リュージュ(龍樹)の伝言

第23回:5つの充実(新年度の抱負)

2013/04/16

 平成25年度、私たちは5つの充実をめざして進んで行こうと思う。

 

 1つ目は、後期研修とフェローシップの充実。今年度、本学の家庭医療後期研修プログラム「家庭医療学専門医コース」が新カリキュラムで生まれ変わる。従来は日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)の認定家庭医療後期研修プログラムに家庭医療指導医としてのフェローシップを加えた一体型の後期研修として4年間のコースを設定していたが、今年度からは、研修医の多様なニーズに応えるために、コアとなる家庭医療学専門医コースは3年間で修了できるようにして、その後「家庭医療指導医養成」「在宅医療」「病院総合医」の3つのフェローシップを開講する。どのコースを選択しても、本学大学院医学研究科で家庭医療学専攻の博士課程に在籍して医学博士を取得することもできる。全国の他の後期研修プログラムを修了した人たちにも、福島を舞台にワンランク上の世界レベルのジェネラリストを目指してほしい。

 

 2つ目は、東北地方のプライマリ・ケア・ネットワークの充実。東北地方にはJPCA認定家庭医療後期研修プログラムが12あるが、全体としてまだ発展途上である。これまでJPCA東北ブロック支部が組織的な支援を提供できていなかったことにも原因の一端があるだろう。これからは、それぞれの後期研修プログラムの強みを生かして、不足する所は他のプログラムが補い、東北地方全体で後期研修プログラム・コンソーシアムを形成できると素晴らしいと思う。世界標準のプライマリ・ケアを東北地方で学べるようにして、東北のみならず全国の学生・研修医に魅力あるキャリアパスを示したい。

 

 3つ目は、プライマリ・ケア研究の充実。当講座では、家庭医療後期研修医と大学院生を兼ねて履修することができる。今年度、ようやく複数名の大学院生の研究がまとまり、当講座設立後最初の博士論文が提出される見込みである。これを機に、さらに大学院生の研究を振興していく。オランダ・ナイメーヘンのChris van Weel教授との国際共同研究にも日本のハブとして加わることになり、6月のプラハWONCAでの研究打ち合わせに参加する。「プライマリ・ケアの視える化」をめざすデータベース構築の研究も、学際的な一流のパートナーと科学研究費を得て、今年度スタートする。

 

 4つ目は、国際交流の充実。前回の『伝言』にも書いたように、今年度、世界の家庭医療学会で最も伝統と実績のある英国家庭医学会(RCGP)とJPCAのフォーマルな交流事業がスタートする。5月18日には仙台のJPCA第4回学術大会で国際シンポジウム『世界のプライマリ・ケアを担う医師のキャリア形成プロセスとアウトカム』を開催し、英国、オランダ、台湾、米国(ハワイ)の家庭医から各国の取り組みを学ぶ。6月はじめには友人でハワイ大学医学部 家庭医療・地域保健学講座前主任のNeal Palafox教授が福島へ来てくれる。今年度の海外家庭医療先進地視察ツアーも楽しみだ。

 

 5つ目は、Family Medicine Resident Forumの充実。FaMReF(ファムレフ)と呼ばれるこの家庭医療後期研修医向けの学びの場も今年度リニューアルした。後期研修医が普段学んでいる自分のサイトの指導医とは別のサイトの指導医からも多くを学べるように、指導医のテーマ・レクチャーと後期研修医の振り返りを交差させながら進めるプログラムになった。この他、フェローシップ向けの学びの場として、海外のエキスパートも含む外部講師を招聘して年3回開催される、家庭医療学のグローバル・スタンダードを学ぶセミナー「家庭医療学プレミアム・セミナー in ふくしま」の準備も進めている。

 

 さらに進化していく福島県立医科大学 地域・家庭医療学講座。ご期待下さい。



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