活動報告・ニュースレター

平成29年度 「適応回路シフト」研究室滞在支援制度報告(山下貴之さん)

滞在先:Thomas McHugh先生
    (理化学研究所 McHugh研究室)
申請者:山下貴之(報告者)、山中章弘(申請者)
    (名古屋大学 環境医学研究所 神経系分野2)

 
 視床下部では、オレキシン神経やメラニン凝集ホルモン(MCH)神経といったペプチド産生ニューロンが同定されており、それらは脳の広い領域に投射していることから広範な機能を持つと考えられます。オレキシン神経やMCH神経の機能として、睡眠・覚醒や摂食行動の調節がこれまで特に注目されてきましたが、その他の機能についてはよく分かっていません。今回、私たちの研究グループはMCH神経が記憶の制御に関わることを示す行動実験データを新たに得ております。このメカニズムに迫るため、MCH神経を脱落させたマウスの行動中の海馬活動の計測を行うことが次の重要なステップであると考えられましたが、当研究室には自由行動下の動物における細胞外記録・局所フィールド電位(LFP)記録の経験がございません。そこで、海馬からのテトロード記録について経験が豊富なMcHugh研究室に2018年3月5-9日・12-16日・19-23日の3週間にわたって滞在させていただき、当該技術の基礎を学ばせていただきました。研究室のポスドクである田中和正さんを中心に、技術員や学生さんにも、手取り足取り教えていただきながら、やっとのことでマイクロドライブを作成し、マウスにインプラントして、実際にタスク行動中のマウス海馬CA1領域から神経発火やLFPを記録することができました。McHugh研究室でのマイクロドライブの作成はかなりの部分がルーティン化されて、誰もが再現できるようにプロトコールも充実していました。ただ、3Dプリンタで独自に作成している部品もあり、他の研究室でゼロから立ち上げるには少しハードルが高いような印象を受けました。しかし、実際に一連の作業をして記録までたどり着いたことで、出版されている論文を読むだけではなかなか得ることが難しい知識や情報を実地に得ることができ、部品さえ揃っていれば自分だけでもできそうだと感じました。今回経験させていただいたことは、今後の自身の研究の発展に大いに寄与するものと存じます。
 最後に、本滞在を滞在を快く引き受けてくださり、ご指導に貴重なお時間を割いていただいたMcHugh先生、田中さんをはじめ、McHugh研究室の皆様、本支援制度に携わっている先生方に心より御礼申し上げます。

投稿日:2018年04月09日