《講義》 低線量被ばく影響に関するトピックスと福島に関する取り組み  
講師 : 松田 尚樹(長崎大学)
  原爆被爆者や高バックグラウンド地域住民の健康影響、細胞レベルでのDNA損傷に関する最新の知見の紹介に加え、長崎大学における福島原発事故直後のホールボディカウンター検査による避難行動による住民の内部被ばくの傾向分析の紹介

 感想等(抜粋)
低線量被ばくにおけるさまざまな知見を知ることができ理解が深まった。低線量被ばくでは、発がんが増加しなくても、染色体異常が少し増えている場合もあるということで、これから多数のデータが解析されるとまた新たな知見が得られる可能性があるのではないかと思った。


《講義》 県民健康管理調査の概説と健康診査から見えてきたこと
講師 : 大平 哲也(疫学講座)
  県民健康管理調査の基本的な仕組みの解説と、県民健康管理調査を軸に進めている福島県、福島県立医大、避難区域等の自治体との連携において活用されている健康診査結果の震災前後比較から明らかになった震災後の健康問題の例示

 感想等(抜粋)
日ごろから市民の方から時々質問のあるところだったので、話が聞けてよかった。当市の内部被ばく測定や報告会の参加人数など全体的に低下傾向で市民の興味が薄れているのかと思っていたが、県単位でも同じような状況であると知った。また、震災後約3年たち、出てきた様々なデータを、今度は市町村がそれをどう生かすということが重要であり、今後の活動が重要になると思われる。


《実習》 WBC・食品(土壌)測定実習と結果の見方
講師 :宮崎 真、大葉 隆(放射線災害医療センター)
ゲルマニウム半導体検出器を用いた陰膳調査の例示と、ホールボディカウンターによる測定実演。その原理および測定値の読み方、現在の福島における課題を解説。
  

 感想等(抜粋)
WBCの精度やノイズの揺らぎなど精度に及ぼす項目などについて教えていただき、結果の見方が重要であり解釈が必要であることがわかり大変ためになった。WBCを含めた放射線計測は、原理をきちんと理解した上で実施しなければならないと感じたWBCは(全国の多数の施設で実施されているが、実際にはそのような対応ができていないところが多いのではないかと思った)。


《講義》 里山の除染  
講師 : 小林 達明(千葉大学)
  川俣村山木屋地区での除染・里山再生活動の紹介と航空機モニタリングと現場での実測値の違い、土壌におけるセシウムの挙動パターン、地形と空間放射線率の関係等について解説

 感想等(抜粋)
除染は多くの問題が残っていると思うが、先生の話の中でも、国の発表と先生のデータでは違うことがあると聞いて、また、なかなか国のやっている状況と実際の住民の生活状況が違っていると聞いて、本当に住民が住めるようになる方法はなんだろうかと考えてしまう。誰のための、何のための除染なのか、全員が納得する方法はないとは思うが、多くの避難されてる方が次のステップにいける効率的で効果的方法の実施が進むことを願う。


《講義》 チェルノブイリからの教訓T  
講師 : ワシリー・ルデノーク(ベラルーシ医科大学)
  ベラルーシ共和国とチェルノブイリ原発事故時の対応拠点であったベラルーシ医科大学の紹介

 感想等(抜粋)
この講義は大変貴重な機会をいただいたと思います。日本でも、なかなか、このような機会はないと思います。ロシア、ベラルーシでも放射線の心理的影響による心筋梗塞の発症などの心理的問題のあることや、今後の福島にも非常に重要なことが、講演からわかりました。今後の福島医大とベラルーシ州立大学の共同研究の発展を期待します。


《講義》 チェルノブイリからの教訓U  
講師 : アレクサンダー・カズロフスキー(ゴメリ医科大学)
  チェルノブイリ事故による高濃度汚染地域であるゴメリ州の現状紹介と、土壌や農産物の汚染状況および癌を含む疾患の発生状況、社会的状況について解説

 感想等(抜粋)
チェルノブイリ原発事故の影響についての、当事者であるカズロフスキー先生からの報告は想像を超えるものであった。初動が極めて重要であることが理解できた。普段の備えが重要であることも、当たり前ではあるが、再認識した。


《討論》 総合討論
ベラルーシのルデノーク先生、ゴメリ医科大学のカズロフスキー先生を交えた総合討論
  

 感想等(抜粋)
ロシアからの講師の先生がたのコメントも興味深かったが、家庭医療学教室の葛西先生の取り組み(医学生のホームステイ+リスクコミュニケーション教育について)も初めて知ることができ、非常に意味深い取り組みであると感じた。