祉事務所を統合した県(いわきと郡山については市)の組織と
して各地に保健福祉事務所がありますが、その中に福島県精神保健福祉協会という組
織の各地区支部が置かれていて、県からの資金や寄付を利用して種々の啓蒙活動をし
ています。その会津支部が主催した講演会が今年の2月14日に行われました。テーマ
は「摂食障害(拒食症・過食症)〜その背景と回復のために」ということで、このテ
ーマでの講演の依頼がお達者くらぶにありました。よくこのような講演を務められて
いる星野仁彦先生は、現在、教授としてメンタルヘルスセンター長を勤められている
福島学院短期大学にこの4月から4年生大学の課程を立ち上げられるために非常に忙
しくされており、香山が行くことになりました。(この講演はお達者くらぶとして招か
れたものであり、謝礼をもらったのですが、それはお達者くらぶの運営に役立てたい
と思います。)
講演の内容は、2年前の5月にお達者くらぶ主催の公開の摂食障害セミナーを開催
したときに、私が基調講演として話したことを基に、それを少しずつ肉付けしたもの
です。(その時は40分の予定で、ちょっとオーバーして45分ほど話したのでしたが、
今回の講演では90分の時間をもらったので、ふだんから考えていることを具体的な例
をつけたりしていっぱいに話すことができました。主催者側に迷惑をかけないように、
私はストップウォッチをセットして時間を計りながら話すようにしているのですが、
話し終わったのは89分20秒でした。)
会場は高速道路のインターチェンジを下りたすぐ横の会津アピオ(流通センターと
して作られた場所みたいです)の真ん中あたりにあるアピオスペースという集会所の
ような建物の会議室で、きれいで快適な部屋に100人分くらいの席が用意されていま
したが、ほとんど空席のない状態でした。保健福祉事務所の方が学校関係に積極的な
参加を呼びかけられたようで、30数人の小・中・高等学校の先生方が来ておられ、そ
の大部分は養護教員の方々でした。それと同じくらいの人数の保健・医療・福祉関係
の種々の職業の方々も来られていて、このような摂食障害の人達に最初にふれあうで
あろう立場の方々に、表に出る拒食・過食という行動の裏に隠されている本当の姿を
知っていただくのは非常に重要なことだと、講演にもつい力が入りました。
実際に、持っていった資料が足りなくなって後で送ったある小学校の養護教員の方
は、「養教として経験の浅い私ですが、摂食障害で苦しむ子どもたちを何人か見てきま
した。もっと早くに先生のお話しを聴くことができていたら・・と思うことしきりで
す。非力ながら、教育現場でできることに全力を尽くし、専門機関へ移行した方がよ
い場合の見極めにも注意を払っていきたいと思います。」とお手紙をくださいました。
人間は誰でもプライドはあるし、つい意地もはって、なかなか本当の心を伝えない
ものだけれど、特に摂食障害の人たちは、人に気をつかい、どう思われるかを気にす
るばかりで、自分の気持ちを出せないことが一番の病気の本質であると言うこともで
きて、どうしても本当の姿を親も含めて誰にも見せられないでこじれて行くことが多
いと思います。その人たちをそうなる前にうまく受け止めてくれる人がいれば早く楽
に生きられるようになると思われ、多くの学校の先生方に来ていただけたのは本当に
ありがたいことでした。
ついでなのですが、香山は昨年の夏、学校心理士会福島宮城支部というところが主
催した学校心理士資格更新認定研修会を兼ねた公開講演会に呼ばれて講演したら、そ
れを聴きに来ていた方の紹介で山形県教職員組合栄養職員部学習会という学校給食に
関係した方々の勉強会に招かれ、それを聴きに来ていた方から自分のところにもと、
今年の2月には山形県真室川町学校保健委員会主催の養護教員の人たちを中心とした
勉強会にも招かれました。また、今年の10月に岩手県で予定されている養護教員の
方々の東北ブロック学習会にも呼ばれているなど、講演の連鎖になっていますが、上
に書いたように、私としては毎日子どもに接する現場におられる先生方に知っていた
だくことが一番影響が大きいのではないかと考えており、手弁当でも引き受けたいと
思っております。
会津の講演会では、宣伝の方法のためだったのだろうと思いますが、上に書いたよ
うに学校の先生たちや保健・福祉関係の方の参加が多く、摂食障害本人や家族の方々
の参加は少数にとどまりました。それでも来てくださった方々もおられ、講演のあと
の質問の時間に、質問をかねて発言してくださった本人の方もおられて、それが自ら
本人と名乗られた上で非常にふさわしい内容で、本当にうれしく思いました。(その方
がこの号に載せた手紙をくださいました。)
講演会でのアンケートの結果
その講演会では参加者にアンケートをお願いしました。アンケートでは参加された
方の性別、年齢層、立場(摂食障害本人、家族、教育関係者、医療関係者、その他)
以外に、次のようなことを書いていただきました。ただし、3,4,5は摂食障害本
人およびその家族の方だけにお願いしたものです。
1)摂食障害の自助グループがあることを知っておられましたか?(はい、いいえ)、
2)福島お達者くらぶの存在を知っておられましたか? (はい、いいえ)
3)医師やカウンセラーにかかっておられますか?(はい、いいえ、かかっていた)
4)自助グループに参加されていますか? (はい、いいえ、参加していた)
5)医師・カウンセラー、あるいは自助グループなどに対して感じている思いなどを
書いていただけますか。
6)今日の講演会に参加しての感想など、何でもけっこうですのでお書きください。
回収されたアンケート用紙は78枚でしたので、たぶん80%以上の方々に答えてい
ただけたのだと思います。そのうち摂食障害本人は5人、家族は6人だけで、これは
参加者が少なかったのだと思われ、それは今回の講演の宣伝方法のせいだったのだろ
うと思います。本人では20歳代の方が2人、30歳代の方が3人でした。
本人・家族の方々では、医師などにかかっていないと答えられたのは本人1人だけ
で、それ以外の方はかかっているか、かかっていたと答えられています。かかってい
たという方は、もうよくなったのか、あるいは絶望して行かなくなったのか尋ねるべ
きでした。いずれにしても、大多数の方は、摂食障害を病気として捉えられているの
だと思います。
その方々で、摂食障害の自助グループやお達者くらぶの存在を知っている方と知ら
ない方は、だいたい半々くらいでした。実際に自助グループに参加しているかどうか
については、現在参加している方は誰もおらず、本人では2人の方が参加していたと
いうことですが、家族では誰も参加しておられないという答でした。会津の地元にグ
ループがないことが大きく作用しているのでしょう。(お達者くらぶに来られている
家族の方が1人おられますから、たぶんその方は自助グループを厳密な意味に解釈さ
れたのだと思います。設問方法が良くなかったと思います。)
教育関係、医療関係、その他の人たちで自助グループや福島お達者くらぶの存在を
知っていた方々は、どちらも1/3くらいでした。この講演会に集まってこられたの
は摂食障害など苦しさをかかえた若い人たちのことに関心を持っている人たちでしょ
うが、その人たちでこれくらいの割合ですから、もっともっと宣伝が必要だろうと思
います。
以下に、本人および家族の方々に書いていただいたことをそのまま載せさせていた
だきます。(5と6に書かれていたことは重なっていたりしますので、区別せずに記載
します。これも、設問方法があまり良くなかったと言えます。なお、この部分には何
も書かれなかった方もおられます。また、アンケート用紙の最後に、「このアンケート
については、結果をまとめて福島お達者くらぶだより(会報)に掲載させていただき
たいと考えているのですが、ここに書かれたことをいかなる形でも掲載してほしくな
い方はこの後ろの〔 〕に×を記入してください」と書いておいたのですが、そこに
1人の家族の方が×を書かれていたので、その方の書かれたことは載せません。)
本人・家族以外の方々の書かれたことは、次号に載せさせていただきたいと思ってい
ます。
〔本人〕
◇私は、20年間、摂食障害で病院に入院したことが何回もあるし、何年も通院してい
るけれど、治りません。お達者にも行った事があります。でも全然変わらない。私の
摂食障害に対しては、何も無力なのかなと、絶望的になります。会津にも、いい医師
やカウンセラーや、自助グループがあればいいです。 今日は母が都合が悪くて来
られなかった。先生の話をきいて、母にも聞いてほしかったと思う。今日の講演をき
いて、私は治るのかなと思ったけど、周りの人(世間の人達 皆.. )にも、先生が今日
おっしゃったような事を理解してもらわなければ、治らないのかもと思う。 先生
の講演、最後の方、泣きそうになりました。私、今、過食嘔吐してるけど、それでも
いいっていってくれる、香山先生、ありがとうございます。今日の講演は、本人より、
家族の人達にぜひきいてもらいたい内容でした。また機会があったらやってほしい。
本当に今日は参加してよかったです。
◇聞いてほしい、認めてほしいという気持ちは、いつもありました。私も、自分を好
きになりたいと思いました。もう少し、勇気が出せたら参加してみたいと思いました。
講演を聞いて、涙が出てしまいました。私も、苦しかったのかな?と思いました。自
覚しょう状としては、過食をやめられない自分に対する自己嫌悪。ぐらいに思ってい
ました。でも、いろいろなことが、苦しかったんだと思います。今日は聴講できて良
かったです。
◇ 県立会津総合病院精神科の先生と自分は合わない。
◇医師・・投薬の有効性を考えると必要。 カウンセラー・・回復のための心理的ア
プローチをしてくれる人(記憶をつむぐ手伝いの人)医師ができればなお良。 自助
グループ・・共感できる人がいる温かいところ。グループでなくても、友人1人でも
可。支えあえる。 最近だいぶおちついてきたので、整理するのに良かった。以前
は冷静に聞けなかったので。
〔家族〕
◇H.14 10月12日の講演会の内容を、再びしっかりと受け止める事ができました。あ
りがとうございました。お達者くらぶに一人で参加しておりましたが、私の母と友人
と4人で参加致し、皆さん感動されていたようです。 息子は絶対治る、又、治して
みせる意気込みで、頑張ります。息子本人には頑張れと言えない代わり、母として、
精一杯、楽しい人生を送れる努力をしていきます。
◇20年も苦しんでいらっしゃる方が現実にお話されていましたが、こちらが思ってい
る以上たいへんなんですね。今日のお話参考になりました。 わかりやすいお話をお
伺い致しました。もう少し努力してみます。 今日はありがとうございました。
◇摂食障害の親の会、等に参加してみたいと思いますが、先生のお話を聞いて、夜だ
けの過食で生き伸びる手段としてつきあっていれば、私はとても安心出来る。
◇大変すばらしかった。
会津講演会を聴いて 会津若松市 由美
先日は忙しい中、寒い会津に来てくださって、どうもありがとうございます。
私は、お達者くらぶには2回ほど行ったことがありますが、交通手段がなくて、帰
りはどうしてもどこかに泊まらなければならないので、行きたくても行けません。で
すから、先生が会津で講演をすると知って、ぜひ行かなければと思いました。実は、
講演会のあった日、午前中血圧をはかったら、上が60で下が40という状態でした。
私はふらふらもめまいもせず、全然元気だったのですが、血圧低すぎで行かせてもら
えなくなるかなと思って、ヒヤヒヤしました。残念ながら母は風邪のため行けません
でした。
講演はとてもすばらしかったです。最後の方になって、私は生きていてもいいんだ
と思って、涙が出ました。私は平成11年に東京から会津に戻ってきて、今は竹田綜合
病院に通院(たまに入院)しています。入院のきっかけは自殺です。摂食障害も20年
近くになり、精神的に疲れたし、親に心配や迷惑をかけている自分が嫌になって、薬
をためて飲みました。でも助かってしまいました。
私は食べ吐きする自分が嫌いです。拒食モードの時はそうでもないけど、生活保護
でもらっている大切なお金をトイレに流している自分は本当に情無いです。でも、先
生の講演をきいて、こんな私でも生きていていいのかなと思いました。私は生きるた
めに過食嘔吐してるんですね。私、過食嘔吐の他にストレス解消できる方法がみつか
ったら治るのかと思うけど、もう20年やってるから、脳もおかしくなってると思う
し・・・私、この先どうなるのでしょうか。
先生の講演会、たくさんの人が来ていましたね。ざっと見たところ、本人より家族
の方が多かったみたいです。(編集者注:上に書いたように先生たちや保健福祉関係者
が多かったのです。)先生の講演で、摂食障害について理解してくれる人がたくさん増
えれば、私みたいな人間も生きやすい世の中になるのにと思いました。講演の内容、
後で母に話そうと思っています。
母は私の病気、理解しようとがんばってくれますが、父はそうでないです。今は拒
食や過食と言えば、名前は知ってる人 多いけど、詳しくはどんな病気か理解している
人 まだ少ないです。ですから、せめて家族には理解してもらえると、私も少しは楽に
なるのですが。父はトイレで吐く私と暮らすのが嫌なので、私は、今、ひとり暮らし
をしています。病気のせいか、弟にも嫌われているようで、私だけ結婚式によばれま
せんでした。摂食障害のため、私は20年間、めちゃくちゃに過ごしてしまいました。
もうすぐ40歳の私の人生、これからどうなるのか。ずっと摂食障害 続くのか・・・。
貴重な講演、ありがとうございました。私、少し元気が出た様な気がします。先生
の様な方が近くにいたらいいです。私の担当医もいい人ですが。
先生、お体を大切にして下さい。これからも私達のために講演とかがんばって下さ
い。
(このお手紙を読ませていただいて)(香山)
私は、私の講演から「自分も生きていていいんだ」というメッセージを受け取って
もらえたことが、とてもうれしく感じました。もうずいぶん長く摂食障害に苦しんで
おられますが、自分が抱えている苦しさを言葉にして訴えることができ、それを受け
取ってくれる人がみつかり、そしてだんだんとストレスに満ちたこの世の中を過食嘔
吐以外で生き延びる方法を見つけていけば、何歳になっても過食から脱していくこと
ができるのではないかと私は思います。
そして、私は思うのですが、人間は、最後に「自分も まあ よく生きたな」と思え
て死ねれば、それでいいのではないでしょうか。摂食障害に苦しんできた方たちのほ
とんどは、ここに到るまで(まだこれから先も?)波瀾万丈の人生を送ってこられた
ことと思います。そうだとしたら、これからちょっとでも落ち着いて生きられる時間
を持ちさえすれば、死ぬときにはよく生きたと思えることに絶対まちがいないですか
ら、もう自分の人生は全部だめだなんて思わなくていいです。そして、お達者くらぶ
につながっている人たちなら、ここを生き延びさえすれば、必ずそう思って死ねるよ
うになることはまちがいないと、私は太鼓判を押しておきたいと思います。
もう一つ、60/40 mmHgという血圧でふらふらもせずボーッともせず、あたりま
えのように生きておられる(講演会の時に見かけたところでは全くふつうでした)と
いうことに、ちょっと大げさかもしれないけれど、私は感動しました。私は本来の仕
事は生理学の教師で、医学部では神経細胞や脳の働きしか教えていないけれど、看護
学校では呼吸・循環など生理学の全体を教えているのですが(医者として働いていた
ときの経験が大いに役立っていて、病棟に出たときに本当に役に立つ生理学を教えて
いると思っています)、その生理学の知識では、このくらいの血圧になると脳血管は自
己調節による正常の血流量を保てず、腎臓もまともに老廃物の排泄を行えないと教え
ています。それがそうではないわけです。人体は何と偉大なのだ、人間は何というす
ごい力を持っているのだ、というのがその感動です。
Nokkoさん
どうしてますかと呼びかけたくて
イラストを載せさせてもらいました。
前号のお達者くらぶだよりを読んで 正子
お達者くらぶだよりを読ませていただきました。
摂食障害について理解できていない医師は、その人自身が摂食障害になってみなけ
れば解らないのでしょうね。それに対し、香山先生の切れ味の良い発言は「さすが」
と感じ入り、先生に拍手を送りたい気持でペンを取りました。
頑張る親の姿が書いてありましたが・・・・・。初期の私がそうでしたので、長崎
お父さんの気持ちも分かります。本当の親の愛とは、その子のありのままの今の姿、
心を信じて待つこと、信田先生(編集者注:原宿カウンセリングセンター所長、信田
さよ子氏)が書いている本の中に「愛情という名の支配」というのがありますが、親
は良かれと思っていても、子どもには「迷惑なこと」も有ります。Noと言えない子は、
表現出来ず、過食にはしっていきますね。そして不登校ひきこもり。私の子の場合、
長いひきこもりでしたので、世間体を一番心配して、子供の心を見るゆとりも有りま
せんでした。親の問題も子の問題も夫の問題も「ごちゃごちゃ」で、何が何だか分か
らない状態でした。それから7年経って思うことは、急がずあわてず、マイペースで
も大丈夫である。必ず良き方向に何とかなると思うようになってから、心が落ち着く
ようになりました。
私は60に近い年齢で初めて生きていて良かったと思うことが有りました。それは、
有るパーティーで300人程の集団の前で、それぞれのグループが舞台で発表するので
すが、発表前の人達は緊張の余りふるえている人、酒を飲んで押さえようとする人達、
反対に発表後の開放感で歓喜の声をあげる人達、それを見ていて思ったことは、「楽し
く生きられる人は幸せだなあ」と思いました。一つのことをできても、そうでなくて
も、楽しみながらいけたら最高なんだ。そして、心の開放感は、心を自由にして、そ
の人を生き生きと輝かせてくれる。ここまで来るのに時間はかかることですが、親が
生き生きと人生をあゆむことで、子は自然と自分のことを考え、親にも自分の気持ち
を話すことができてくるのではないでしょうか。親子の信頼関係、そして何よりも夫
婦の安心感が子に伝わり、どんなことを親に話しても大丈夫と子が思う様になるまで、
時間(つまりゆとり)が必要なのでしょうね・・・・・・。
ところで、私は自助グループで自分の恥をさらすことに少々抵抗を感じていたので
すが、その疑問が分かりました。(説明はあったのでしょうけど、私の心に入らなかっ
たのでしょうね。)聴衆の前で自己開示することは、人間不信にいる人にはとても勇気
がいります。親はじっくりと私の話を聞いてくれなかったけど、グループの人達は真
剣に聞いてくれる、聞いてもらえることで、心の中から平安が、エネルギーが出て、
暖かい気持になるのだと、そうゆう意味で自助グループは大切なのであると、遅まき
ながら分かったような気がしました。十人十色、いろいろな人がいていい、人に合わ
せることも、無理をすることもない。しかし人生には苦しいことだけではない、楽し
いことも、感動することも沢山体験して、人は成長していくものなのですね。
私はグループで思うことが有ります。井戸端会議的なことも良いけれど、年に2度
程、会員で会費を出し合って、カウンセリングの学び(子にどのようにリレーション
を持つか、又、信頼関係の作り方、共感のし方)等を、初級の初級を教えて頂くこと
ができましたら、さらにもっと親が解放されるのではないかと思います。
思ったことを書いてしまいましたが、私は、香山先生のき然とした態度に敬意を表
します。全くのボランティア精神に頭が下がります。お仕事をなさり乍らのことです
ので、先生、スタッフのみなさまの健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
本の貸し出しについて
お達者くらぶでは3年前から本を貸し出すサービスをしています。図書館とは違っ
て、かなりいい加減な管理をしていますが、それはできるだけ借りやすい雰囲気を作
りたいためでもあります。実際になくなった本も2冊ありますが、現在まで延べにし
て200冊くらい借りて行かれた中で、まあ、そのくらいはしかたないかと思っていま
す。
貸し出して数ヶ月以上たっても帰ってこない場合には、こちらからそろそろ返して
もらえませんかと手紙を書くのですが、そうすると今まで全部返してもらえています。
現在は半年以上貸し出したままになっているものもあるのですが、それはその手紙を
書くのをついつい先延ばしにしてしまっている(サボっている)ためです。借りたま
まになっているけれどミーティングに来れない(来る予定がない)方は、郵便でよい
ですから、福島県立医科大学生理学第二講座 香山宛に送っていただけるとありがたく
思います。
最近の本で、読む価値のある、なかなかよい本を紹介しておきたいと思います。
思春期にがんばってる子 明橋大二著 1万年堂出版 2002年12月発行
輝ける子 明橋大二著 1万年堂出版 2002年 7月発行
「やせ願望」の精神病理 水島広子著 PHP新書148 2001年 4月発行
家族の闇をさぐる 斎藤 学 著 小学館 2001年 3月発行
明橋大二さんは40歳代の精神科の医師です。2冊の本とも、大きな字で書かれてい
るし大事な言葉は太字になったり色刷りにされたりしていて読みやすく(所々にきれ
いな写真が挿入されています)、それよりも何よりも、お父さん、お母さんにぜひわか
ってもらいたい子どもの本当の姿が優しい言葉で書かれています。「輝ける子」が小学
校編、「がんばってる子」が中学−高校編と言えるでしょうか。
水島広子さんは若い精神科医(この本を書かれたときは33歳)で、衆議院議員です。
若くして代議士になった女医さんがどんなことを書くのか、冷やかしで読んでみたの
ですが、摂食障害に苦しむ人の性格の遺伝性の部分とそうでない部分のことや、対人
関係療法のことがしっかりと書かれていて、思わず襟を正して読みました。
斎藤学先生のことは知っている方も多いと思います。この本は1998年のNHK教育
TV「人間大学」での講義を基に、大幅に肉付けして書かれたものです。
お達者くらぶ事務局(連絡先):電話番号が変わりました
事務局は福島県立医科大学(960-1295福島市光が丘1番地)付属病院精神科病棟ナ
ースステイションの七海、佐藤(尚子)です。この電話番号が変わりました(3月か
らダイヤルインになって、交換台を通さずに外から直接かけられるようになったので
す)。新しい電話番号は024−547−1654です。(大学全体の代表番号も変わ
りました。024−547−1111です。)
看護婦さんたちは勤務が不規則で、この事務局に連絡がつきにくいことも多いと思
いますが、その時は生理学第二講座 香山に連絡してください。(この電話も変わりま
した。024−547−1134です。)ただし、お達者くらぶやそのミーティングに
ついての問い合わせなどは遠慮なくかけていただいてよいのですが、個々の問題につ
いての相談には応じられません。それは、同じように見える人でも、例えば抱きとめ
てあげるべきなのか突き放してあげるべきなのかなど、全く違った対応が必要になる
ことが多くて、電話ではとても責任ある対応が不可能だからです。ご理解ください。
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