≡福島お達者くらぶだより≡
2025年 10月 1日発行 通算 第117号
ミーティングに参加する方々へ(できるだけ2時までに来てください)
最近、家族ミーティングには繰り返して参加される方々が多くなっていて、その方々が参加のたびに摂食障害に苦しむ子どもへの理解が進んでいき、それに伴って親の方も楽になっていく様子が伝わって、スタッフは非常にうれしく思っています。そして、その人たちが話されることが他の人たちに共感を持って受け止められたり、新たに参加された人に大いに参考になったりしています。
ただ、ミーティングが始まってから遅れて参加される人たちが多くなっていて、そのため、司会するスタッフとしてはそれぞれの方々に話していただく時間の配分が難しくなってしまうこともあります。使わせてもらっている会場は決められた時間までに空けなければならない規約になっていますので、できるだけ2時までに来ていただけるようにお願いします。(1時半までには部屋を開けています。)
本人ミーティングの方は参加者が少なくなっています。その分、来られた人たちの話しはゆっくりと聴かせていただくことができます。心に溜まる思いをいっぱいに話したい、聴いてほしいと思う人は、このミーティングに参加してみてください。
「やわらかいいのち」−思春期心身症の人たちと私(香山雪彦)
谷川俊太郎:「やわらかいいのち―思春期心身症と呼ばれる少年少女たちに―」より
どうしたらいいの?と問いかけの言葉で始まる「やわらかいいのち」という谷川俊太郎さんの詩に出会ったのは、私(香山)が過食症に苦しむ若い人に出会って、その人に真剣に向き合うようになった頃でした。
どうしたらいいの
どうしたらいいの
問いかけるあなたの言葉が
私の中に谺(こだま)する
答のない私の中に―
どうしたらいいの
どうしたら
その人とかかわり始めて、大学教員だった私に「どうしたらいいの」と問いかけられたけれど、その頃の私には答えられる言葉は何もなかったのです。そんな私だったのに、その大学生は必死に私に言葉を投げかけ続けていたのでした。その私には、その谷川俊太郎さんの詩が、まさにそのとおりに響いたのです。
私は大学教員・研究者として日々の仕事をしながら、心の中にその人が言葉にならない思いを抱えたまま居続けていました。
私の中にあなたがいる
ひっそりとひとりで立ちつくしている
心はもつれあった灰色の糸のかたまり
だがその糸が私とあなたをむすんでいる
どうしたら
どうしたらいいの
問いかけることであなたは糸の端を
しっかりと握りしめている
その人はどうにもほどけていかない思いを心に抱えながら、私のところに来ても解決はないことがわかりながらも、つながり続けていました。
その人は毎夜(休みの日には昼も)食べ物を体に詰め込んでは戻すことを疲れ果てて倒れるように寝るまで繰り返していて、心は(身体も)傷だらけの状態でした。
あなたが歩くことのできるのがおどろきだ
あなたがごはんを食べるのが
歯をみがくのが私にとっておどろきだ
あなたのふたつの眼から
涙のにじみ出てとまらないのがおどろきだ
そのようにして私のところに来ているときに、時々、何を見ているのか、何を考えているのか、呆然としたような表情を見せるときがあり、そのしばしの時間が心にしみました。
あなたは海をみつめて放心している
その顔にかくされた美しさがおどろきだ
その人は「自分なんて生きていても苦しいばかり、死んでしまった方がいい」と言ったりしていました。その人が友人の部屋を訪れたとき、その友人は机の引き出しを引き開けて、その中にいっぱいに並べられていた精神科の薬を見せてくれたとのこと。それからしばらくして、その友人が亡くなったと、そのお母さんから手紙が届いたそうです。
そしてもしもあなたが死ねるとしたら・・・・・
死ねるとしても――
そのことの中に私は
あなたのいのちの輝きを見るだろう
私たちの生きる証しを見るだろう
その人だって友人だって、精一杯に、必死に生きてきた。そしてその人は今も精一杯に生きているのが痛いほど伝わりました。生き残っているその人には、何としても生き延びていてほしいと願っていました。
(次号に続く)