公募研究 – 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 https://sips-jp.com/demo/acs 文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究:「行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構」(略称:適応回路シフト)に関するサイトです Mon, 23 Apr 2018 12:38:14 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.2 小早川 令子(関西医科大学付属生命医学研究所) https://sips-jp.com/demo/acs/public/2126/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/2126/#respond Mon, 23 Apr 2018 12:38:14 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=2126 「先天的と後天的な恐怖情動を制御する神経メカニズム」 嗅覚入力による先天的と後天的な匂い情報は鼻腔内の背側と腹側のゾーンで分離して脳へ伝達される。背側ゾーンの嗅細胞を除去したマウスは、猫の匂いを感知できるし、後天的に危険を学習できるが、先天的な忌避行動を示さない(Kobayakawa et al., Nature 2007, Matsuo et al., PNAS 2015 )。]]> 「先天的と後天的な恐怖情動を制御する神経メカニズム」

嗅覚入力による先天的と後天的な匂い情報は鼻腔内の背側と腹側のゾーンで分離して脳へ伝達される。背側ゾーンの嗅細胞を除去したマウスは、猫の匂いを感知できるし、後天的に危険を学習できるが、先天的な忌避行動を示さない(Kobayakawa et al., Nature 2007, Matsuo et al., PNAS 2015 )。分離して脳へ伝達された先天的と後天的な情報はどのように処理されるのだろうか?両者の情報は、扁桃体中心核のセロトニン2A発現細胞で統合され、先天的な恐怖が促進される一方で、後天的な恐怖が抑制されるという、先天的恐怖優先の階層性制御を受けるという予想外の事実が明らかになった(Isosaka et al., Cell 2015)。先天的と後天的な恐怖は恐怖中枢において同一の情動状態へと統合されるのではなく、拮抗的な関係にある異なる情動状態として存在することが示唆される。そうであれば、恐怖情動を真に理解するためには従来から研究されている後天的な実験系のみでは不十分で、先天的な恐怖情動を扱う新たなモデルが必要となる。このような背景で、私たちは天敵臭の化学構造を人工匂い分子ライブラリーを用いて最適化することで、極めて強力な先天的恐怖行動を誘発する活性を持つ人工匂い分子群(Thiazoline-related fear odors: tFOs)の開発に成功した。tFOsはその種類に応じて多様な行動や生理応答を誘発する活性を持つ。この特徴を活用し、本計画では、感覚系が刺激の意味を判断するメカニズム、判断に応じた適切な情動状態や行動の誘発を担う脳領域や神経細胞、先天的恐怖などの情動状態を脳が生成する原理、情動状態が脳や体に与える影響の解明などの重要な諸課題の解明を目指す。また本計画では、tFOsによる先天的恐怖情動の誘発技術に加え、全脳活性化マッピン法、多次元情動行動計測法、脳深部自由行動イメージング法などの独創的な先進技術を多様な研究者が持つ課題に適用することも目指す。

 



 

1. Kobayakawa K*, Kobayakawa R*, Matsumoto H, Oka Y, Imai T, Ikawa M, Okabe M, Ikeda T, Itohara S, Kikusui T, Mori K, Sakano H. (*equally contribution) (2007) Innate versus learned odour processing in the mouse olfactory bulb. Nature (Article) 450: 503-508.

2. Matsuo T, Hattori T, Asaba A, Inoue N, Kanomata N, Kikusui T, Kobayakawa R#, Kobayakawa K#. (#corresponding authors) (2015) Genetic dissection of pheromone processing reveals main olfactory system-mediated social behaviors in mice. Proc Natl Acad Sci USA 112: E311-320.

3. Isosaka T, Matsuo T, Yamaguchi T, Funabiki K, Nakanishi S, Kobayakawa R#, Kobayakawa K#. (2015) Htr2a-expressing cells in the central amygdala control the hierarchy between innate and learned fear. (# corresponding authors) Cell 163, 1153-1164.

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谷本 拓(東北大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/2113/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/2113/#respond Mon, 23 Apr 2018 12:21:33 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=2113 「記憶学習において作動する神経回路の遷移」  環境に応じた適応的な行動の発現は、①学習による記憶の獲得、②記憶の保持、③記憶に基づいた行動発現、という異なる素過程から成り立っていると捉えることができる。ショウジョウバエの匂い連合学習はこの3つの異なる素過程に特異的な操作ができるため、これに関わる神経回路の機能的な遷移を明らかにすることが可能である。]]> 「記憶学習において作動する神経回路の遷移」

 環境に応じた適応的な行動の発現は、①学習による記憶の獲得、②記憶の保持、③記憶に基づいた行動発現、という異なる素過程から成り立っていると捉えることができる。ショウジョウバエの匂い連合学習はこの3つの異なる素過程に特異的な操作ができるため、これに関わる神経回路の機能的な遷移を明らかにすることが可能である。
 近年、我々を含む一連の研究成果により、匂い記憶の獲得・保持・読み出しの全ての過程が、ショウジョウバエ脳内のキノコ体と呼ばれる単一の脳構造で処理されることが報告された。さらにキノコ体の阻害は、匂いに対して誘引・忌避という正反対の行動をひきおこす報酬・罰記憶の両者に影響を及ぼすことが示されている。つまり、キノコ体は報酬・罰記憶の獲得・保持・読み出しという6つの過程に関わっており、単一の脳構造の多様な機能の発現と回路状態の遷移を研究する上で有用なモデルである(図参照)。
 本研究は、ショウジョウバエの匂い記憶の異なる素過程でキノコ体からの出力が必要であることに注目し、出力神経の「機能コード」を理解することを目指す。キノコ体が複数の解剖学的区画から構成され、全部で21種類の出力神経がキノコ体各区画から脳内の様々な領域に投射する(Aso et al., 2014a, eLife;図参照)。さらに我々の研究グループは、記憶の各素過程に特異的に機能する出力神経を同定した(Sejourne et al., 2011, Nat. Neurosci.; Plaçais et al., 2013, Cell Rep.)。本研究では、記憶の素過程を21種のキノコ体出力神経の必要性で定義することで、キノコ体出力の機能コードを明らかにする。さらに、そのコードが記憶の獲得・保持・読み出しにおいて遷移する規則性を解明することを目指す。
 この目的のため、まず各出力神経の細胞構造を解剖学的な指標で評価し、その構造的特徴で分類する(1)。例えば、神経伝達物質や入出力部位などの情報と併せて、全ての出力神経の細胞種を同一の三次元画像上で比較し、キノコ体出力回路の特徴を定量する。次に、記憶の獲得、保持、読み出しという過程において、全てのキノコ体出力神経の「貢献度」を測定することで、「機能コード」を明らかにし、素過程間での多様性を定量化する(2)。さらに(1) と (2) の結果を統合し、記憶のそれぞれの素過程における情報の伝達様式を示した「機能マップ」を作成することを目指す。さらに機能マップが学習の段階によってどのように遷移するかを明らかにすることで、神経構造の機能が時間軸に沿って適応する様式を理解する。

 



 
最近の主要論文
1. Yamagata N, Hiroi M, Kondo S, Abe A, Tanimoto H. (2016) Suppression of dopamine neurons mediates reward. PLOS Biol 14(12): e1002586.

2. Ichinose T, Tanimoto H. (2016) Dynamics of memory-guided choice behavior in Drosophila. Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci 92 (8) 346-357.

3. Vogt K, Aso Y, Hige T, Knapek S, Ichinose T, Friedrich AB, Turner GC, Rubin GM, Tanimoto H. (2016) Direct neural pathways convey distinct visual information to Drosophila mushroom bodies. eLife 5:e14009.

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高田 昌彦(京都大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1915/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1915/#respond Fri, 01 Sep 2017 02:19:09 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1915 「サル脊髄損傷モデルにおける大脳運動関連領野の可塑的神経メカニズムの解明」 解剖学的および生理学的にヒトに近縁のマカクザルを用いて、脊髄損傷後の前頭葉運動関連領野でみられる可塑的変化を形態学的に明らかにし、機能回復の中枢メカ二ズムに迫ることを目的とする。]]> 「サル脊髄損傷モデルにおける大脳運動関連領野の可塑的神経メカニズムの解明」

解剖学的および生理学的にヒトに近縁のマカクザルを用いて、脊髄損傷後の前頭葉運動関連領野でみられる可塑的変化を形態学的に明らかにし、機能回復の中枢メカ二ズムに迫ることを目的とする。具体的には、健常個体と脊髄損傷後の急性期と慢性期における運動関連領野(特に一次運動野、運動前野、補足運動野)の樹状突起および樹状突起スパインの形態変化と運動機能回復との相関について検討する。

 

 
最近の主要論文
1. Nagai Y, Kikuchi E, Lerchner W, Inoue K, Ji B, Eldridge MAG, Kaneko H, Kimura Y, Oh-Nishi A, Hori Y, Kato Y, Hirabayashi T, Fujimoto A, Kumata K, Zhang M-R, Aoki I, Suhara T, Higuchi M, Takada M, Richmond BJ, Minamimoto T (2016) PET imaging-guided chemogenetic silencing reveals a critical role of primate rostromedial caudate in reward evaluation. Nat Commun 7:13605.

2. McCairn KW, Nagai Y, Hori Y, Ninomiya T, Kikuchi E, Lee J-Y, Suhara T, Iriki A, Minamimoto T, Takada M, Isoda M, Matsumoto M (2016) A primary role for nucleus accumbens and related limbic network in vocal tics. Neuron 89:300-307.

3. Kawai T, Yamada H, Sato N, Takada M, Matsumoto M (2015) Roles of the lateral habenula and anterior cingulate cortex in negative outcome monitoring and behavioral adjustment in nonhuman primates. Neuron 88:792-804.

4. Inoue K, Takada M, Matsumoto M (2015) Neuronal and behavioral modulations by pathway-selective optogenetic stimulation of the primate oculomotor system. Nat Commun 6:8378.

5. Nakagawa H, Ninomiya T, Yamashita T, Takada M (2015) Reorganization of corticospinal tract fibers after spinal cord injury in adult macaques. Sci Rep 5:e11986.

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小坂田 文隆(名古屋大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1774/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1774/#respond Fri, 12 May 2017 01:41:09 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1774 「大脳皮質領野間フィードバック結合の層特異的な機能の解析」  視覚情報は網膜で受容され、外側膝状体(LGN)を経て、大脳皮質1次視覚野(V1)へと伝えられる。その後、V2、V4、MTなどの高次視覚野を含む他の領野へと伝達され、知覚や認知に至る。この視覚情報処理機構は、約50年前にHubelとWieselによってネコの一次視覚野神経細胞の生理学的性質が解明されたことを皮切りに,主にネコやサルなどを用いて解明されてきた。霊長類であるサルは視覚システムがヒトと類似している点では理想的なモデルとも考えられるが、情報処理を担う神経回路メカニズムを解明するには限界があった。これを打開するために、本研究では視覚情報処理の基本原理が保存されており、遺伝学や最新の実験手法が適用可能なマウスをモデルとして用いる。]]> 「大脳皮質領野間フィードバック結合の層特異的な機能の解析」

 視覚情報は網膜で受容され、外側膝状体(LGN)を経て、大脳皮質1次視覚野(V1)へと伝えられる。その後、V2、V4、MTなどの高次視覚野を含む他の領野へと伝達され、知覚や認知に至る。この視覚情報処理機構は、約50年前にHubelとWieselによってネコの一次視覚野神経細胞の生理学的性質が解明されたことを皮切りに,主にネコやサルなどを用いて解明されてきた。霊長類であるサルは視覚システムがヒトと類似している点では理想的なモデルとも考えられるが、情報処理を担う神経回路メカニズムを解明するには限界があった。これを打開するために、本研究では視覚情報処理の基本原理が保存されており、遺伝学や最新の実験手法が適用可能なマウスをモデルとして用いる。

視覚野は並列階層的に構成され、低次の領野から高次の領野に向かうに従い受容野が拡大すると共に、ローカルな特徴からよりグローバルな視覚パターンの検出が行われる。この大脳皮質の階層性は主に解剖学的な結合パターンにより規定される。低次な領野から高次な領野へのフィードフォワード結合では起始細胞の細胞体が2/3層あるいは5層に存在し、軸策終末が他の領野の4層に終わるのに対して、高次な領野から低次な領野へのフィードバック結合では2/3層および5層に起始細胞の細胞体をもち、他の領野の4層を避けて1層または5-6層に軸策終末が入力する。ところが、大脳皮質の領野間におけるフィードバック結合の機能的な役割は、フィードフォワード結合に比べ、ほとんど解明されていない。

そこで本研究では、階層性領野間結合に着目し、大脳皮質の領野特異的かつ層特異的なフィードバック結合を標識・操作する手法を開発し、視覚情報処理の神経回路メカニズムを解明することを目的とする。具体的には、マウス遺伝学、ウイルスベクター工学、2光子顕微鏡イメージングおよびPharmacogenetics技術を組み合わせることにより、特定の領野の第2/3層に起因するフィードバック結合と第5層に起因するフィードバック結合の機能的役割の違いを明らかにする。

 

 
最近の主要論文
1. Osakada F, Callaway EM. Design and generation of recombinant rabies virus vectors. Nature Protoc. 8: 1583-1601 (2013)

2. Osakada F, Mori T, Cetin AH, Marshel JH, Virgen B, Callaway EM. New rabies virus variants for monitoring and manipulating activity and gene expression in defined neural circuits. Neuron. 71: 617-631 (2011)

3. Osakada F, Ikeda H, Sasai Y, Takahashi M. Stepwise differentiation of pluripotent stem cells into retinal cells. Nature Protoc. 4: 811-824 (2009)

4. Osakada F, Ikeda H, Mandai M, Wataya T, Watanabe K, Yoshimura N, Akaike A, Sasai Y, Takahashi M. Toward the generation of rod and cone photoreceptors from mouse, monkey and human embryonic stem cells. Nature Biotechnol. 26: 215-352 (2008)

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上野 将紀(新潟大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1771/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1771/#respond Fri, 12 May 2017 01:38:52 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1771 「脳障害後の神経回路再編促進モデルによる回路シフトの解析」  脳や脊髄の障害により神経回路が破綻すると、重篤な機能不全を引き起こします。一度障害された機能は、その後、自然回復あるいは増悪するなど変容していくことが知られますが、その要因の1つとして、障害後に残存した回路の再編が寄与することが示されてきました。]]> 「脳障害後の神経回路再編促進モデルによる回路シフトの解析」

 脳や脊髄の障害により神経回路が破綻すると、重篤な機能不全を引き起こします。一度障害された機能は、その後、自然回復あるいは増悪するなど変容していくことが知られますが、その要因の1つとして、障害後に残存した回路の再編が寄与することが示されてきました。

 実際、私たちはこれまでに、運動回路や自律神経回路を例に、障害後に残存した回路が限定的ではありながら接続様式を変化させ、機能の変容をもたらすことを見出してきました。巧緻運動を司る皮質脊髄路は、脳外傷後に再編して運動機能の自然回復へ寄与していました(Ueno et al., Brain 2012)。一方で、免疫系を制御する交感神経回路は、脊髄損傷後に再編し、免疫機能の低下をもたらします(Ueno et al., Nat Neurosci 2016)。これら成果から、成体脳においても回路が変化しうることがわかってきましたが、機能を回復へと導く精緻な回路の形成を十分に誘導する方法は未だ見出されていません。特に、機能を健常状態近くへと回復するには、残存した回路を“質・量”ともに変化させ、回路再編の一端を担う神経軸索が十分に伸長し(“量”)、かつ適切な領域へ投射し標的神経細胞と接続する(“質”)必要があります。

 成体脳において、神経軸索の伸長が起こりにくい要因として、1)周囲環境に存在する軸索伸長阻害因子(外的要因)、2)軸索伸長を促す神経細胞内シグナルの枯渇(内的要因)、が存在することが明らかにされています。したがって、これら2要因を同時に取り払えば、神経回路の再編を大幅に亢進できる可能性が考えられます。

 本研究では、この2大要因を取り払い神経軸索の伸長能力を最大限に引き出す遺伝子改変マウスを用いることで、脳障害後に起こる運動回路の再編を大幅に亢進するモデルの開発に挑みます。分子的な修飾により回路再編の亢進をもたらすか(“量”)、またその場合、適切な回路を形成し機能回復を亢進するか(“質”)を検証します。

 

 
最近の主要論文
1. Ueno M, Ueno-Nakamura Y, Niehaus J, Popovich PG, Yoshida Y (2016) Silencing spinal interneurons inhibits immune suppressive autonomic reflexes caused by spinal cord injury. Nat Neurosci 19:784-787.

2. Ueno M, Fujita Y, Tanaka T, Nakamura Y, Kikuta J, Ishii M, Yamashita T (2013) Layer V cortical neurons require microglial support for survival during postnatal development. Nat Neurosci 16:543-551.

3. Ueno M, Hayano Y, Nakagawa, H, Yamashita T (2012) Intraspinal rewiring of the corticospinal tract requires target-derived BDNF and compensates lost function after brain injury. Brain 135:1253-1267.

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福土 審(東北大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1769/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1769/#respond Fri, 12 May 2017 01:37:02 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1769 「内臓痛の鎮痛適応を起こす神経回路シフト」  国民の健康を左右する要因として内臓感覚の比重が急激に高まっている。その代表的な病態が過敏性腸症候群である。申請者は、内臓感覚の重要性を以下の3点で明らかにして来た。(a) 不安症・うつ病の発症に消化器症状が先行する。(b) 消化管刺激により扁桃体・前帯状回が活性化し、中枢機能が変化して行く。(c) 消化器症状が持続する過敏性腸症候群では、行動選択の機能シフトが生じにくい。]]> 「内臓痛の鎮痛適応を起こす神経回路シフト」

 国民の健康を左右する要因として内臓感覚の比重が急激に高まっている。その代表的な病態が過敏性腸症候群である。申請者は、内臓感覚の重要性を以下の3点で明らかにして来た。(a) 不安症・うつ病の発症に消化器症状が先行する。(b) 消化管刺激により扁桃体・前帯状回が活性化し、中枢機能が変化して行く。(c) 消化器症状が持続する過敏性腸症候群では、行動選択の機能シフトが生じにくい。

 本研究は、内臓痛の鎮痛適応を生み出す脳内神経伝達を明らかにする。これを脳機能画像の手法を中心に行う。具体的には、健常者と過敏性腸症候群患者を対象とする。方法としてヒスタミンH1受容体リガンド11C-doxepinとドパミンD2受容体リガンド11C-racloprideを用い、陽電子断層法(PET)を中心とする脳画像を得る。内臓刺激時画像と鎮痛画像からヒスタミン、ドパミンの局所脳遊離量を定量化する。

 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構の全貌を解明するには、分子レベルでの神経回路そのものの分析とともに、ヒト生体脳において、脳神経回路の機能シフト機構が、いかにありふれた医学的問題の根底にあるかを証明することが有利である。われわれの研究は、機能シフト機構の神経伝達情報を生きたヒト脳機能において供給するものであり、動物で得られたデータを種が異なるヒトにも外挿可能であることを示す強力な支援になり得る。内臓痛から鎮痛へと脳が機能シフトするメカニズムを理解することは、過敏性腸症候群の病態の理解と治療につながるのみならず、さまざまな嫌悪刺激からのストレスを自律的に緩和して環境に適応するための、脳の基本戦略を理解することにつながると期待される。

 本研究の意義は、過敏性腸症候群がストレス応答と内臓知覚のモデル病態であって、その科学的かつ社会的重要性が明瞭になってきたことからも強力に支持される。過敏性腸症候群は人口の14%、一般内科受診患者の31%を占め、高頻度である。本症は小学校高学年から発症し、不登校・社会不適応・就労忌避の原因を形成する。その罹患者は生活の質(QOL)がうつ病や人工透析患者と同程度に大きく障害され、膨大な医療費が費やされている。過敏性腸症候群の内臓痛の病態を画像化し、行動適応のための機能的シフトを明瞭にできれば、科学的・社会的意義は極めて大きいと考えられる。

 

 
最近の主要論文
1. Kano M, Muratsubaki T, Morishita J, Kono K, Mugikura S, Takase K, Ly HG, Dupont P, Van Oudenhove L, Fukudo S. Influence of uncertain anticipation on brain responses to aversive rectal distension in patients with irritable bowel syndrome. Psychosom Med 2017 May 12. [Epub ahead of print]

2. Enck P, Aziz Q, Barbara G, Farmer A, Fukudo S, Mayer E, Niesler B, Quigley E, Rajilic-Stojanović M, Schemann M, Schwille-Kiuntke J, Simren M, Zipfel S, Spiller R. Irritable bowel syndrome (IBS). Nature Reviews Disease Primers 2: 16014, 2016.

3. Fukudo S, Kinoshita Y, Okumura T, Ida M, Akiho H, Nakashima Y, Nishida A, Haruma K. Ramosetron reduces symptoms of irritable bowel syndrome with diarrhea and improves quality of life in women. Gastroenterology 150: 358-366.e8, 2016.

4. Fukudo S. IBS: Autonomic dysregulation in IBS. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology 10(10): 569-571, 2013.

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佐野 裕美(生理学研究所) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1766/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1766/#respond Fri, 12 May 2017 01:27:47 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1766 「大脳基底核変性疾患におけるシグナル伝達異常、回路変動と不随意運動の因果関係」 大脳基底核はその障害がパーキンソン病、ハンチントン病、ジストニアなどの重篤な運動障害を引き起こすことから、随意運動の制御に重要な領域として知られています。私が所属する研究室では、大脳基底核が制御する運動の調節機構を調べるため、大脳基底核や大脳基底核と連絡する脳領域において神経活動を記録し、神経活動と運動との関係を調べています。大脳基底核が障害されたときに、どのように神経活動が変化して症状が出現するのかを病態生理学的に解明することは、治療法の確立のためにも重要です。]]> 「大脳基底核変性疾患におけるシグナル伝達異常、回路変動と不随意運動の因果関係」

大脳基底核はその障害がパーキンソン病、ハンチントン病、ジストニアなどの重篤な運動障害を引き起こすことから、随意運動の制御に重要な領域として知られています。私が所属する研究室では、大脳基底核が制御する運動の調節機構を調べるため、大脳基底核や大脳基底核と連絡する脳領域において神経活動を記録し、神経活動と運動との関係を調べています。大脳基底核が障害されたときに、どのように神経活動が変化して症状が出現するのかを病態生理学的に解明することは、治療法の確立のためにも重要です。

パーキンソン病は黒質緻密部にあるドパミンニューロンの変性に起因し、無動、寡動、筋強剛などの症状が認められます。治療にはドパミンを補うようにドパミンの前駆体であるL-DOPAの投与が有効です。しかし、長期間の服用によりジスキネジアと呼ばれる不随意運動が出現します。

この研究では、L-DOPA誘導性ジスキネジアが起こるメカニズムを解明するため、オプトジェネティクスを用いた大脳基底核の神経活動の操作により、L-DOPAを投与しなくてもジスキネジアが誘導されるのかどうかを検証します。さらに、L-DOPAでジスキネジアを誘導したパーキンソン病モデルマウスに対して、光刺激による神経活動の操作で大脳基底核の神経活動を正常なマウスに近付けたときに、ジスキネジアが消失するのかどうかを検証します。一方でL-DOPA誘導性ジスキネジアは線条体のドパミンD1受容体を介するシグナル伝達系と深く関連しているという報告があります。D1受容体を介するシグナル伝達系と大脳基底核の神経活動とジスキネジアの関係を解明するため、D1受容体を介するシグナル分子の活性を操作し、このときの大脳基底核の神経活動とL-DOPA誘導性ジスキネジアとの関係を明らかにします。これらの実験から、シグナル分子、神経活動、不随意運動出現の因果関係の解明に取り組みます。

 
最近の主要論文
1. Sano H, Murata M, Nambu A (2015) Zonisamide reduces nigrostriatal dopaminergic neurodegeneration in a mouse genetic model of Parkinson’s disease. J Neurochem 134(2):371-81.

2. Sano H, Chiken S, Hikida T, Kobayashi K, Nambu A (2013) Signals through the striatopallidal indirect pathway stop movements by phasic excitation in the substantia nigra. J Neurosci. 33(17):7583-94.

3. Bepari AK, Sano H, Tamamaki N, Nambu A, Tanaka KF, Takebayashi H (2012) Identification of optogenetically activated striatal medium spiny neurons by Npas4 expression. PLoS One 7(12):e52783.

4. Tanaka KF, Matsui K, Sasaki T, Sano H, Sugio S, Fan K, Hen R, Nakai J, Yanagawa Y, Hasuwa H, Okabe M, Deisseroth K, Ikenaka K, Yamanaka A (2012) Expanding the repertoire of optogenetically targeted cells with an enhanced gene expression system. Cell Rep 2(2):397-406.

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小川 園子(筑波大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1763/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1763/#respond Fri, 12 May 2017 01:26:47 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1763 「母親特有の適応的社会行動を司る神経回路の解析」  我々は、個体の一生を通して各発達段階に応じて変動するホルモンレベルとそれに呼応する脳内ホルモン受容体、特に2種のエストロゲン受容体アルファ(ERα)とベータ(ERβ)、の発現に着目し、様々な機能・表現型を持つ社会行動の発現を制御する脳内機構の解析を進めている。雌雄のマウスで各々、ホルモン動態が大きく変化する時期が幾つかあるが、雌マウスにとっては妊娠・出産に伴う時期において、最も顕著な社会行動の変化が見られる。]]> 「母親特有の適応的社会行動を司る神経回路の解析」

 我々は、個体の一生を通して各発達段階に応じて変動するホルモンレベルとそれに呼応する脳内ホルモン受容体、特に2種のエストロゲン受容体アルファ(ERα)とベータ(ERβ)、の発現に着目し、様々な機能・表現型を持つ社会行動の発現を制御する脳内機構の解析を進めている。雌雄のマウスで各々、ホルモン動態が大きく変化する時期が幾つかあるが、雌マウスにとっては妊娠・出産に伴う時期において、最も顕著な社会行動の変化が見られる。しかしながら、他の社会行動、例えば雌の性行動や、雄の攻撃行動などに比べるとそのホルモン基盤、神経基盤の解析は容易ではない。その理由のひとつは、あくまでも妊娠・出産に伴うホルモンの変化に依存して発現する行動であるので、内分泌的、薬理学的、生理学的操作を加えての解析が困難であるためである。

 最近、我々は、攻撃行動や、養育行動などの社会行動に制御に関わる神経ネットワークの中でも、ERαとERβの両方が局在する内側視索前野や内側扁桃体において各々の受容体の発現を部位特異的にノックダウンすることにより、母親の行動にどのような変化が見られるのかを解析した。その結果、出産後に雌マウスが示す2種類の適応的社会行動、すなわち、ホームテリトリー提示された新生仔マウスに対する養育行動(Maternal Care)と、仔育て中のホームテリトリーに侵入してくる未知の雄マウスに対する母性(母親)攻撃行動(Maternal Aggression)の表出を制御しているメカニズムが異なることを示唆する結果を得た。養育行動の神経回路については比較的多くの先行研究があるが、母性攻撃行動を司る神経回路との直接的な比較は十分に進んでいない。また、たとえ同じ脳部位が両方の行動に関わっているとしても、個々の細胞レベルで考えた時に、当該領域で2つの行動に関与している神経細胞が全て同じなのか、全て異なるのか、あるいは一部オーバーラップしているのかについては不明である。そこで本研究課題では、各々の行動の制御に関与している細胞集団を同定し、その神経化学的特性を明らかにした上で、光遺伝学、薬理遺伝学手法を用いた解析を進めることにより、各々の細胞集団が養育行動、母性攻撃行動の表出に果たす役割をより直接的に検証することを計画している。それにより、母親特有の適応的社会行動の脳内基盤の理解を目指す。

 

 
最近の主要論文
1. Tsuda, M.C. and Ogawa, S. 2012 Long-lasting consequences of neonatal maternal separation on social behaviors in ovariectomized female mice. PLoS One, 7, e33028.

2. Tsuda, M.C., Yamaguchi, N., Nakata, M., and Ogawa, S. 2014 Modification of female and male social behaviors in estrogen receptor beta knockout mice by neonatal maternal separation. Frontiers in Neuroscience, 8, 274.

3. Nakata, M., Sano, K., Musatov, S., Yamaguchi, N., Sakamoto, T., and Ogawa, S. 2016 Effects of pre-pubertal or adult site-specific knockdown of estrogen receptor β in the medial preoptic area and medial amygdala on social behaviors in male mice. eNeuro, 3(2) e01555-15.2016 1-14.

4. Sano, K., Nakata, M., Musatov, S., Sakamoto, T., Morishita, M., Tsukahara, S., and Ogawa, S. 2016 Pubertal activation of estrogen receptor in the medial amygdala is essential for the full expression of male social behavior in mice. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 113, 7632-7637.

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宇賀 貴紀(山梨大学) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1759/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1759/#respond Fri, 12 May 2017 01:15:58 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1759 「柔軟な判断を可能にする神経回路シフトメカニズムの解明」  状況に応じて瞬時に行動を切り替えるタスクスイッチングは、ヒトも含めた霊長類特有の適応的な認知機能である。我々はこれまで、2つのルールに基づいて判断を切り替えるタスクスイッチ課題(図)をサルに適用し、「判断の切り替え」の神経メカニズムを解明してきた。その結果、迅速な判断の切り替えを行う際、脳は「よく使うルールに則した判断の専用回線を準備し、必要な回線が使われるよう神経回路をダイナミックにシフトさせる」ことを解明した。]]> 「柔軟な判断を可能にする神経回路シフトメカニズムの解明」

 状況に応じて瞬時に行動を切り替えるタスクスイッチングは、ヒトも含めた霊長類特有の適応的な認知機能である。我々はこれまで、2つのルールに基づいて判断を切り替えるタスクスイッチ課題(図)をサルに適用し、「判断の切り替え」の神経メカニズムを解明してきた。その結果、迅速な判断の切り替えを行う際、脳は「よく使うルールに則した判断の専用回線を準備し、必要な回線が使われるよう神経回路をダイナミックにシフトさせる」ことを解明した。

 このタスクスイッチ課題には少なくとも3つの脳領域の相互作用が重要である。大脳皮質MT野は運動方向、奥行きの感覚情報表現を司り、LIP野は判断を形成するための感覚情報の蓄積を担当し、前頭前野(PFC)はどちらの課題を行うかの制御信号を生成する(図)。これまでの研究から、感覚情報表現を司るMT野の活動自体は、行う課題に依存して変化しないことがわかっている。ただし、MT野ニューロンの出力が行動特異的であることから、課題ごとに感覚ニューロンを2群準備し、ルールに依存して不要な出力を遮断していることが予想される。そのメカニズムは明らかでないが、我々は最近、LIP野ではルールによって、判断を形成するための感覚情報の蓄積スピードが異なることを発見した。すなわち、行っている課題(例えば、運動方向判断)に関連した情報(動きの方向)のみが蓄積される。これは「必要な専用回路へのシフト」の実体が、「判断形成における感覚情報蓄積過程のダイナミックなゲイン制御」であることを示唆する発見である。本研究では、本タスクスイッチ課題で重要と思われる3つの脳領域間の相互作用を解明し、適応的な神経回路シフトの実体を明らかにすることを目標とする。本研究の特徴は、ルールに依存した素早い判断の切り替え(タスクスイッチング)という霊長類に特化した高次な認知機能における脳のダイナミクスを解明する点である。また、本研究は数理モデルとの相性が良く、適応回路シフトのシステム的理解に貢献できるため、その成果は判断に障害のある人の支援にも繋がると期待される。

 

 
最近の主要論文
1. Sasaki R, Uka T (2009) Dynamic readout of behaviorally relevant signals from area MT during task switching. Neuron 62: 147-157.

2. Uka T, Sasaki R, Kumano H (2012) Change in choice-related response modulation in area MT during learning of a depth-discrimination task is consistent with task learning. J Neurosci 32: 13689-13700.

3. Mitani A, Sasaki R, Oizumi M, Uka T (2013) A leaky-integrator model as a control mechanism underlying flexible decision making during task switching. PLoS One 8: e59670.

4. Kumano H, Suda Y, Uka T (2016) Context-dependent accumulation of sensory evidence in the parietal cortex underlies flexible task switching. J Neurosci 36: 12192–12202.

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McHugh Thomas (RIKEN BRAIN SCIENCE INSTITUTE) https://sips-jp.com/demo/acs/public/1756/ https://sips-jp.com/demo/acs/public/1756/#respond Fri, 12 May 2017 01:14:45 +0000 http://www.fmu.ac.jp/acs/?p=1756 Divergent Information Routing by a Hypothalamo-Hippocampal Circuit The hippocampus is critical for memory formation and spatial navigation. Neurons in the rodent hippocampus have been shown to robustly encode spatial locations and depending on the task demands, can flexibly encode other cues as well, including odors, time and even social identity. Connecting these neuronal representations with behavior requires understanding how the information is used for successful goal-directed behavior.]]> Divergent Information Routing by a Hypothalamo-Hippocampal Circuit

The hippocampus is critical for memory formation and spatial navigation. Neurons in the rodent hippocampus have been shown to robustly encode spatial locations and depending on the task demands, can flexibly encode other cues as well, including odors, time and even social identity. Connecting these neuronal representations with behavior requires understanding how the information is used for successful goal-directed behavior. The supramammillary nucleus (SuM) of the hypothalamus is activated by novelty and stress, is involved in spatial learning and influences the hippocampal theta oscillations. While anatomical studies have described direct projections from the SuM to CA2 and the dentate gyrus (DG) in the hippocampus, the physiological and behavioral consequences of their activation is missing. We have developed a SuM-Cre transgenic mouse in the lab that allows the use of an array of techniques for circuit interrogation, including optogenetics-based behavioral testing and in vivo recordings. We have established that the projections to CA2 and the DG originate from anatomically distinct regions of the SuM and have differential impacts on behavior. Further, using projection specific optogenetic manipulations we have shown that activation of the SuM to CA2 projection impairs social memory while inhibition of the SuM to DG projection impairs spatial working memory. In this project we will are integrating genetic, behavioral and physiological approaches to understand how the hypothalamic-hippocampal circuit modulates flexible behavior.

 

 
Recent Publications
1. Boehringer R, Polygalov D, Huang AJY, Middleton SJ, Robert V, Wintzer ME, Piskorowski RA, Chevaleyre V, McHugh TJ. (2017) Chronic loss of CA2 transmission leads to hippocampal hyperexcitability. Neuron, 94(3):642-655.

2. Middleton SJ and McHugh TJ. (2016) Silencing CA3 disrupts temporal coding in the CA1 Ensemble. Nature Neuroscience, 19(7): 945-951.

3. Miyamoto D, Hirai D, Fung CCA, Inutsuka A, Odagawa M, Suzuki T, Boehringer R, Adaikkan C, Matsubara C, Matsuki N, Fukai T, McHugh TJ, Yamanaka A, Murayama M. (2016) Top-Down Cortical Input during NREM Sleep Consolidates Perceptual Memory. Science, 352(6291): 1315-1318.

4. Yu LMY, Polygalov D, Wintzer ME, Chiang MC, McHugh TJ. (2016) CA3 synaptic silencing attenuates kainic acid induced seizures and hippocampal network oscillations. eNeuro, 3(1), http://dx.doi.org/10.1523 /ENEURO.0003-16.2016

5. Tomar A, Polygalov D, Chattarji S, McHugh TJ. (2015) The dynamic impact of repeated stress on the hippocampal spatial map. Hippocampus, 25(1): 38-50.

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