≡福島お達者くらぶだより≡
2023年 7月
1日発行 通算 第108号
今年も梅雨の季節、日本中の至る所で大雨になっています。皆様のところではどうでしょうか。ともかくも、無事にいてください。
寄り添うこと
傾聴ボランティアという活動をしている人たちがいます。様々な苦しさをかかえている人たちが、その苦しさを一人でかかえて誰にも話せずにいることでよけいに苦しくなっているような場合に、その人たちに寄り添って話を聴き、少しでも楽になってもらおうという活動です。
その「寄り添う」と言っても相手の状態によって異なった受け止め方、寄り添い方が必要になって来るのは当然です。その相手の年齢によっても違っているだろう、それを年齢層ごとに見てみたいと思います。
1)小さな子どもについては(尊敬する児童精神科医に聴かせてもらったことですが)、それが赤ちゃんでも、発達障害があって何も話さない子どもでも、大人と同じようにわかっているものとして話すことが、後の知能の発達に重要です。そして情緒の発達のために、抱いてほしそうだったら、忙しくても「あとで」と言わずにすぐに抱いてあげる。その際、時間は必要ありません。コンビニの弁当を温めるのに500Wの家庭の電子レンジでは3分かかるのがコンビニだと1500Wだから1分で済む、それを応用すれば1万ワットの熱量なら数秒ですむ、その熱い思いを込めて「大好きだよ」とぎゅっと抱きしめてあげるのです。
2)例えば登校時になるとおなかが痛くなる小学生のように、かかえた苦しさやストレスを腹痛や過呼吸など身体で表現してしまう学童期や前期思春期の子どもたちには、(上から目線の指導でなく)しゃがんで同じ高さの目線に立って、家族・友人関係などを話してもらい、一人で苦しまなくてよいことを知ってもらうことが必要かと思います。
3)拒食・過食やリストカットなども含めて様々な依存症・解離性障害や、爆発する怒りなどの不適切な行動を止められずに苦しむ後期思春期〜青年期の若い人たちについては、その背景にトラウマ(心の傷)があることに気づいてあげる必要があります。そのような傷を負っても生きていることに共感を持って受け止め、それによって生まれる安心を積み重ねることによって成長へと踏み出していけるようにしていく、そのために人生の傷をかかえた物語を言葉にしてもらい、それを受け止めていくことが大事です。しかし、その人たちは育ってきた中で人を信じなくなっている場合も多く、援助の専門職にとってもなかなか困難です。
4)中高年で様々な問題に苦しむ人たちでは、もう生き方が固まってしまっているため、共感・寄り添うことだけですまないことが多い。その人たちは不安の中に周りの人たちへの支配欲求が潜んでいることが多いのです。そのことに気づき、その年からでも自立を促すように、こんこんと教えるような対応も必要になることがあります。しかしその対応は反感を持たれて拒否されることが多く、寄り添っていっても楽になっていってもらうことは困難な場合が多々あります。下手をすると、ただのグチのはけ口になってしまいます。その人たちに援助職として対応する場合は、何とか人生を変えていこうとする意欲を持ってもらえるように、熱意を持ってあたっていくことが必要でしょうか。
がんや不治の病をかかえた人たち、また認知症の人たちに寄り添うことについては、それぞれに特別な配慮が必要になります。それについてはまた別の機会に。