総合診療医とは地域医療を守るオールラウンダー
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臓器ではなく
人を診る -
家族・生活を
まるごと診る -
地域全体を
診る
総合診療医は、地域や勤務する医療機関のニーズに応じて仕事の内容を柔軟に変えながら活躍できる、多様性のある医師です。例えばある環境では、高齢者の複合疾患や診断困難事例の臨床推論、救急医療で力を発揮。また別の環境では、臓器にこだわらずにその人全体、そして家族・生活背景・地域文化も診て、地域の人々の健康な生活を支援します。私たちは、地域に寄り添い、人と心を通わせながら地域医療全体に貢献できるオールラウンダー=総合診療医の育成に全力で取り組んでいます。
なぜ今求められるのが 総合診療医なのか?
背景にある 日本の医療的課題
高齢化と少子化が 人口減少と同時進行
2020年の日本の高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の割合)は28.7%ですが、2065年には38.4%になると予測されています。一方、2020年の日本の出生数は84万人でしたが、2065年には56万人になるとの予測が。つまり今後は高齢化、少子化、人口減少が同時に進行することになります。これは、介護や医療を必要とする人は増えるにもかかわらず、その支え手は減少することを意味しているのです。

複数の慢性疾患を持つ 「多疾患羅患」
高齢者が増えるということは、長い人生を歩んできた方が増えるということ。つまりその分いろいろな病気やケガの後遺症がある方、それらを併せ持つ方が増えるということを意味しています。例えば、高血圧、糖尿病、COPD、狭心症がある方が脳梗塞になった場合、循環器系、代謝・内分泌系、呼吸器系、神経系といった複数の臓器系に障害があることになります。

診療の場の多様化、 在宅医療・地域医療
高齢になり、歩くことが難しくなると、遠くの病院に通院することが困難になります。そんな時に頼りになるのが自宅の近くの診療所であり在宅診療です。診療所の外来や在宅診療では検査に頼ることはできませんが、問診と身体診察で病気の85%は診断できると言われています。このような、場所を選ばない、どこででもできる技術が今後更に重要となります。

増大する 医療費負担
2016年度の我が国の国民医療費は42兆円ですが、年々増加しており、2025年には58兆円になると予測されています。日本の国民皆保険制度は世界にも類を見ない素晴らしい制度ですが、このまま医療費が増大すると維持することが困難になります。
こういった面からも、検査を乱発するのではなく、問診と身体診察で鑑別診断を絞り込み、必要最低限の検査で診断を確定する技術が求められます。

医師や医療施設・ 診療科の不足
都会と異なり、地方では医師不足に悩まされています。特にへき地や離島では深刻な問題です。そもそも医師の数自体が少ないため、診療科の数も不足するのです。ですから医師1人1人の守備範囲を広げることが欠かせません。野球に例えるなら、ファーストしか守れないのではだめ、他の内野や外野も守れるよう練習する心意気が必要です。

健康リテラシーの 危うさ
「健康リテラシー」とは、健康に関する情報を入手し、理解し、活用する能力を意味する言葉です。現在インターネットなどには様々な情報があふれていますが、玉石混交の状態。例えば最近では新型コロナワクチンで不妊になるという誤った情報が流されたことがありました。様々な情報の中から正しいものを選び、自分の健康に役立てるには知識を身につけることが必要です。

総合診療医は課題を解決し、 医療の可能性を広げる
様々な課題がある中、今後求められるであろう医師の条件を挙げてみましょう。
- 複数の疾患を持つ患者、特に高齢者を診療できること
- 在宅医療、地域医療を担えること
- 問診と身体診察を武器に診療できること
- 得意分野ではなくても初期治療できる技術と向上心、心意気があること
- 患者の相談に乗り、適切な情報を提供できること
このような医師は存在するのでしょうか?もちろん存在します。そう、それが総合診療医なのです。
