FUKUSHIMAいのちの最前線
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5451建築物、電気・給排水・空調設備等の被害状況◦本学の建築物は、新耐震基準(昭和56年改正建築基準法)により設計されており、今回の地震により、各棟の構造部分に大きな損傷はうけなかった。◦大学敷地は、丘陵地の造成のため、建築場所ごとに地盤状況(切り土、盛り土)が異なっており、地震により異なるゆれが生じたことから、建物間の接続部(エキスパンジョイント)に脱落、剝離が生じた。また、医学部3階以上の階や病院屋上機械室等ゆれの大きかった建物の内壁、外壁面などに、ひび割れ、剝離が生じた。◦屋外駐車場では、地盤沈下や地割れ、コンクリート手すりが落下する等の被害を受けた。◦建築設備では、学内の電気、通信網、給排水、医療ガス設備に大きな被害はなかったが、医学部棟の4階、5階では暖房用温水配管の被損、漏水が発生し、屋上機械室では蒸気配管やダストが脱落した。破損配管からの漏水による二次被害を防止するため、暖房用温水を停止し、点検・応急的な修繕を実施した。復旧に、病院は1週間、学部は2週間を要した。 また、破損した冷水配管の修繕のため、手術室の温湿度制御や放射線治療機器の冷却水の供給が1週間ほど停止した。◦ライフラインの電力、都市ガスは供給停止とはならなかったが、電話の通信はかかりづらい状況が続き、水道については、地震後から断水となった。断水時点での大学貯水槽の保有水量は、1日分(約700トン)で、長期断水の懸念があることから、学部への給水を停止し、徹底した節水(飲用や医療用洗浄以外の洗面、シャワー、トイレ洗浄等の制限)に努めた。 また、市の水道局、消防、自衛隊、横浜市や長崎市等からあわせて200トン以上の給水応援をいただいた。◦水道は、水道局の復旧作業により、1週間後の3月18に復旧した。◦文部科学省の補助で科学技術支援機構(JST)発注の、本学内に建設中の建物(ふくしま)医療−産業リエゾン支援拠点施設)でも内部仕上げや外壁パネルの剝離、脱落等の地震被害を受けた。施設等の被災状況について総務課上で常に懸案事項となります。特に甲状腺超音波検査では、検査開始早期に小児甲状腺がんが発見されても、それがすぐに放射線の影響とは考えにくいため、その理解をどのように求めていくのかが重要です。検診効果と発がんの潜伏期間の問題、さらに地域がん登録の確立もこれからの課題です。 人間の一生において生病老死は避けられず、またゼロリスクの人間社会はありません。今回の震災で多くのものを失いましたが、この経験から得たものもあるはずです。幸いにして原発事故による放射線被ばくで死者は出ていません。生きている(生かされている)ことのありがたさと感謝、そして仲間とともに困難に立ち向かえる喜びなどが、これからの希望と勇気につながるのではないでしょうか。 今後、帰還帰村に向けた住民支援でも、個々人が被ばく線量を知り、定期的な健康状態の確認を行うことが地域の復興と再生の一助となります。そのために、県民自らが被ばく状況を把握できる体制、さらに身近で健康相談と受診ができる医療支援体制を構築・維持していく予定です。 福島県民の健康の見守り事業は難題が山積していますが、これらの取り組みを前進させるためには皆様の支援が欠かせません。福島県ならびに全国の医療関係者のご理解とご協力を何とぞ宜しくお願い申し上げます。復興と再生の一助となるために

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